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■誰もが「やめる勇気」を養える起業教育を

 1021日、国会で民主党が厚労省と日本年金機構から「消えた年金」について尋ねると、厚労省年金局の担当者は10兆円の運用損(79月期)を出したことを認めた。
 たった3か月で10兆円が無くなってしまったのだ。

 田中龍作ジャーナルでは、運用損を発表した官僚の顔写真(以下の画像)を紹介しながら「厚労省年金局の官僚は苦悶の表情を浮かべ、気を失ったようにしばらく机にうつ伏した」と書いている。
 官僚の名前を出さなかったことが、せめてもの武士の情けだろう。


 昨年1月、スイスのダボスで行われた世界経済フォーラムに出席した安倍総理は、世界の著名な経済人を前に、こう言ったという。
「日本の資産運用も、大きく変わるでしょう。1兆2000億ドルの運用資産をもつGPIF(年金積立金を管理している組織)。そのポートフォリオ(資産割合)の見直しをして、成長への投資に貢献します」(NHK時事公論より)

 同年10月、老後を支える公的年金を運用するGPIFは資産130兆円の運用指針を見直し、日本株での運用比率を12%から25%へと倍増させた。
 この運用の増額について、安倍総理はこう言った。
「私が決めたわけではなく、専門家が決めるもので、私は一切関わることはできない」

 自分が決めたことですら「俺のせいじゃない」と逃げ、いざという時の大失敗を「想定外」にする言動は、福島の原発事故以来、もう慣れっこになってしまった感がある。
 今回も、国民からの怒りの視線を一身に集めたのは、大失敗を報道関係者の前で発表する担当官僚だった。

 運用すれば、必ずしも「成長への投資」ができるほどの運用益を生むとは限らない。
 大損をし、払える年金が消えてしまう場合もある。
 そして、実際に大失敗した。

 失った金は、国民から預かったものだ。
 矢面に立った官僚が「苦悶の表情を浮かべ、気を失ったようにしばらく机にうつ伏した」のも良くわかる。
 10兆円という大損の社会的責任は、彼個人の肩に背負うには、あまりに重すぎるからだ。
 それでも安倍総理は、「おまえ、切腹!」とでも言って、彼を切るのだろうか?



●勇気を必要とする生きづらい社会を、みんなの力で変えよう

 役人は、政治家が決めたことを粛々と施行する。
 兵隊は、上官から言われたことが理不尽でも、それに従う。
 平社員は、上司の命じた通りの仕事をイヤでもする。
 失敗しても、政治家や上官、上司が責任を1人でかぶってくれるとは限らない。

 その理不尽さを飲み込み続けるのは、不当なガマンを強いられているのと同じだ。
 男たちには、不当なガマンでも耐え忍ぶことを「秩序を守るのに必要な努力」であるかのように思い、自分をなんとか納得させようとしたがるところがある。

 しかし、妻や子どもは、そんな父親を誇りに思えるだろうか?
 重すぎる責任を背負わされても、得をするのは上司ばかり。
 そんな支配関係を疑わない組織で、よのなかを良くする仕事なんて本当にできるだろうか?

 何度、最大の被ばくを計測しても、「俺にはここしか働ける場所が無いから」と原発の作業員として地方を転々としながら働いている男たちもいる。
 彼らには、「自分はもう他では働けない」という絶望があるのだろう。
 彼らに絶望を与えたのは、「不当なガマンでも金さえ出せばやるヤツはいる」と踏んだ連中だ。

 そんな連中は、「不当なガマンでも金さえ出せば…」という考える以上のことはしない。
 そういう仕組みが社会にあった方が、連中は安穏としていられるからだ。

 他方、そういう連中の下で働かされる男たちは、「自分がやめたら家族が路頭に迷う」と不安を覚えてやめるのに勇気を必要としてしまう。
 妻子が「ムリしなくていいのよ」と言ってくれても、なかなかやめることができない。
 やめてしまえば、前職と同額の年収を得られる再就職が難しい時代だからだ。

 しかし、まだ30代以下なら、妻子と一緒に「起業」を学んでみてはどうだろう?
 起業とは、自分がしたい仕事を自分の力で作り出すことだ。
(会社組織を作ってもいいし、自営業でもいい)

 バカな上司の言うことに耐え続けても、リストラや倒産で会社から追い出されかねない人生に比べれば、自分の人生くらい自分で責任を負ってもいいのではないか?
 子や孫の代まで自分と同じ苦労を背負わせるのは、虐待の連鎖そのものだ。
 そんな悪循環は断ち切らないと、何をするにも勇気を必要とする生きづらい社会は変わらないまま。

 でも、心身に無理をきたす生き方より、自分のペースで働けたり、イヤな人間と会わずに済む仕組みを自由に作れる生き方の方が、不当なガマンより努力のし甲斐もあろうってもんじゃないか?

 そこで、親が子どもと一緒に起業を学べる教育の機会を地域に作り出すことを提案したい。
 子ども向けのわかりやすい起業の授業を、地元の青年会議所にいる若社長さんたちに提案すれば、若者が地元を離れずに済む地域活性の仕組みを作りたい若社長さんたちは、「子ども起業塾」の立ち上げの仕組みや運営を考えてくれるかもしれない。

 受験塾のように月謝を払っても、月謝以上に子ども自身が稼げるようになれば、実質的に親の教育負担は無くなる。
 それどころか、両親も、子どもも、リタイヤした祖父母も、みんなで稼ぐ世帯が生まれるかもしれない。
 そんなアイデアを、このブログ(←クリック)に書いてみた。
 一読を勧めたい。

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