今日では、地方の中小企業でもCSR活動が盛んになっている。
活動を始めれば、それが地域市民から注目され、愛される契機になり、結果的に新規の顧客を開拓することになると気づく。
もっとも、ISOは知っていても、CSR(企業の社会的責任)として何をすればいいのかを具体的にイメージできないまま、活動を始められずにいる企業は珍しくない。
そこで今回は、一般の市民や学生のレベルにおける気軽なアクションの事例を紹介しておこう。
CSR活動を気軽に始められるヒントになるはずだ。
2014年、遊ぶだけで社会貢献になるサークルが関西に誕生した。
『世の中に役立つイベサー』をコンセプトに遊びへの参加費の1割を社会貢献のために寄付しようという社会貢献型イベントサークル meetsだ。
代表を務めるのは、大阪在住で、就職情報会社の人材紹介スタッフとして働く太田佳祐さん(29歳)。
大学生時代にNPO活動に携わり、寄付金を集めるのが大変という事情を知り、「日本で寄付文化が一般に普及するのは、そう簡単ではないかもしれない」と考えていた。
「じゃ、どうしたらみんながお金を払ってくれるのかと考えたら、面白いことに参加して、その参加費の一部を寄付すれば、自分が楽しんだお金で社会の役に立てられるというやり方が受けるのかなと。
そうなら、寄付の敷居を低くするのが第一歩と考えました」
(太田さん)
そこで2014年5月1日、滋賀県草津市の公園でバーベキューを実施した。
太田さんと小学校時代からの同級生である友人と一緒に、職場の友人や社会人交流会で知り合った方々に声をかけて13人で楽しんだ。
参加費は1人3000円。
この1割を寄付金に充当させるためにサークルで管理することにしたが、寄付先は今後主要メンバーで決める。
「参加費の一部をイベントごとに溜めていき、5万円単位で寄付していくつもりです。
寄付先としては、小中学生のキャリア支援のNPOや国際貢献系のNGOを検討中です」
(太田さん)
同サークルは、その後も遊び系のイベントを実施した。
川に行ってのカヌー体験、山ではパラグライダー体験、陶芸体験など、どれも楽しそうなものばかりだ。
今後はボルタリング、キャリオニング、お香作りなどを予定している。
参加者のほぼ7割は女性で、20代後半の独身者が中心。
サークル会員数は、結成以来、約3ヶ月で35名にまで順調に増えている。
今は基本的に友人に友人を誘ってもらう形で声をかけているが、人づてだけで集める小規模のイベントだけでなく、無差別に公募する大人数のイベントも手がける予定だ。
「日帰りで参加できる気軽なイベントですが、キャンプも考えてます。
基本的に『やったことがないことにチャレンジしよう』というコンセプト。
初めてそれをする人向けに面白がってもらえる企画を立て、会員数を3年以内に500名以上にしたい」
こういう気軽で楽しいサークルが全国に増えれば、日本に寄付文化が浸透するのも早まるかもしれない。
こうした取り組みは、社員有志から試験的に始めてみることもできるだろう。
多くの人は、同情よりも、欲望に刺激されて金を出す。
社会貢献も、「遊びたい」とか、「ときめきたい」などすでにある欲望とひもづけるとき、より多くの人を集められ、さらに活性化できるようになる。
なお、上記のイベント・サークルの主催者・太田佳祐さんは、今年から故郷のまちの議員になったようだ。
イベントは祭りであり、政治とは「まつりごと」だから、面白いことに人を巻き込む人材には似合っている職種かもしれない。
もっとも、彼のプランを引き継ぎ、より若い人たちが、「遊んでるだけで社会貢献になる」仕組みを増やし、定着させていくことも大事だ。
それ自体を仕事にすることだって、できるはずだから。
僕は、そういう人材が増えることを期待したいし、応援したい。
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