全国の児童相談所への「児童虐待」に関する相談件数は、2014年度の速報値で8万8931件。統計を取り始めた1990年度以降、初めて8万件を突破した。
実に、9万件に迫る勢いだ。
僕が被虐待の経験者から手記を集めた公募手紙集『日本一醜い親への手紙』を編集した1997年当時は、まだ5000件程度だった。
つまり、虐待相談の件数は、たった17年間で約18倍にも増えてしまったのだ。
このように数字で説明されても、虐待の現実の深刻さは、肌身に感じられないだろう。
そこで、『日本一醜い親への手紙』から抜粋した経験者の文章を、以下の動画で観てほしい。
●21世紀版『日本一醜い親への手紙』プロジェクト始動!
児童虐待には、以下の4つがあるとされる。
①身体的虐待
②心理的虐待
③ネグレクト[育児放棄)
④性的虐待
しかし、ここ20年間で僕が危惧しているのは、それら4つに当てはまりにくい「文化的虐待」というものだ。
これは、親が極端な思想・信条・病気などをもっているために、学校や世間の常識とのギャップが生じ、その間に子どもが宙吊りにされる子どもが少しずつ精神的に追い詰められ、生きづらさを感じたまま大人になるというもの。
しかも、子どもの頃はその構図にある深刻さに気づかず、後から実社会でいろいろ苦労しているうちに気づいても、大人の年齢になってしまったために、なかなかその苦しみが他人に理解されず、さらに苦しむことになる。
1997年当時は、この文化的虐待の深刻さに僕自身が気づいていなかった。
だから、十分にそうした虐待のタイプを拾い上げることができなかった。
しかも、その頃は今のようにインターネットも普及していなかったため、今まさに虐待されている未成年の「声なき声」を十分に拾い上げたとは言えない。
そうした反省から、新たに公募手紙集を作る必要性を痛切に感じている。
国の政策でも、福祉の中でも高齢者や障がい者は有権者なので予算をとれるが、児童福祉は受益者が有権者ではないため、十分な虐待対策ができているとは、とても言えない。
「声なき声」を図書館にいつまでも所蔵させ、被虐待の当事者の子ども自身が自分の身に起こっていることを早めに理解し、行政の力で救われる希望を増やすには、様変わりした虐待の実態を当事者たちの証言集として出版するしか手立てが無い。
本人が自分を害する家族の下から避難する準備ができるよう、僕は合法的かつ安全に避難できる『完全家出マニュアル』や、『ゲストハウスに住もう』などの本を書くと同時に、連帯保証人を不要とする賃貸物件を取材したり、自立援助ホームに本の印税から寄付してきた。
救われたくても、声を出せない事情をもつ人々の苦しかった思いを、当事者自身の言葉で伝えたい。
そこで、21世紀版の『日本一醜い親への手紙』を制作しようと思い立った。
志とビジネスセンスを併せ持つ出版社の編集者を探し、来年には作るつもりだ。
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