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■孤独死・孤立死の無縁社会で生き残るために

 国際協力や開発学を学んでいる大学生から、「卒論の執筆に協力してください」と頼まれ、地元のファミレスで話を聞いた。
 孤独死や孤立死の問題をテーマにしたいという。

 孤独死も、孤立死も、その定義があいまいなため、wikipediaでも以下のようにざっくりな定義しかできていない。
「主に一人暮らしの人が誰にも看取られること無く、当人の住居内などで生活中の突発的な疾病などによって死亡すること」

 そのような境遇で死んでしまいかねない人は今、日本全国どこにでもいる。
 単身世帯が増え、人と人との関係が希薄となりつつある日本社会の一面を NHKが2010年に「無縁社会」と呼んだ番組が放送されてから、孤独死を他人事ではないと感じた人もいるだろう。

 ただ、最後に誰にも看取られずに死ぬことや、生きてる間はずっとすべての関係を断ち切って暮らすこと自体が「問題」なのだろうか?
 看取られたくない人もいれば、何かに困ってもその困難を引き受けても一人でいたい人もいる。
 孤独・孤立の状況下にいる人自身が何を「問題」にしているかをふまえないまま、他人があれこれと考え始めることをためらわないのは、とても暴力的な振る舞いにも見える。

 もちろん、生きている間は、人はいくらでも考えを変えたり、人恋しくなったりもするので、「無縁」のまま生きてる当事者の声を丁寧に拾いながら、生活上の不満や不安を浮き彫りにしていくことも大事なことだ。
 しかし、卒論提出が年明けすぐになるため、年内までに書き上げておく必要があるので、〆切まで1か月半ほどしかない。

 そこで、発想を切り替えて、孤独死・孤立死をしてしまった人が増えると、遺された側の人間にとってどんな問題が起こりうるかを、その死の処理をする人たちにヒアリングすると同時に、関連する統計データを集めてみることを勧めてみた。


●「一人でも不幸ではない社会」を作り出そう

 生きている間の人間の生活に関する満足度は、時間や手間をかけないと数値化できない。
 信頼できるデータを取るには、さまざまな事情で孤立している当事者との信頼関係の構築に時間や手間がかかるからだ。
 人と会いたくない人にいきなりアンケートをとろうとしても、拒否されることは必至だし、そもそも一期一会の関係に期待を持てる人なら、孤立などしていないだろう。

 しかし、亡くなってしまった後の問題に絞るなら、役所などが発表している関連データを見つけられるだろうし、ヒアリング先も絞り込める。

 実際に孤立死・孤独死に至る場合、主に以下の3つが想定できる。
★病気や老衰にで助けを自力では求められないまま、亡くなってしまった場合
★誰にも事前告知しないまま、自殺してしまった場合
★その他:災害や殺人などで屋内で亡くなってしまった場合

 いずれにせよ、遺体発見から時間が経って発覚することになるので、隣家の人などが役所に連絡し、やがて警察が変死の原因を確認する。
 そこで、上記の3つのうちのどれかを判定し、特殊清掃の業者が後片付けを請け負い、遺族と連絡がつけば、遺族のもとに遺骨を送るだろうが、無縁仏になる可能性もある。


 つまり、孤独死・孤立死をすれば、警察の捜査、専門業者による特殊清掃・遺品整理、寺や霊園業者による出棺・納骨を含む無縁仏の管理などに経費がかかるのだ。
 これらの経費は税金による支出が見込まれるため、自治体ごとに処理経費が予算計上されていると思われる。
 どれだけの経費がかかるのかは、この3つの仕事をする方々にヒアリングすれば、数値化できるし、孤独死に至るまでの生活ぶりもわかるはずだ。

 特殊清掃の現場で本人の書いた遺書が出てくれば、孤独死に至る経緯もストーリー化できるだろうし、民間業者が遺品をどう現金化してビジネスを続けているのかも、わかるだろう。
 特殊清掃の業種が儲かることは、孤独死が増えていることの一つの証拠であるのは間違いない。

 田舎には仕事が無いから、都会へ出ていく。
 都市にはさまざまな「趣味縁」に参加するチャンスが豊富にあるが、そこにもなじめない人は、賃貸マンションの一室で孤独死を迎えるのか?
 若者が出ていった田舎の町は、介護する人も減り、独居の高齢者が増える。
 老老介護も限界だし、要介護でなければ施設には入れない。

 健康寿命が長ければ長いほど生きづらくなる日本で暮らす国民が、いまだに自民党や政治そのものに期待し続けているなんて、どうかしてる。
 せめて早めにネット環境を普及させ、一人で部屋にいる暮らしを続けても、自分の気持ちとつながれる誰かを見つけられる時代を、民間から作り出そうじゃないか。
 すでに金が無い政治に期待していても、らちがあかないんだから。

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