若い世代では、自社商品の販売を通じて、売上の一部を社会貢献活動へ投資する仕組みを当たり前に考え始めている。
京都のカジュアルファッションブランドJAMMIN合同会社(京都府京田辺市/代表・西田太一)は、わかりやすいチャリティを目指し、自社で扱うすべての商品を寄付付き対象にすることで、NGO/NPOの事業活動の持続可能性の向上に寄与している。
2013年11月の創業以来、1アイテム購入につき700円を、社会問題の解決に向けて挑戦を続ける非営利活動法人へ寄付してきた。
3000円の商品では、寄付額は価格の20%以上に相当する。
同社は、開発コンサルタント会社で出会った西田太一さんと高橋佳吾さんによって設立された。
二人は共に、途上国での国際協力の仕事に従事していた。
現地での課題解決に限界を感じていた頃、ニューヨークのクラブプロモーターが誠実に生きる方法を求めてすべてを捨ててアフリカへ旅立ち、NGO Charity:Waterの代表として20カ国350万人に安全な水を提供する活動を始めた事実を知った。
西田さんには、内戦下のスリランカを訪問し、貧困の現状を目の当たりにして国際協力分野を志した経緯があった。
高橋さんも、アメリカのヒップホップアーティストが行っていた井戸を掘るチャリティ活動を見て、国際協力を志した過去があった。
二人は、「自分たちの好きなファッションで少しでも社会問題に挑戦していこう。30歳を過ぎたらきっと思っていてもやらなくなる」と気持ちに踏ん切りをつけ、会社を辞めて起業した。
そして、創業以来、72団体へ総額318万円を寄付してきた。
6か国8地域で映像教育プロジェクトを展開し、計約1100名の生徒に良質な教育の機会を提供してきたNPO法人e-Education Project(東京)や、紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人に対して26の国と地域で支援活動を行っているNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(広島)など、JAMMINによって支援されるNPOは毎週増え続けている。
「いかにもチャリティ」というデザインではなく、太陽が照らす様子と「太陽は皆を平等に照らす」という言葉に人道支援活動への共感をにおわせているにとどめている。
同社では、週替わりで新しいチャリティTシャツを発表、発売している。
また、チャリティと同額を協賛企業が加えるマッチングギフトの企業も募り、パシフィックコンサルタンツ株式会社などが応じている。
高橋さんは言う。
「弊社の社名は、JAZZ用語のジャム・セッションから来ています。みんなが好きな方法でチャリティに参加して社会が良くなるといい。『ジャミンがあったから寄付市場が広がった』と言われるようになるまでがんばり続けたいです」
●きみのスキルは、他人から見れば神業
社会貢献の事業や活動を始めたいと思っている人は今、世界中で増え続けている。
しかし、自分一人の頭の中であれこれ考えていても、現実は動かない。
むしろ、自分と同じことを考えている人を探し、公募し、一緒に動ける仲間を早めに調達してみてほしい。
「社会貢献」という言葉はあいまいだが、自分も他の人も切実に困っていること(=社会的課題)を解決したいと思ってる人は多い。
同じ社会的課題に関心のある人たちは、ネット上に山ほど見つかる。
だから、自分のブログでほしい人材についてくわしく書き、twitterやfacebookなどのSNSでしつこく拡散しておくと、自分一人では「ゼッタイ無理」と思っていたことも実現できる。
毎年1月に全国からひきこもりが大集合する「One for One 皇居マラソン」は、そのようにスタッフや参加者を公募して7年間も続けられてきた。
「見えない障がいバッジ」も、twitterのやりとりから試作品が生まれている。「痴漢抑止バッジ」も、ネット上でデザインを公募している。
自分にできないことは、できる人にお願いする。
このシンプルな構えで新しいことを始めようとすれば、たいていのことは意外と簡単にできる。
人にはそれぞれ「異なるスキル」があるからだ。
たとえば、グラフィックデザインを仕事にしてる人にとっては、文章をさらさらと書けてしまうライターは特別なスキルに見えてしまうかもしれないが、ライターにとってはデザイナーとして飯を食ってる人は「神」である。
そのように、自分では「こんなこと誰でもできる」と思いがちのスキルは、その職種で飯を食ってない人たちにとっては特別なものだし、ありがたいスキルなのだ。
だから、きみ1人ではどうにも解決できないことが、ほかの人も同じように困っているなら、「一緒に何かできませんか?」と呼びかけてみるといい。
そして、最初の一人に会ったり、スカイプで話してみよう。
2人だけではできないことは、それができる人の参加を2人で呼びかけてみよう。
そのようにしてスカイプのグループ通話が始まるとき、ただの悩みを打ち明けて終わるコミュニティではなく、具体的なアクションを始めるコミュニティを生み出せるかもしれないから。
前述したJAMMINのようにね。
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