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■働いてない人だからこそ「自分の仕事」を作れる

 2015年10月30日(金)、久しぶりに新宿でオフ会をやった。
 毎度、FacebookやTwitterに数日前から告知をしているオフ会だが、今回も4人の方が来られた。
 これまでも、たびたびオフ会をやってきた。
 でも、すぐに10人近くの人が続々と集まってきてしまう。

 2時間もその人数で話してると、場所を専用してしまって店からイヤがられるし、1人あたりの話も減ってしまって話せなくなる人が出てくる。
 だから、今回は「初参加者を優先」という条件をつけた。
 今後も、突発的にやるオフ会は、この条件をつけていく方針だ。
(※あくまでも「優先」であって、空きがあれば、2度目・3度目の方も歓迎)

 僕のオフ会では、特定の属性に呼びかけてるわけではない。
 女性の比率は男性より少し高いが、ぶっちゃけた空気を僕が作るせいか、「はじめまして」なのにぶっちゃけな話がポンポン出る。

・生活保護を受給してる
・精神障がい者の認定を受けてる
・AVに女優として出たことがある
・風俗嬢をやってたことがある
・吃音に悩んでる
・超お嬢様だけど超ビッチ
・家出中で居場所を転々ホームレス
・名の知れた企業の社長をやってる
・ものすごい遠方からひきこもりを辞めて出てきた
・末期がんを宣告されて、手術をくり返してる

 …など、いろんな人生がある。
 でも、そういうライフ・ストーリーをバカ笑いしながら和気あいあいと話してる。
 一つ一つは悲壮な話なのに、その場の空気は好きなミュージシャンのことを語ってる時とさほど変わらない。

 もっとも、この「バカ笑いしながら和気あいあい」が、ひとりではどうしようもできずに行き詰まった課題の解決の突破口を作るのに非常に重要な条件なのだ。



(※これはかなり昔の写真。お相手の女性は信田さよ子さん)

●ニートには、ニートにしか持ってない価値がある

 ネット上では、字数や表現力、読解力などの制限によって、なかなか自分の苦しみや悩みごとをはっきりと伝えられないことがある。
 しかし、実際に対面し、他の複数の人たちの中で話し合っていくと、これまで「解決は無理」と勝手に思い込んでいた問題でも、どんどん解決できる仕組みをこしらえていくことができる。

 今回の新宿のオフ会でも、ニート率の高い参加者の中でニートゆえの悩みが話題になり、悩みが出れば出るほど、それを解決できる仕組みや具体的なアイデアも同時にたくさん生まれた。
 参加者は思わず、それをノートに書き留めたり、スマホにメモしては持ち帰った。

 ニートなら誰もが欲しいサービスなのに、まだ世界にない画期的なサービスサイトのアイデアが出たのだ。
 そして、それが意外と簡単に作れることもわかった。
 そのアイデアは、ここでは書かない。
 参加者のニート自身が作りたくなったら、作るだろうし、それはその人のペースに任せたいから。

 あえてヒントだけを一般論のように書くなら、ニートにとってはたとえば「ありあまる時間こそが資産」ってことだ。
 そこで、1人でらちのあかない悩み方を続け、いつまでも時間を浪費するか?
 それとも、自分の時間をお金に変えたり、人から認められるチャンスに変えたりしたいか?

 おーっと、ヒントはここまで。
 大事なのは、ニートだからこそ、ニートにしかもってない価値に気づかされるチャンスを持つと、「これから何か大変な努力をして人生を切り開いていかなくちゃ…」という強迫観念から解放され、「なぁんだ、今のありのままの自分で意外とすんなり面白い仕事を作れるじゃん!」と思えるようになるってこと。

 気づかされるチャンスは、一人でネットをやってるだけでは得にくい。
 そのチャンスは、会ったことのない人たちの集まりにダメ元で顔を出すことから始まる。
 自分と似た属性に寄っていくのではなく、むしろ似た属性を避けた場所に自分を刺激するべつの発想の持ち主たちがわんさかいるってことだ。

 そこでは、自分がそれまで想像さえつかなかったさまざまな悩みを聞くことになる。
 すると、ある時、自分が何かの当事者として、当事者ではない人が持ってない価値をすでに豊かに蓄積していることに気づくだろう。
 それは、苦しさや悲しさ、痛みや大変さといった(世間では一方的にマイナス評価をされがちな)経験における価値だ。

 これを僕の本の中では、「当事者固有の価値」と呼んでいる。
 拙著『よのなかを変える技術』(河出書房新社)では、以下のように書いている。

「糖尿病患者にとって、自己検査キットを使って自分の血糖値を知ることは当たり前だった。
 でも、そういう病気にならない限り、わからないよね。
 実は、この当事者だけが知ってることこそ、当事者固有の価値。
 その価値を知るには、苦しんでる人それぞれの事情を正確に聞き出すこと。
 当事者がなるだけ苦しまないようにふだんしてる『当たり前のこと』が、問題を解決するうえでぶつかる課題を突破する知恵を生むんだよ」

 このような気づきから、誰かの悩みや不安を解決できるビジネスや、社会的課題の解決の仕組みを作っていける。
 そこで、『よのなかを変える技術』を買われた方には、ふだんは1時間1万円で応じている「ソーシャルデザインに関する相談」を初回無料で応じてる。
 しかも、この本は、印税の一部がハタチ基金に寄付され、買うだけで3・11の際に東北で被災した子どもたちの教育を助けることになる。

 誰かのために確実に役立つ仕事は、何かに困ってきた人自身が一番ニーズを知ってるから、本当は自分で作り出せるんだ。
 自分が欲しい商品・サービスは、自分や自分と同じ悩みを持つ仲間と一緒に作ってしまう。
 そんな人生も、アリじゃないか!

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