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■おっぱい募金の中止を求める人たちがトホホな件

 署名を集めるChange.orgに、ちょっと面白い書き込みを見つけた。
 書いたのは、「おっぱい募金を終わりにしてほしい有志一同」。
 主張は、「募金」「社会貢献」にかこつけて女性の体で人とお金を集める「おっぱい募金」は2015年で終わりにしてください! …というもの。

 宛先は、『エロは地球を救う!』というチャリティ番組にかかわるスカパーJSAT株式会社、リーレ株式会社、一般社団法人 未来支援委員会、オカモト株式会社だ。

 20151256日、BSスカパー!の番組の企画で行われたおっぱい募金というチャリティイベントで募金をした参加者が、若い女性のおっぱいを生で直接揉んでいることについて「募金という公益事業のフリをして女性の体で人とお金を集める企画は今回で終わりにして」と主張しているのだ。

 この「おっぱい募金」の会場に入れるのは、18歳以上のみ(高校生はNG)。
 必ず公共機関発行の写真入り身分証(運転免許証、パスポート等)の提示を求められ、年齢確認がなされたあと、1000円以上の募金を行う。
 しかも、会場に備え付きの消毒液で手を洗ってからでないと、おっぱいを揉めない。

 それでも、これまでの最高人数である7175人が参加したそうだ。
 主催者サイトでは、そのようすを画像で報告している。


 「おっぱい募金を終わりにしてほしい有志一同」の書き込みは、一見正しそうでいて、その表現や事実認識には首をかしげたくなる内容が目立つ(※青文字表記)。
 そこで、彼らの言葉をわかりやすく箇条書きで紹介しながら、1個ずつツッコミを入れてみよう。

★このイベントは「募金」とは名ばかり。
 寄付する人はおっぱいを触るための対価としてのお金を払っているだけだから

 たとえば、「ボルビックのペットボトルを買うと売り上げの一部アフリカに安全な水を届ける活動に使われます」という寄付アクションがある。
 これは寄付付き商品(コーズ・マーケティング)といい、世界中で支持されている寄付のあり方だ。
 自分が好きな商品を買うだけで困ってる人の役に立つならと、商品を選ぶ消費者が増えているからだ。
 これを「エシカル消費」という。
 水を飲みたいための対価としてお金を払っているだけだから、募金とはいえない?
 そんなバカな理屈を言い出すのは、端的にものを知らない人だけだ。

★おっぱいを触らせている女性たちがその対価として受け取るはずの「報酬」を(全部か一部かはわかりませんが)放棄することで、お金が集まっているだけでは?

 こういうのを、世間では「邪推」という。
 心配なら、番組のプロデューサなり、スポンサーに直接問い合わせればいいだけのことだ。
 昨年も同様に「おっぱい募金」は行われたが、おっぱいを触らせた女性たちが、その行為の対価を誰かに要求したという話も聞かないし、そもそも寄付のためにボランティアをしているのに対価を要求するはずもない。
 いずれにせよ、おっぱいを触らせた女性たちから、その行為や対価について不満の声は上がっていない。
 むしろ、達成感を報告する女性すらいる。

 なぜ邪推のままで中止の署名を募るのか?
 これは、署名する側が番組サイドから名誉棄損で訴えられても仕方ないだろう。
 番組サイドに公式に質問書を送るのが優先課題ではないか?

★募金という言葉を使うことで「あたかも良いこと」「公益性が高い」と見せかけている。
 でも実際は、女性の体の中でも性的欲望を集めやすい「おっぱい」で「募金を集める」というセンセーショナルな企画アイデアで話題と人を集めることが目的。
 女性の体も募金も、チャンネルの視聴者を増やし、企業が利益を上げるための口実でしかない
 おっぱいを揉みたいという本音につけこみ、あたかも募金という良いことをしたように思わせながら企画への関心を集めるこの仕掛け。
 エロをエロとして扱わないことで公共性を高くしているという点でも、余計罪深い

 中止を求める署名を集めるのも自由だし、番組サイドの意図を邪推するのも自由だが、その自由と同じくらい、寄付のあり方をどうするかの自由も大事なはず。
 一方だけの自由を主張したところで、世間から「もう少し勉強しようよ」と思われてしまうのがオチだろう。
 「ハダカを売り物にしても、社会の役に立てばいい」という記事を読んでみてほしい。

 おっぱい揉み揉みが、番組への関心やスポンサー獲得による利益を向上させることになっても、結果的にエイズ予防に貢献できるなら、やらないよりやった方がより良い社会になる。
 AIDS/HIV患者の累計数も、新規罹患者数も、右上がりだ。
 緊急に予防対策が進められないと、草食化や少子化、病気の蔓延、妊婦の健康不安などの社会的課題はこじれていくばかり。
 そうした深刻な現実を前に、「おっぱいを触らせるのを中止しろ」という主張は、残念ながら説得力が弱すぎる。




●おっぱいを見せるより下品なこととは?

★この企画のウェブサイトやSNSの宣伝文は、女性の体を募金、あるいは宣伝のダシに使うという性差別的な内容であるにもかかわらず、未成年者も含む多くの人の目に触れることなっており問題

 そもそもエロ番組を制作している仕事に対して、「女性の体を募金、あるいは宣伝のダシに使う」ことを性差別と言われてしまっては、出演しているAV女優たちにとって飯の食い上げになるだけだ。
 お笑い芸人に対して「ふざけるな」と文句をつければ、彼らは飯が食えなくなる。
 ハダカを見せてナンボの商売のAV女優たちは、他人から「脱ぐな」と言われてしまえば、商売道具すら見せられないことになる。
 性差別を指摘する前に、職業差別を主張している自覚をもってほしいところだ。

 ちなみに、未成年がハダカを見たいと望むのは、僕個人から言えば「かなり健全な欲望」だと考えるし、おっぱいを見せる程度を「問題」にしてしまえば、授乳してる子育てママたちも萎縮するだろう。
 そうした性表現の健全化を望めば、本来おおらかだった日本の性のありよう自体が、とてもイビツな健全さの中に閉じ込められ、生きにくい社会になっていくだけだ。

★そもそも、エイズ対策と、おっぱいは関係がない

 そう思うのも自由。
 そう思わないのも、同じ重要性で自由。
 それだけのことだ。
 この手の番組を見るのが嫌なら、見ない自由もある。
 放送自体が嫌なら、番組やスポンサーに苦情を伝える自由もある。
 自由を行使しないのは、責任を果たさないのと同じだ。
 責任を果たさないまま、気ままに邪推していては、その自由はなかなか支持されないだろう。

 ちなみに、弁護士ドットコムでは、おっぱい募金の参加者が以下のようにコメントしている。
 「おっぱいを出す側の女の子たちも、イヤイヤやっているように見えませんでした」
 実際に「おっぱい募金」に参加された方も、こんな報告を書いていた。
 誰がおっぱい募金でお困りなのだろうか?

★募金は本来、支援先に共感してお金を出してもらうもの。
 しかし、来場客はおっぱいが揉みたくてお金を出しただけ。
 このような、偽善的で、性差別的なイベントを公に行う理由づけとしてエイズ撲滅を謳われては、エイズ対策のために真剣に戦っている世界中の人たちに対しても失礼では?

 「エイズ対策のために真剣に戦っている世界中の人たち」の一例として、ミャンマーの「トッププロジェクト」を紹介しておこう。
 このプロジェクトのメンバーは、ほぼセックスワーカー(売春仕事)。
 行政より自分たち自身で、HIVに感染した仲間のセックスワーカーを支援している。
 自分たち自身がHIVのリスクを抱えて仕事をしている現実を生きているからだろう。
 日本のAV女優たちも安心・安全な環境で仕事をしたいと望むだろうし、そのためならおっぱいを揉ませるぐらいのボランティアは「お安い御用」かもしれない。

このページで募金金額と募金先を公表しているそうですが、この企画を作っている制作会社の代表と、募金を受け取っている団体は同じ代表者名のようです。
 活動実績があるのでしょうか?
 募金でお金を集めている以上、この募金を受けてどのような活動が実現したか、募金先の団体はその活動結果も公表するべき

 制作会社の代表と、募金を受け取っている団体は同じ代表者名。
 それは事実だし、ネット上からも確認できる。
 その団体は未来支援委員会」
 「活動実績はあるのでしょうか?」と問う前にちゃんとググれば、今年作られたばかりだとすぐわかる。

 そんな段階で実績を問われても、団体は返答に困るだけだろう。
 募金の結果を発表するのは、これからのこと。
 それを今、問いただしてみせたところで、おっぱい募金を中止する正当性は成り立たない。

 ただし、おっぱい募金の中止ではなく、寄付のリテラシーだけに絞って疑問を呈するなら、うなづけないこともない。
 リテラシーについては、「『エロは地球を救う!』のたった一つの残念な件」という記事に書いた。

 「わからないこと」を問いただすために疑問を呈するなら、歓迎だ。
 しかし、わからないことまで邪推し、邪推のままで相手の落ち度を一方的に指摘して責め立てるのは、とても下品なことだ。
 それこそ、おっぱいを見せるより、はるかに下品なことだ。
 安い正義は、困ってる当事者を余計つらい立場へ追いやりかねない。
 そんな正義の暴走は、この社会を生きづらくさせるばかりだろう。

 「おっぱい募金」に関する続編の記事は、こちら

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