「戦争法案」と呼ばれ、反対の声が高まっていたのに、賛成派の自公政権による憲法の解釈変更や強行採決などのクーデター(立憲主義の否定)によって、反対派が負けたかのように報じられている。
確かに反対派は賛成派に敗北したが、現実は賛成派も含めて国民が政治家に敗北したのだ。
この意味が理解できていないと、デモで何かが変えられるかのような間違った戦略を盲信し続け、今後さらに国家権力の暴走を許してしまうだろう。
そこで、基本的な教養として、民主主義とは何かについて、社会学者の宮台真司さんのわかりやすい解説を音声で聞いてみてほしい(TBSラジオ『デイキャッチ』より)。
音声の内容をざっくりと解説すると、こうだ。
民主主義とは、自治。
自治ということは、国民自身が自分たちの求める社会を作り出す責任を負う(=その権利と自由を行使する)のが大前提。
だから、真っ先に政治家にその役割を任せきりにする構えは、民主主義ではないってこと。
国民が自分たちの求める社会を「政治家にお願いすればいい」で思考停止し、「投票に行けば俺の役割を果たした」なんて考えるとしたら、「選挙以外の日常生活では権力の奴隷」ってことだ。
「人民は、自分たちは自由だと思っているが、それは大間違いである。
彼らが自由なのは、議員を選挙する間だけのこと。
議員が選ばれてしまうと、人民は奴隷となり、何ものでもなくなる。
自由であるこの短い期間に、彼らが自由をどう用いているかを見れば、
自由を失うのも当然と思われる」
『社会契約論/人間不平等起源論』(ルソー)より
僕らは、「国民主権」が憲法で保障された時代を生きている。
国民主権とは、国民全員が社会を作る責任者として自分たちの望む社会を作るという役割を果たすこと。
それが、主権者としての自由と権利の行使なのだ。
逆に言うなら、国民が主権者としての責任を果たさず(=自由と権利を行使せず)、その責任を自分の代理人である政治家に任せきりにすれば、政治家は当選次第、やりたい放題になるってこと。
だから、今回のクーデター的な可決は、国民自身が政治家に敗北したことを意味するのだ。
そして、国民が主権者としての責任を果たそうとしない限り、政権与党=国家権力の暴走は、今後も大いに懸念される。
それでも、「政治家のみなさん、お願いします!」と求め続けるのか?
それでも、「反対派の議員を応援するデモを続ければ社会を変えられる」と盲信し続けるのか?
●高校生・大学生は、今すぐ社会起業を学ぼう!
僕(今一生)は、「SEALDsが今より賢くなるためのアクション」というブログ記事を書いている。
ある程度、年を食ってしまうと、国民主権の意味が理解できても、「まさか民間人の自分の毎日の仕事で社会を変えるなんてできない」と思考停止してしまいがちだ。
だが、若者は違う。
どんな子にも、のびしろがある。
だから、今日では世界中でソーシャルデザインや社会起業(ソーシャルビジネス)を学び、実践し始める若者が後を絶たない。
民間でビジネスによってより生きやすい社会の仕組みを作るという仕事をしてこそ、選挙の際に本当に優秀な人材を国会に送り出そうと思えるわけで、毎日の仕事がただ自分や勤務先企業の利益のためだけに働くものなら、「社会を作る仕事は政治家におまかせ」になりかねない。
デモのために多くの人・金・時間を集めるなら、その労力・資金・時間を使って、政治や行政が満足に解決できずにいる社会的課題を解決する仕組みの開発に投資する方が、政治家の存在価値と権力を減らすことができる。
100万人が政治家に期待するばかりのデモに参加するより、100万人がソーシャルデザインや社会起業を始める方が、国民主権の行使そのものだし、何よりも目に見える形で社会の仕組みを民間から変えられる。
そして、すでに全国各地で多くの社会起業家が活躍し始めてるし、世界中に優秀な社会起業家が続々と生まれてるし、Youtubeでも「社会起業家・養成ゼミTOKYO」の動画を観られる。
また、一部の高校・専門学校・大学などでは、正規の授業の中でソーシャルデザインや社会起業を学べるようになっているし、各地でセミナーやイベントで教えてくれるチャンスも増えている。
それでも、自分や自分の通勤先の会社が主権者として何をすればいいのかわからない場合は、僕自身がとことん相談に乗ろう。
政治や行政が満足に解決してくれない社会的課題は、たくさんある。
平和維持に真っ先に軍事を使いたがる国家権力の暴走も、社会的課題の一つだ。
しかし、貧困・失業・障害者の就労・自殺など、深刻な社会的課題は山積してる。
そこで、その1個の課題でもきっちり解決できる仕組みを毎日の仕事で作り出せば、その仕組みを仮想敵国に輸出することができる。
いくら政府どうしが敵対し合っていても、民間人どうしが強く確かな絆を築いてしまえば、政府は自国の民を無視することができなくなる。
中国・ロシア・韓国・中東など、日本を「存立危機事態」に追い込むと安倍総理が考えてる国々では、すでに多くの民間の日本人が働いてる。
相手国で深刻な社会的課題に苦しんでる多くの民に、日本で解決できた仕組みを提供すれば、どんな国の民でも、苦しみから解放された喜びから日本人を殺したいなんて思わなくなる。
どんな仕事も、それが苦しみから人を救う仕組みを作り出した時、軍事を使わずに済む平和維持の方法になることを、忘れないでいてほしい。
民間で国民主権を行使し、国家権力の暴走を食い止めるのは、選挙よりむしろ、僕らの毎日の仕事そのものなんだから。
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