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■授乳服の広告をエロだと判断・拒否したFacebook

 何でも自動化させると、市民の誰もが「良い」と歓迎するようなものまでデジタルに拒否される。
 それが、オンライン・サービスにおける自動設定の愚かさだ。
 とくに、男社会を前提としたガイドラインで一律に特定の画像を見せない設定をしてしまえば、おっぱいが見えないのに授乳中の母子の画像がシャットアウトされることがある。

 そういうことが既にFacebookでも起こっており、多くの母親たちが困惑している。
 この問題は、まだ新聞もテレビも取り上げてない(※4月13日時点)。
 Facebookの運営者に疑問を投げかける意味も込めて、この事例をわかりやすく紹介しておこう。

 1997年、日本のママたちには、切実に困っていたことがあった。

 赤ちゃんが生まれると、電車やバスなどの交通機関を利用して家の外へ行くことが難しかったのだ。
 赤ちゃんは、おっぱいがほしくて突然、泣き出してしまう。
 電車やバスの中で泣き出すと、さすがに周囲の目が気になるし、降りようにも降りられない。
 だから、仕方なくその場で授乳させるしかなかった。
 周囲の視線に耐えながら。
 だから、外出をためらい、復職を先延ばしにせざるを得ず、元のポストに戻れず、夫婦の所得合計が出産前より低くなってしまったり、赤ちゃんと二人きりで向き合う毎日がいつまでも続いて育児ノイローゼに悩み苦しむママたちも今日よりはるかに多かった。

 そこで、出産直後のママなら誰もが困っているこの社会的課題に対して、茨城県つくば市でママさんたちが集まり、授乳しててもおっぱいが見えない「授乳服」を作ることにした。
 日本全国どこでも同じ悩みを抱えてるママたちがいるし、素材費も郵送費もかかるから、ボランティアや寄付では授乳服を提供できない。
 そこで、ビジネスとして取り組むことにした。
 それが、現在まで続く授乳服ブランド「Mo-House」(モーハウス)だ。
 おかげで、多くのママさんたちが視線を向けられること無く人前で堂々と授乳できるようになり、出産後も外へ出ていける自由を獲得した。

 モーハウスは、ソーシャルビジネスの先駆けになった、日本の誇るべき社会起業家である。
 そのモーハウスが以下の画像を使ってFacebookに広告を出した。
 ママさんたちが授乳中の写真だが、とてもそう見えないところが、モーハウスの服が優れている証拠なのだ。
rejected contents
 すると、以下の理由で取り消されてしまった。

「このコンテンツの広告は禁じられています。
 広告で、成人向け製品またはサービスの販売または使用を宣伝することはできません。
 これには、玩具、ビデオ、出版物、ショー、性的増進製品などが含まれますが、これに限りません
 家族計画や避妊に関する広告は、以下のターゲット条件を満たすことを条件として認められます。 
 広告を再送信する前に、以下のリンクよりヘルプセンターを参照してください。 
 ここには、Facebookの広告ガイドラインに準拠した追加情報や例が記載されています。」 



●独身男性も、出産に関心のない人も、ぜひ拡散を!

 授乳服は、主に出産後に使用するのだから「成人向け商品」かもしれない。
 しかし、たとえ、そうであっても、Facebookのガイドラインは、以下のように説明されている。

性的なヘルス製品やサービス(避妊薬、潤滑剤、ジェル、性に関する健康情報など)を宣伝する広告は、場合によって許可されますが、ターゲットとする人々は対象の管轄区域内で性行為の同意能力があると認められる年齢以上であること、また該当する場合には、その管轄区域内で性的なヘルス製品やサービスの利用が認められる年齢以上であることが条件です

 モーハウスが事業を起こす前から、欧米圏では授乳服が流通していた。
 それなのに、日本だけが授乳服では広告出稿ができないとすれば、日本版Facebookの運営者たちが、授乳服の存在を知らなかった可能性が高い。
 運営者の周囲に出産後の女性スタッフがいなかったり、ガイドラインの中身を検討する時点で女性に発言力を持たせなかったのかもしれない。
 いずれにせよ、もしそのような運営体制だとしたら、女性の活躍にとって必要な授乳服の広告を拒否するFacebook日本版の運営には、時代遅れの感がある。

 モーハウスは、Facebookページで穏やかに疑問を投げかけている。
 Facebookユーザは、リンク先に飛んでシェアしてほしい。
 また、新聞やテレビでもFacebook日本版の運営者に取材し、問題提起できるよう、このブログ記事を拡散してほしい(※下記のtwitterなどでのアイコンをご利用ください)。

 なお、モーハウスの代表・光畑由佳さんは、『働くママが日本を救う! ~「子連れ出勤」という就業スタイル』(マイコミ新書)という本を発表している。
 保育所問題も、モーハウスでは当たり前の子連れ出勤を多くの企業が採用すれば、かなり解決に近づく。
 男の経営者が赤ちゃん同伴で仕事のできる仕組みに関心を持てば、「ワーク・ライフ・バランス」より、「ワーク・ライフ・ミックス」の働き方ができることを、多くの人に知ってもらいたい。

 同時に、機械による自動化を進める人間自身が社会的に未熟だと、上手くいくものさえ上手くいかず、むしろ困った自体を引き起こしてしまう恐れを忘れないでほしい。
 原爆を作った理性だけで物事を進めれば、取り返しのつかない悲劇を産んでしまうことは、日本人ならピンとくるはずだろう。

 Facebook Japanの代表・長谷川晋さんには、早めにこの問題を解決してほしいところだ。
 たった一人でも女性がガイドラインを見直せる立場にいれば、起こらなかった問題なのだから。
 では、日本の女性たちをもっと自由にするために、拡散ボタンへ!(独身男性も拡散して~)

 なお、この記事について、フジテレビのニュースが取り上げてくれた。

 しかし、4月20日時点でも、まだFacebook側は広告出稿を許可していない。
 九州の被災地でも、避難所での授乳に困っているママたちが大勢いる。
 Facebook側には、認識を一刻も早く改めてほしいところだ。



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