新潟県三条市の市民福祉常任委員会のメンバーである西川重則・議員(66歳・自民クラブ)は、燕三条エフエムの生放送番組のパーソナリティーについて、予算委でこう発言した。
「オカマと聞いている。
社会常識からして、正常な形でない人を支援する必要はないのでないか」
西川議員は翌日に陳謝し、発言を撤回し、発言は議事録から削除された。
「議員さんの発言については、当該議員さんの申し出により、議事録から削除されたようでありますので、二元代表制のもう一翼を担う市長である私が、本件に対し、直接的に今更どうこう申し上げる立場ではありません」
「極めて間接的に、一リスナーとして、一言だけ申し上げたいと思います。
燕三条エフエム、大好きっ!」
国定市長は、二元代表制だから市長の自分は議事録から削除された件に何も言う立場ではないという。
二元代表制とは、議員・市長がそれぞれ選挙で市民からの民意を得て市政を担う制度。
二元代表制の特徴は、互いに相手の仕事を尊重しながらも、相互のけん制・抑制と均衡によって首長(市長)と議会が緊張関係を保ち続けることが市民から求められている点にある。
わかりやすく言えば、議会側にいる議員が市民を傷つける言動をとったなら、「それ、おかしいやろっ!」とツッコミを入れるのが、市民から「緊張関係」を求められる市長の仕事になる。
「議会側の議員が何をしようと、市長の俺の責任には関係ないね」では、済まないのだ。
2015年11月、神奈川県海老名市の鶴指(つるさし)眞澄・市議が自身の公式Twitterで同性愛について「生物の根底を変える異常動物」と書いた件で、海老名市議会は鶴指議員に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決した。
議員たちがマイノリティへの差別を「重大な人権問題」として自発的に議題にのせられるだけの人権意識があれば、当然の結果だろう。
三条市の場合、共同通信の記事によると、西川議員の発言を問題視したのは、市民福祉常任委員会のメンバーではなく、「市民から抗議」だったようだ。
市民を「正常な形でない人」と呼ぶことに、議員の誰もが問題にしなかった。
そんな議会に対して、市長まで「今更どうこう申し上げる立場ではありません」とは、時代認識や社会常識において海老名市との大きな違いを感じる。
●三条市が「差別で有名な街」になってもいいの?
この問題は既に地元紙の新潟日報だけでなく、共同通信によって東京新聞やマイナビニュース、沖縄タイムス、日刊スポーツなどのニュースとして日本全国に知れ渡っている。
朝日新聞や毎日新聞、産経新聞、HUFFPOST、NHKのTVニュースなども、記事で問題視している。
朝日新聞や毎日新聞、産経新聞、HUFFPOST、NHKのTVニュースなども、記事で問題視している。
もし、海老名市のように辞職勧告決議案を市長も市議も誰も出さないままなら、三条市がLGBTにとってどれほど暮らしにくい街なのかを広めることになる。
市長が議会と上手に交渉するコミュニケーション能力を欠いていれば、是正すべきこともできないまま、市民だけが「差別で有名な街の人々」という悪いイメージを付与されることになるのだ。
三条市の市民にとって、これほど迷惑な話はない。
なにしろ、西川市議は朝日新聞の取材に応えて、こう言ってるのだから。
なにしろ、西川市議は朝日新聞の取材に応えて、こう言ってるのだから。
「自民党公認で選挙をしている私としては、党の『男は男らしく、女は女らしく』という伝統的な家族観を広める立場にある」
しかも、毎日新聞でも同じ主張を繰り返していた。
「男は男らしく、女は女らしくという考え」
3月14日 NHK TV 夜10時50分のニュースより |
ひとり親や出戻り、外国人や障がい者、ニートやユニークフェイスなどまで、マイノリティ(社会的少数者)はさまざまな属性として多くの該当する市民がいる。
彼らがマイノリティゆえに市政から関心外にされていけば、いずれ街を出ていくしかない。
このままだと、三条市は消滅可能性都市へ前進していくだけだ。
国定市長の「今更」の姿勢は、より若い世代にとって住み続けたいまちづくりだろうか?
三条市の市民にとって有益なことだろうか?
市長や議員になめられたままで、本当にいいのだろうか?
市長や議員になめられたままで、本当にいいのだろうか?
有権者には解職請求権があるのを、市長や市議は忘れていないか?
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