そして、気が付けば、自分が望んでない道にはまっていくことで、心を病んだり、問題をこじらせたり、孤独と無知によって将来への希望すらあきらめてしまう若者もいる。
そこで、彼らに勉強を教えてあげて、高卒認定試験に合格してもらい、その先の未来を自力で切り開けるように支援したいという非営利活動団体は全国にたくさんあるし、増えている。
僕は、「社会貢献活動を始めたい方へ」というサイトを設けていたり、「学術書チャリティ」を主催しているので、支援活動を志す人から相談を受けることが多い。
そこで毎度言っているのが、高卒認定(以後、高認)に合格しても、それはゴールではないということ。
たとえば、あなたがコンビニの店長だったら、地元のよく知ってる高校を卒業した18歳と、高卒認定に合格したばかりの18歳が、アルバイトの面接にやってきた時、どちらか1人しか採用できないとしたら、どちらを選ぶ?
残念ながら、「地元のよく知ってる高校を卒業した18歳」を優先的に採用する店長が圧倒的に多いのが現実だ。
高認が何かを知らない人が圧倒的に多いし、同じ18歳でも昨日まで高校生だった子と、高校以外で時間を使ってきた子では、もっている雰囲気が違うなど、理由はたくさんある。
高認の全科目を合格したら、社会に受け入れられやすくなるかと言えば、保証はないのだ。
それでも、合格することは、生きていく自信を取り戻す一つのきっかけにはなるだろう。
合格率が約4割でも、1科目ずつ合格していけばいいのだから。
●高認合格の先に将来の希望を感じられる支援活動へ
学ぶことは、今より高い収入を実現し、将来への希望を感じられるもの。
そのことを、支援者と被支援者の間での共通理解にしておきたい。
それが、支援活動に成果を担保するものだろう。
それには、以下の3つの取り組みを学習支援と並行して行うことが支援活動に求められる。
☆若者に長い人生での〆切とスケジュールを
高認に合格しても、アルバイトが難しかったり、大学・専門学校などへの進学費用を調達できないなどの課題があり、その不安があればあるほど、勉強意欲がそがれたり、なくなったりしがちだ。
そこで大事になるのは、人生の〆切だ。
何歳までに憧れの業界や職種を決め、いつまでにそこに就職したいのかについて、若者自身に自分の人生を決めてもらおう。
自己評価の低い若者ほど、自分の人生を自由に作っていいという感覚が育っていない。
だからこそ、いつまでに何をしたいのかをスケジュールのように決めてもらおう。
もちろん、勉強の途中でスケジュールはころころ変わるかもしれないが、「何歳までにどんな仕事をすることが最終ゴールなのか」だけでも決めておけば、目の前の高認の合格が夢の扉を開く突破口だと理解できるし、早く合格すればその分だけ夢に早く近づけることもわかる。
それをふまえて、学費の安い国内外の大学や奨学金、学歴不問で東大卒より稼げる仕事などの情報を探し、学校では教えてくれない社会のリアルを若者に伝えていくといい。
親がいない場合は、タイガーマスク基金のような教育支援基金があることも知っておきたい。
☆若者に支援に見合うだけの活動を負担してもらう
ボランティアで勉強を教えたがる活動は多いが、その熱心さとは裏腹に途中で離脱する若者は少なくない。
無償で教えられる側は、申し訳なさで心がいっぱいになったり、なかなか合格できない自分を責めてしまうこともある。
それに、合格のためのノウハウや知識という価値あるものを0円で提供されれば、その程度の価値しかないものだと若者は勘違いしてしまう。
だから、すでに仕事をしている若者なら収入に応じて時給を払ってもらったり、お金が払えない若者には、支援活動に必要な作業に参加してもらうといい。
たとえば、「学術書チャリティ」を導入するなら、大学の社会貢献や福祉のサークル団体にアポをとり、学内で不要の学術書を集めてもらうようにお願いに行く仕事をしてもらったり、地元で有名な企業にスポンサーとして協賛金を提供してもらうように働きかける仕事をしてもらうといい。
自分だけが高認合格のために頑張ってるのではない、
自分と同じように頑張っている仲間のためにも、支援活動にかかる経費(例:家賃、飲食費、教材費など)を賄う必要がある。
そのように、活動を一緒にやっていけば、いざ高認に合格した後、まだ合格してない若者に教えることでお金を受け取る立場になることの大切さにも気づくだろう。
☆若者それぞれの「神」を味方にする
若者支援活動では、支援を必要とする若者が、同時代の社会のリアルと自分自身がつながっていない感覚のまま、孤独の中で苦しんでいるということに気づいてない支援者が少なくない。
12年間ひきこもっていた10代でも、有名企業の社長を東京から田舎に招いて講演会をたった一人で開催することはできる。
自分が憧れの人が同じ時代に生きているなら、メールを送れる時代だからね。
それなら、若者それぞれが「神」と信じる憧れの人を、近所の公民館に呼んで講演会をやってもらったり、高認のための学習指導をしている事務所に来てもらえばいい。
「有名だから」「遠方だから」などと大人は言い訳を先に考えがちだ。
でも、金持ちほど金じゃ動かないし、むしろ招かれたら自分の勉強になるから足を運んでくれることは多い。
少なくとも、低学歴で悩んでる若者がメールを送れば、その境遇の大変さと現在のがんばりに敬意を表して、激励のつもりで会いに来てくれる人は珍しくない。
メールを送って返事が来るだけでも勉強意欲は増すだろうし、そこから支援者が事務所に招く仕組みを若者と一緒に作れば、実際に若者は憧れの人と会うことができるのだ。
支援者は、若者それぞれに「神」がいることを知ってほしい。
支援者は、すべての若者の「神」になることはできない。
だが、それぞれの若者の「神」を尊重し、「神」との出会いを作ることはできる。
「神」は、必ずしも有名人とは限らない。
自分と同じようにつらい家庭環境で育ち、今は美容室を経営している人かもしれない。
高認合格に何度も失敗し、ようやく合格してからは、大学に進学している人かもしれない。
同じ苦しみを背負っても、高認合格の後で自分の人生をつかみとった先輩は多い。
そうした先輩をネットから公募し、学習指導や人生相談、資金調達に協力してもらえる時代だ。
支援活動にも、ゴール(数値目標)・〆切・スケジュールが必要なんだよね。
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