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■「ホームレス農園」で安全に作られる農作物たち

 1978年に熊本県の農村地帯で非農家の家に生まれた小島希世子さんは、トラクターやコンバインを巧みに操り、牛と生活をしている近所の農家さんを見て、幼少期より農業にあこがれていた。

 大学のため都会に出てきたところ、「都会には働きたいけど仕事がなく、仕事と家を求めている方々がいる」という現状を知り、衝撃を受けた。

 学生時代からアルバイトをしていた産地直送の会社に大学卒業後に就職し、農家さんと接する中、高い栽培技術を持ちながらも後継者不足で農業をやめていく農家や、慢性的な人手不足の農家、農村の空き家問題を目の当たりにした。

 「求職中の方と人手不足の農業界を結びつけたらハッピーなのに…」
 そう考えた小島さんは、最初に農薬に頼らず、安全性を追求する熊本の農家の奥さんたちと農家直送の通販ショップを20064月に立ち上げた。
 これが現在運営中の「えと菜園オンラインショップ」だ。

 「求職中の方と人手不足の農業界を結びつけたらハッピーなのに…」
 そんな思いから、2011年に求職中の方への就農研修プログラムの提供、農業の担い手不足である農村と都市部の求職中の方の架け橋になるプロジェクト「農薬を使わない体験農園コトモファーム」を始めた。

 神奈川県藤沢市の子どもからご年配の方までが集う農園だ。
 7坪相当の体験エリアで、種まきから収穫まで楽しめるという。
 野菜作り日曜講習・野菜作りサポート・種代・苗代・農器具レンタル代込み・イベント付きで、月額5,000(税別)から。
 収穫した野菜は、もちろんすべて持ち帰れる。

 このファームは、俗に「ホームレス農園」と呼ばれている。
 「働きたくても住所や連絡先もないから無理」だったホームレスの方や、生活保護の受給者、ニートのみなさんが、ふだんから働いているからだ。
 彼らとの付き合いを通じて、小島さんは農業研修や新規就農の難しさに直面した。
 そして、辛抱強く生きづらい当事者たちと付き合い続け、多くの気づきを得た。



●野菜も、人も、とことん付き合う


 これは、小島さん自身が書いた本『ホームレス農園』(河出書房新社)の裏の帯にある文章だ。
 彼女は、安全・安心で美味しい農産品を育てているだけでなく、人間の生きる意欲も育てている。

 小島さんはFacebookでとれたての農作物の情報をアップしており、問い合わせにも随時応じている。


 野菜詰合せの写真をアップしたところ、「詰合せほしい!」という方々がいらっしゃったので、今日または明日に発送しようと思っています。

 内容は、人参、じゃがいも、菊芋、ロマネスコ、紅芯大根、黒大根、レモン。
 野菜は、すべて藤沢市葛原で、農薬・化学肥料不使用で栽培(レモンだけは熊本県のJAS有機認証のレモン)。
 金額は、1850円(1988円税込)+送料(東京・神奈川は594円税込、その他地域は864円税込)。
 380円(410円・税込)プラスで、下記のいずれか1つを追加できます(※送料は変わらず)。

・自然栽培 強力粉(熊本県) 300
・農薬不使用大豆(熊本県) 300
・合鴨が育てた農薬不使用米(熊本県) 300

「今日はあと3セットは出せそうなので、興味があれば、直接メッセージくだされば対応いたします」

 彼女の野菜の詰め合わせの写真を見てると、幸せな気分になる。
 小島さんが収穫物をとことん愛しく思っているのが、写真から伝わってくるのだ。
 それは、「ホームレス農園」で働く人たちへのまなざしにも表れているのだろう。
 彼らも、小島さんの農園で自ら希望を作っているんだと思う。

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