農業政策にまた国があれこれ手を出しそうなのが、なんとも心配だ。
というのも、生産者の不安を逆手にとる政府によって、これまで生産現場がどれだけ右往左往させられたか、想像に難くないからだね。
こういうニュースを目にするたび、僕は一つの歌を思い出す。
秋田県の米農家・阿部養助さんが1978年に結成したフォークバンド「かど石」のデビュー曲『若き百姓よ』だ。
歌詞には生産者の実感が込められている(※このサイトで紹介/音源はコチラ)。
●食糧自給率4割の国が戦争をやれば、必ず負ける
TPPがどうなろうと、外国産の安い農作物はどんどん輸入されてくる。
日本の農業が政府の方針に左右されるたびに困惑する図は、『若き百姓よ』が歌われた時代から変わらない。
生産者は、政府方針に収入を左右されないよう、6次産業化や新しい農業スタイルを構築していかなきゃいけない時代になったことを真摯に受け止める必要があるだろう。
農家は自営業なので、いくらでも高付加価値の商品を自由に作り出せるし、直販でブランド化を進めることもできる。
ただし、後継者不足の問題もある。
もっとも、若い女性が新規就農するケースも増えており、農水省も「農業女子プロジェクト」を始めている。
これは、女性農業者が日々の生活や仕事、自然との関わりの中で培った知恵をさまざまな企業のシーズと結びつけ、新たな商品やサービス情報を社会に広く発信し、農業で活躍する女性の姿を多くの国民に知ってもらうための取り組みだ。
プロジェクトのページには、生産者と企業とのコラボの事例が豊富に紹介されている。
他にも、3・11の被災地=宮城県石巻市では、NPO法人フェアトレード東北が、ニートや引きこもり、シングルマザー、独居高齢者等、社会から孤立している人たちに、居場所や生きがい、就労機会の場を提供する農場を運営し、宮城県石巻市・東松島市で事業を実施している。
また、株式会社えと菜園では、農薬に頼らない野菜作りの現場を体験できる体験農園コトモファームを、熊本県と神奈川県でホームレスやニートたちと一緒に運営している。
このように、「初めての農業」に挑戦する人たちがひたひたと増えることは、日本の食糧自給率の低下を止めるのに役立つ。
現在、日本の食糧自給率は40%に満たない。
日本人は食糧の半分以上を、外国からの輸入に頼っているのだ。
国内で食糧を自給できていなければ、いざ戦争が始まれば、輸入が止まり、飢えが始まる。
今日食うものさえ無い状況では、戦争どころではない。
しかも、現時点で、我が国の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準だ。
農家は、来年以降、TPPによる好条件で輸入されてくる安い外国商品に勝てるだけの仕組みを、新たに作り出す必要に迫られている。
日本の消費者としては、国産の農作物を買いたいところだが、安全性より安さを求める庶民も多いため、農家にとっては斬新な付加価値も問われるし、6次産業化も急がなければならず、大変な時代に入ったことは間違いない。
そんな時代状況の下で、戦争を誘引しかねない安保関連法が成立してしまったことは、本当に残念だ。
万が一、戦争になれば、勝てる見込みなどゼロなのだから。
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