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■世界を変える10代の起業家たちが、全国で増殖中!

 拙著『よのなかを変える技術 14歳からのソーシャルデザイン入門』(河出書房新社)には、10代で社会起業(ソーシャルビジネス)を始めている事例をたくさん紹介した。
 社会を動かす新しい風は、いつの時代も若い世代から吹き始めるからだ。

 そして、そうしたムーブメントは、おじさんたちがテレビや新聞、雑誌で取り上げることが、なかなか無い。
 まれに取材した番組や記事があっても、取材する側は「これはレアケースだろう」とタカをくくっていることがほとんどだ。

 しかし、パソコン以前のマイコンにハマっていた1970年代当時の10代にとって、パソコンや個人ユースのシンセサイザーの時代の到来が「当然そうなる来るべき未来」であったように、ソーシャルデザイン/ソーシャルビジネスを当たり前のように同時代感覚としてとらえて起業する10代は世界中に増えている。

 時代の最先端は、テレビや新聞などで有名になる大人たちではなく、マスメディアが取材してもその価値を不当に小さく見積もってしまっている10代のビジネスにこそあるのだ。

 そこで、最近の10代のソーシャルビジネスを報じたものの中から、面白そうなものをランダムに拾い上げてみたい。




 上記の動画を見ればピンとくるように、みんなが困っている社会的課題を解決しようと思えば、解決のための莫大な経費がかかる。

 だから、その経費を寄付や収益事業(商品化・サービス化)などによって埋め合わせ、解決事業を持続可能にする仕組みを作るのが、ソーシャルデザイン/ソーシャルビジネスのミッションだ。

 利益拡大よりも、課題解決にお金と時間、労力を優先的に投資し、なるだけ早く、なるだけ広く、なるだけ多くの人たちの満足度を上げられるように課題を解決しようとするわけだ。
 そこが、根本的に従来の利益至上主義的なビジネスによる課題解決とは根本的に異なる。

 福島民友の記事(201659日)によると、電子部品を使ったアイデアを競う国際大会「第7回国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテスト」に、郡山北工高コンピュータ部が出場した。
 彼らは、乳幼児の死因として窒息死が多いことを授業で学び、うつぶせ寝による死亡事故を防ぐための機器「ベビー・インフォーマー」を開発(※写真は福島民友のオンライン記事から)。
 乳幼児の体の傾きを検出し、スマートフォンを接続することで一定の角度に傾くと音声や画像で知らせる仕組みだ。

 こうした開発ツールは今後、商品化が検討されると思うが、高校生の開発の努力や知恵が商品化による収益分配で正当に評価されていけば、課題解決のできる商品・サービスの企画に取り組む高校生もさらに増えるだろう。

 昨年12月、CAREER HACKに取材された仲田洋子(なかだ ひろこ)さんは、20155月に16歳で起業した沖縄在住の高校1年生だ。
(※写真はCAREER HACKサイトより)

 中学生の時にプログラミングや起業に興味を持った彼女は、Ryukyufrogsという起業家人材育成プロジェクトに参加し、シリコンバレーに派遣された。

 また、中学生時代には、東京のLife is Tech!という中高生向けプログラミングキャンプに参加し、10代でアプリを作ったり、起業してる同世代の存在を知り、「自分も何かできるんじゃないかって意識が高まりました」という。
 そして、彼女はWebメディア「ROLEMODEL okinawaを立ち上げた。
 地元・沖縄の若者たちの選択肢を広げたいと、日本や世界の各地で活躍するさまざまな沖縄出身者に、中高生からの質問を投げかけていく。

 海が汚染されて困っている。
 赤ちゃんのうつぶせ寝が心配で、親が落ち着いていられない。
 学力は全国で最低、失業率も高いために、将来の選択肢が少ないと絶望してる10代がいる。
 こうしたみんなが切実に困っていること(=社会的課題)を解決できる仕組みを作り出し、誰もが生きやすい世界へ変えること。
 それが、社会を変えるってことだ。
 その解決には金がかかるから、その金を作るためにビジネスを興す。
 それが、社会起業ってものなのだ。



●生きやすい社会への変革は、いつだって「一人」から始まる

 「つまらない世の中だ」と思うなら、自分が面白いと感じられるように面白くすればいい。
 一人で孤独を感じてるなら、自分が素直に面白がれる人たちが思わず集まる仕組みを作ればいい。
 多くの人が困っている現実を見過ごせないなら、たった一人でも動き出せばいい。

 河北新報の記事(5月9日)によると、東日本大震災を経験していた熊本マリスト学園高2年の杉沢真生(まさき)さん(16歳=写真)が、出身地の仙台市でたった一人で熊本地震の募金活動を11日間も行い、90万円以上も集めた。
 何かに動き出す時は、誰だって、いつだって、一人から、なのだ。

 しかし、みんなの役に立つアクションやビジネスなら、大人もこぞって報道したがるし、最近では10代の起業を応援する仕組みが全国各地でたくさん試みられている。
 やる気のある10代がいるからこそ、その思いに応えたいと動き出す大人たちも出てきたのだ。

 たとえば、AOKI起業家育成プロジェクト実行委員会が「日本におけるスティーブ・ジョブズを育てたい」と、今年8月に横浜国大で特別講座「中学生のための起業家育成スクール」を開設する。
 体験型ワークショップでは、受講者5人ごとに第一線の現役社会人1人が指導役として付き、ビジネスモデルを策定。
 来年3月には米国シリコンバレー中心の海外視察を行うという(カナロコより)。

 日本政策金融公庫でも、高校生を対象としたビジネスプラングランプリを開催しており、今年で第4回を迎える。
 日本の経済が傾いた今、大人たちは中高生からすぐれた起業家が生まれることを期待しているのだ。

 僕自身も、自治体などから招かれてソーシャルデザイン/ソーシャルビジネスについて講義している。
 今年8月7日にも京都で以下のような講義・ワークショップの講師を務める。


 女性対象の「中丹スモールビジネス起業塾」だ。
 1~3回目は公開で、このときだけ男性もOK。
 会場や時間帯、申込方法などの詳細は、下記の主催者までメールで問い合わせてほしい。
 conceptforx@gmail.com(実行委員会・塩見直紀さん)

 また、上記に併せて京都周辺でオフ会も開催したい。
 『社会起業家に学べ!』(アスキー新書)や『ソーシャルデザイン50の方法』(中公新書ラクレ)などを読みながら、楽しみに待っててほしい。

 なお、この夏、全国から10代の起業家たちを渋谷に集めて、同世代を刺激するビジネス・トークを気軽に聞けるイベントを開催する予定だ。
 現在、ブログ記事で出演条件を公開し、出演者を公募中。
 自薦・他薦を問わないので、あなたの住む地域や友人・知人に面白いビジネスを手がけている10代がいたら、このブログ記事にあるメールアドレスから紹介してほしい。

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