初回から見ているのだが、なんと2回までお家ごと逃げまくる話で、「なんだ、こりゃ」と思った。
確かに、最後の最後で真田幸村が徳川を打ち負かすカタルシスがあるとはいえ、それを盛り上げるために、へたれな逃走劇を見せるのでは、真田幸村という主人公の魅力が多くの人にとって刻印されるには弱い幕開けではないか?
そりゃあ、実際には天下を取ったわけでもない日本史の脇役かもしれない。
しかし、だからこそ真田幸村がやがて徳川幕府を手こずらすだけの「何か」を持っていることを、バシッと描く必要があったのではないか?
歴史ヲタでも、コメディが得意な三谷幸喜という作家にとって、血で血を争う戦国時代を生き抜かなければならない人物を描くには、どこか無理があるのかもしれない。
(一応、最後まで見ようとは思うけど…)
そんな懸念を持ちつつ『真田丸』を楽しみにしている人、あるいは既に「こりゃダメだ!」とあきらめた人に、オススメしたいマンガがある。
剣豪小説で有名になった小説家・柴田錬三郎さんの原作を、ケンカマンガで有名になった本宮ひろ志さんが描いた『真田十勇士』だ。
1975年に初めて単行本が発表されたが、なんと『真田丸』が大河ドラマ化されたことで、今日ではコンビニや書店で上・下巻の2冊が同時に発売されたのだ。
本宮ひろ志さんにとっては初期の作品に該当するが、現在ヤングジャンプの連載中の『サラリーマン金太郎 五十歳』とは絵柄が異なり、若さゆえの荒削りなパワーで真田幸村をイキイキと描いている。
このプロローグが、とんでもなく素晴らしい。
男気を奮い立たせる幕開けなのだ。
それだけでも知れば、このマンガで真田幸村の人生を知る面白さに興味を持ってもらえるだろう。
●天下人になれない多数派に、それぞれの星を示せ!
本宮マンガの『真田十勇士』は、城から夜空を見上げる幸村に突然、天から光が指す。
「天命が下った」と信じた幸村は、たった一人で馬に乗り、天の命じるまま、もくもくと黒煙を噴き上げている鳴動中の浅間山に向かう。
すると、そこで待っていた怪僧が幸村にこう言い放つのだ。
「貴公の星は天下人の星ではござらん。
貴殿の星は、滅びゆく者に栄光をあたえる星じゃ。
幸村よ! 自分の星のもとに生きるならば
火口より噴き出した十個の鉄のかたまりから 十振りの剣を作れっ
お主の星のもとに やがてその剣をもとめて十人の若者が集まろう
そして十人の若者と全国を暴れまわり滅びゆく者に栄光を与えよ
それがおまえの星だっ」
それを伝えた途端、浅間山の噴火で身を焼き、光に包まれて死んでいく怪僧。
そのようすを淡々と受け入れる幸村。
ページをめくると、見開きで「真田十勇士」のタイトル!
どうだい、これ!
まさに、幸村の一生を暗示し、それでも彼の周囲に面白いキャラたちが続々と現れるのを期待させるのに十分な演出ではないか。
さて、堺雅人・主演の『真田丸』は、柴田錬三郎&本宮ひろ志という夢のタッグの『真田十勇士』に面白さで勝てるか?
そんな比較も、大河ドラマの楽しみの一つかもしれない。
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