京都の綾部市から「半農半X」を提唱し、ローカルビジネスによる地域活性に取り組んでいる。
彼は今年、京都府スローライフ応援事業として、これからの中丹地域(福知山市、舞鶴市、綾部市)をスモールビジネスで元気にしたい人材を育成するために、「女性のための起業塾」をプロデュースしている。
毎月1回、計10回の講座を通じて具体的な起業への一歩をサポートするというもので、僕も講師として招かれており、2016年1月17日に「社会起業家になろう」という講座を受け持つことになった。
いま、日本は地方の過疎化・高齢化で元気を失っている。
そこでローカルビジネスの可能性や面白さを訴え続けているのが、塩見さんなのだ。
昨年、トヨタ財団から助成された資金で、塩見さんは『ローカルビジネスのつくり方問題集』というミニブックを作った(一部500円)。
4種類の発行を予定しているこのシリーズの「制約が想像力を生む編」に、僕も寄稿している。
彼が家族と住み、仕事の拠点としている綾部市は、京都駅から特急で1時間もかかるところだ。
僕は2度ほど塩見さんの招きで、ソーシャルビジネスの講座を開催する廃校に足を運んだ。
そこには、優秀な社会起業家や、彼らの教えを乞いたい人たちが全国から集まってくる。
彼がローカルビジネスの担い手として優れているのは、「借り物競争」が上手だからだ。
人材も、資金も、ビジネスノウハウも、先進事例も、全国からかき集める。
地元だけを見るのではなく、全国各地に飛び回り、台湾でも講演している。
そういう仕事の見本をより若い世代に見せることが、「地域の社会化」に寄与するのだ。
21世紀初頭、コミュニティビジネスを経産省が流行らせようと躍起になっていた。
しかし、今日の社会起業家のように流行・定着・発展することは無かった。
地域活性を主眼とするコミュニティビジネスは、自分の地域だけの発展を望んでいては、費用対効果が悪いからだ。
●月3万円程度の収入なら、雇われなくても誰でも作れる
「地域の社会化」とは、地域の資源をより広いエリアのヒト・カネ・モノと結びつけることによって、開かれたコミュニティとして機能させるようにすることだ。
そのためには、地域の内外にある人材・資金・ビジネスノウハウ・先進事例を発掘し、学ぼうとする構えが必要になる。
「女性のための起業塾」でも、そうした内外の面白い人材を講師に招いている。
福知山市三和町の古民家に移住し、農家民宿として「ふるま家」を開業した沢田さやかさん、汚いと思っていた字が人に喜ばれる個性的な筆文字になる教室を開講している草刈正年さんなど、京都にゆかりのある講師もいる。
同時に、ソーシャルビジネス・ソーシャルデザインに関する最新情報を千葉県市原市から発信する僕や、『月3万円ビジネス』を提唱する非電化工房の藤村靖之さんも栃木県那須町から駆け付ける。
同時代にあるリソースは、地元から遠いところにあるものでも、地元に集めればいいのだ。
もっとも、社会化とは、地域の内外の壁をはぎとることだけを意味しない。
起業や仕事つくり、地域活性などのイベントでは、「意識高い系」の人しか集まらないことがある。
以前、「そのイベントはソーシャルか?」というブログで指摘したが、ソーシャルとはそもそも社会的包摂の意味を含んでおり、誰もが気軽に参加できる仕組みが担保されていなければ、「高学歴」だけの集まりになったり、高所得者にしか響かない内容にしかならないことが、よくあるのだ。
国の政治や中央行政には、高学歴文化を自明とし、「愚民」を導いてやるという構えが続いているが、民間で社会を設計する際には、そうした構えはむしろジャマだ。
学歴・性別・所得・生い立ちなど一切不問で、誰もがふつうにアクセスできる環境を整えることで、普遍的かつ多様な価値を重視する形で仕事や商品・サービスを作り出す構えが、大衆に受け入れられやすくなる。
言い換えれば、障がい者でも、低学歴でも、外国人でも、子どもでも、誰もが仕事を作り出せる環境を整えることが、「地域の社会化」に求められているのだ。
そう考えれば、全国各地で起業講座が盛んに展開されている現状の先に、起業塾の定着が求められているといえる。
雇用不安が増大している今日ほど、自分で自分の仕事を作れる起業のノウハウを学び、実践し、備えたい人たちは増えている。
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