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■財政赤字ニッポンで60年間も生き抜く18歳のきみへ

 18歳選挙権で政治に興味を持つ10代が増えるのは、悪くない傾向だ。
 そこで、政治活動を始めたり、政治的発言をするのも、自由にやればいい。
 ただし、現状の10代の「政治参加」は、”政治ヲタ”を量産してるようにしか見えない。

 とくに、政治家や既成政党とつながる大人を安易に巻き込む昨今の若者の政治運動は、そのあり方自体が現状の日本の政治の問題点を引き継ぐことになり、誰よりも若者自身の生きる将来に日本を今よりもっと生きやすくさせることにしか寄与しないだろう。

 政治に対して「こんな政策をやれ」と望むことは、「その政策を実現させるコストを賄うために税金を使え」と言っているのと同じだ。
 「いやいや、歳出カットだって政策でしょうが」と言いたい人もいるだろうが、財政の全体と推移を考えれば、歳出が増えるばかりの政策になってしまったのが今の日本と言わざるをえない。


 上記は、財務省の公式サイトで発表されているものだ。
 税金を使う額が増える一方で、財源となるはずの税収は減る傾向にある。
 その間にある「足りない金」は、公債(借金)と新たな増税でまかなっている。
 ざっくり言えば、歳入の半分は借金でなんとかやりくりしている状態なのだ。

 家計で言えば、月給じゃ食えないから借金し、それだけじゃ足りないので、会社の勤務時間以外に内職などの副業を増やしてる状態といえば、イメージできるだろうか?
 借りては返し、返したりないから利息がついた上に、また借りるというやりくりを続けてるのだ。
 そうやってたまりにたまった未返済の借金総額は、1200兆円以上。
 日本は国内総生産の2.37倍の借金を背負ってて、世界でワースト1位(※IMF20134月版データより)。
 家計で言えば、年収240万円(月収20万円)の人が約570万円の借金を満足に返せないまま、借金額を増やし続けてる状態。

 公債の借り手は国内の法人・個人がほとんどなので、にわかにデフォルトは起きない。
 親に借金してるようなものだから、遺産を生前贈与させてもらってるともいえる。
 だが、親の資産がなくなれば、これまでどおりの豊かな暮らしは続けられない。
 親が親自身のために金を使ってしまえば、現状の暮らしが破綻する日は近くなる。
 18歳のきみにとっては、平均寿命までの60年間に起こってほしくないことかもしれない。
 
 しかし、この20年間でここまで借金を増やし続けてきた政策を、今後60年間で借金をしない・減らす政策に180度変えることができるだろうか?
 これは、なかなかの難題だ。
 政策の一大転換をやりとげる天才的な政治家が1人だけ国会議員になっても、総理になるまで20年はかかるだろう。
 そんな人材が出てくる保証は、どこにもない。
 それでも、きみは指をくわえて待ち続けるの?



●政治運動以上に、政治家より賢い社会起業家を知ろう

 シンプルに考えるなら、歳出をカットし、税収を増やすのが、財政の健全化の必要条件だ。
 歳出をカットするには、税金でやっていた公共事業を民間でできるようにし、なるだけ税金を使わなくても済むようにしなければならない。

 事業とは、国民が切実に困っている社会的課題を解決できるために行う活動のことだ。
 イギリスではブレア政権時に、そうした公共事業を民間の社会起業家に任せ、民間でできることを増やしていくことで新たな税金の支出を抑制することができ、財政の健全化に成功した。

 日本でも経産省が社会起業家を広く国民にしらしめる広報支援に力を入れてはいるが、国民の間に周知されているとは言いがたい。
 それに、なぜイギリスや欧米・アジアを含む他国で社会起業家の重要性がピンとくるのに、日本ではなかなか関心を持たれないかといえば、「国民主権」の意識が乏しいからだ。

 「社会を作る主人公が国民だ」という意識が根付いているなら、社会的課題を解決しようとする際に政治家やお役所に真っ先にお願いしようなんて考えない。
 自分たち自身で解決しようと考える。
 ところが、日本では何か困りごとがあると、すぐに役所や政治家を頼りたがる。

 優秀な大学を出たはずの新聞記者やテレビ・ジャーナリストですら、社会的課題を報道する際に政治・行政・司法の不備を真っ先に指摘する。
 市民である自分たち自身でどう解決できるのか、市民による解決事例はこれまでどういうものがあったのかを取材・報道しない。
 市民の方も、政治・行政・司法に頼ってもらちが明かないので、「誰も解決してくれないから仕方なく重い腰を上げて」自分たちで解決の仕組みを作るのだ。

 日本の社会起業家が20年以上前からぽつぽつ現れ始めた当初は、そのように重い腰をあげる人が多かった。
 最近では、金儲けではなく社会的課題の解決を目的とする社会起業家の働き方に憧れて、ソーシャルビジネスを始める世代が急増している。

 いずれにせよ、彼ら民間の社会起業家は、借金と増税でしか国を経営できない政治のあり方に期待せず、自分たち市民の働きで社会的課題を解決できる仕組みを作り出し、結果的に国が新たに借金と増税をする正当性と動機を奪っている。

 子育て支援ひとつとっても、政治家はゼネコンからの利益を期待して保育施設のようなハコモノをばく大な税金で作りたがるが、社会起業家は同じ地域に住むママたちを出会わせて気の合う関係を作り出し、お互いに子どもを安心して預け合える仕組みを作り出すことによって、当事者の負担がほとんどない形で子育てと仕事の両立ができる仕組みを全国にインフラとして構築している。

 障がい者福祉にしても、国は「支援」の名の下に支援者の人件費にだけばく大な税金を投入し、障がい者は健常者から見るとありえない低賃金のままにされているが、社会起業家は障がい者と対等に汗を流してビジネスを作り出しては、その利益によって支援者・被支援者の別なく健常者並みの月収を得られるようにしている。

 だから僕は、若い世代には、「政治に関心を持つ以上に社会起業家の仕事を学ぼう」と呼びかけている。
 そういう「政治家にお任せ」の文化のままでいては、これまでどおり歳出カットもできないし、税収を増やすために企業の収益や国民の所得を増やすこともできないからだ。

 税金を使うことしか考えず、歳入不足に困ったら借金と増税しかできない「知恵のない政治家」をいくら応援したところで、困るのは今後60年間を生きる若者、きみ自身だ。
 政治運動の中で思想の左右を選んで特定の政治家を支持するのは自由だが、きみが支持してる政治家は、きみを今より生きづらくすることはできても、生きやすくすることは望めないと覚悟しておこう。

 そんな無能な政治家たちに期待するより、社会的課題の解決を政治家の特権にせず、民間ですぐれた解決の仕組みを生み出してる社会起業家から多くを学ぶことに時間と労力を割いて学んでみてはどうだい?
 それからでも、政治活動を始めるのは遅くないはずだ。

 社会起業家によって社会的課題を解決することがより速く進み、より大規模に展開できれば、その分だけ政治家の出る幕はなくなる。
 税金を使って解決事業をする必要が減るのだから、自分の手柄として予算をつけたい政治家が企業と結託して利益を得る機会も減るため、既得権力を奪うことになる。
 それこそが、政治家から国民の手に主権を取り戻すってことじゃないかね?

 若い社会起業家がもっともっと増えていけば、国民の間に「国民主権」の意味が浸透し始めるかもしれない。
 それこそが民主的な国づくりそのものだし、強行採決を平気でやってしまう野蛮な政治家を国会に送らずに済む空気をこの国に作っていける大きなチャンスになるはずだよ。

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