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■年収が保証された職場は、社会的課題を生み出す

 来夏の参院選に向け、維新が公務員給与の2割削減」行政改革の一環としてこだわっている。
 民主内には「実現は不可能」との見方がある他、最大の支持団体・連合も反発しているとか。
Yahoo!ニュースより)

 公務員の仕事は、政治家が議会で決定した施策を粛々と執行することだ。
 しかし、つけられた予算内でどれだけ費用対効果良く、また現場の作業効率的にも良い形で政策が実現しているのかは、国民の大半がよくわからないんじゃないだろうか?

 その点では、公務員給与の2割削減」を実現してくれれば、国家財政にとって重い人件費を圧縮させ、費用対効果の良い政策立案や作業効率の向上を公務員に動機づけるかもしれない。

 では、地方公務員なら、市民にとって満足度の高い仕事をしているかといえば、「Yes」とはとても断言できない。

●自衛官は、高卒以下が集まる低賃金の肉体労働で働け?

 最近、「自衛官の転職先」というホームページを見たら、自衛隊ではこんな再就職先を紹介されているそうだ。
 自衛官時代に車両の免許やガッツと強靭な肉体を得られるだろうけど、上記の職種を見る限り、低学歴層が集中する低賃金で過酷な職種に偏りすぎてる。
 ブラック企業も多い業界にも見える。
 あまりにも自衛官をバカにしてるようにしか見えない。
 どうして、こんなずさんなあっせん仕事を平気で続けているのか?

 就職援護は、自衛隊の公式サイトで説明されている通り、一般財団法人自衛隊援護協会が無料で求人を紹介する形で行われている。
 この自衛隊援護協会は非営利組織のようだが、有名企業から協賛金を集めて運営されているように見えるものの、財務が公開されていないため、国税からどれだけ金が入っているか、わからない。

 いずれにせよ、年間で多額の寄付金が毎年難なく調達できる組織で働く人は、残念ながら顧客にとって満足度の高い仕事に少しでも向上させようという動機付けがなされない。

 これは、自衛官への就職あっせん事業だけでなく、この国の公務員や古いタイプの非営利法人にはよくあることだ。
 「悪いコトをやってるわけではないが、顧客満足度の高い仕事になるための努力は強いられない」という職場環境になっているわけだ。

●大卒の友人しかいない教職者の生み出す社会的課題

 国税や寄付金などで何の努力をしなくても年収が保証されている事業体は、そこで働く人に必要最低限度の努力を動機づけない。
 当然、彼らの仕事の受益者である顧客の満足度も、上がらない。
 どういうことか?

 たとえば、勤めた会社を3年以内に辞める転職率は、大卒より高卒、高卒より中卒が圧倒的に高く、学歴差による転職率は俗に「七・五・三」と呼ばれている。

 転職して所得が上がる保証はないし、それどころか低学歴層の失業によって犯罪や病気、児童虐待や貧困化などの深刻な社会的課題が引き起こされるのは自明のことだ。

 これは、中学や高校における進路指導(求人の紹介)を担当する教師自身が、「民間企業の事情を知らない世間知らずのまま教職に就いている」という負い目を見つめないために温存されている社会的課題だ。

 世間を知らない子どもに、低賃金しか得られる見込みのない地域の町工場に送り出しても、大卒の自分の仕事が正当に評価されると思っているのだから、公立の中学や高校の教師たちに社会的責任を感じさせるのは困難だ。

 現実には、東大卒の生涯賃金における平均年収830万円を30歳前後で超えるラーメン屋の店長やフリーライターなど多様な職種には中卒や高卒がごろごろいるのに。

 精度の良い進路指導を個別に提供できれば、その子の資質を活かして低学歴がハンデにならない職種を探し、将来に希望の持てる生き方を提示する程度のことが、低学歴層との付き合いが私生活にも乏しかった大卒の教職者には難しいのだろう。

●不当なガマンを続けるか? それとも…

 顧客である生徒を大事に考えて仕事をしようとすれば、職場内で浮いてしまう。
 そこで作業効率の向上を提案しても、上司に良い顔をされない。
 それが、努力しなくても年収が保証されてる公務員や古いタイプの非営利法人の特徴だ。

 そこで働く人たちは、自力で職場環境を顧客のために改善する動機に乏しい。
 だから、結果的に貧困や失業にあえぐ社会的弱者を生み出してしまっても、自分自身の社会的責任を厳しく問う文化そのものを作れないのだ。

 たとえば、就労支援を受けるために毎日せっせと福祉作業所に通っている全国の障がい者は、平均月収1万3000円という低い工賃で、健常者でもやりたがらないような面白くもない単純作業を強いられている。

 福祉作業所を運営する社会福祉法人などの非営利事業体で「支援」の仕事をしている職員は、通所する障がい者の数さえ集めてしまえば、国から団体に金が降りてくるのだから、自分たちの給与が保証されている。

 他にも、ホームレス・自殺・児童虐待など、さまざまな社会的弱者がいる。
 彼らの苦しみをそのままに延々と放置してる公務員や非営利事業体には、国や大企業は今なお多額の税金や寄付金を毎年支出してる。

 年間で自分の収入が保証された人々は、社会的課題の解決に取り組むどころか、むしろ社会的課題を解決しないまま温存することで彼らの存在価値を担保し、いつまでも年収を保証されたいのだろう。
 国民の大半が、そのバカバカしい現実に気づいていない。
 あるいは、気づいてもガマンしたり、仕方がないとあきらめてしまう。

 しかし、「そんなふざけたことが、あってたまるかっ!」と怒りに燃え、不当なガマンを強いられる社会を変えるために、あくまでも社会的課題に苦しむ当事者を顧客として大事にし、当事者ニーズに基づいたビジネスを立ち上げ、当事者と一緒に汗をかいて課題解決の仕事を作っているのが、社会企業家だ。

 社会企業家の存在価値は、「困ってる人間がどこまで満足できる仕事をしたか」で決まる。
 どんなにビジネスで儲かろうと、「困ってる人間」の満足度が低ければ、評価されない。
 だからこそ、世界中で社会起業家たちは英雄視され、ムーブメントにもなっている。

 日本人も早く社会起業家の仕事ぶりを知ってほしい。
 知れば知るほど、彼らこそが日本における民主主義の目覚めだと理解できるだろう。

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