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■どん底を知る人の歌に、耳をすませて

 よのなかには、不当に差別されている人たちがたくさんいる。
 その一つは、学歴差別だ。

 ホームレスが「怠け者だから家を失った人たち」と思われがちであるように、高校中退者や中卒者を「努力が足りないから低学力のまま勝手に不幸になっている人たち」と考える人は多い。
 家庭の所得や、育つ街の環境、不景気、政府の無策など「大人の都合」によって、特定の子どもたちが貧しい暮らしや孤独、低学歴を強いられている構図があることを、忘れてはいけない。

 全国に先がけて高校中退者の受け入れ制度をつくった北星学園余市高校(北海道余市町)には、幼い頃から「どん底」を生き延びた人たちが集まってくる。
 その50期の生徒会長・小林毘鞍(びあん)さんが「毘沙門天」として発表したラップの一つが、『母子家庭 ~母~』だ。
 まずは下の歌詞を読みながら動画を観てほしい。



ダイエー横 卸売りの生活 変化の中 求めすぎる贅沢
地家の人か金持ち 家に着くのは太陽の明けどき
寝床がなきゃ満喫へ 保てねぇ心の対角線
Sorry 恥じらい隠してきた 母との会話はパンク寸前

虐待かす彼氏は人か 切れずに切れない一本の糸が
写真の中 活気立つ叫び ふと気づいた 七つなる前に
ガキにはまだ苦いアイスティー 血の繋がりのないサディスティック
彼氏がいた消したい過去 思うことか 病院の手違いかと

いじめられてたあの児童館 思った死のうか 行けばお利口か
親父がいればあるの希望は 言われず待った どっか行こうか
死した親父生きてた喜び 期待かき消す母のほころび
哀れに見つめる惨めな鳩 変わった名前はいじめの的

震災後なくなる家 奇跡的 俺は腹の中にいて
時立ち変わりゆく視線 眉間シワよせられた意見 出来ない否定
肩の重荷は常にG-SHOCK 母がくれた生き抜くヒント
血が滲んでも貧乏 金はねぇ ダチがいたから出来たHip Hop

わっぱ上等夏の15 ポリ公は常に用意周到
優しさ溢れる 面会は週5 面影すら全てをミュート
生活するには全て独り身 快楽を求め走るみどりに
孤独な母に空も泣いてる バカな煙は常に立ち上る

東灘悪高い街 いつまでも枠がない かつ楽じゃない
わりに人の格差ない 無くさない きばみきった縦社会
体の重りかす一千万 頭の中では日々Remember
願い続けるのはただ奇跡か まるで寒さ感じないDecember

人は修羅場じゃ自分が第一 ハメを外せばわっぱが来日
本能しかないただの野蛮人 2400小さな胎児
大事な仕事にこない追い風 どこと変わらぬ母子家庭
小さなこと全て良し悪しで 少し壁が高いだけの小さなハンデ

オールウェイズ オールウェイズ 羨むばかりの瞳は 明るいとばり
オールウェイズ オールウェイズ 名前も知らないあかの他人の親父
オールウェイズ オールウェイズ 虐待かす 罵声の残像
オールウェイズ オールウェイズ 削除は出来ねぇ 黒すぎる過去
オールウェイズ オールウェイズ 話も出来ねぇ 独房の中じゃ
オールウェイズ オールウェイズ 格差もねぇ 無性の仲間
オールウェイズ オールウェイズ 言葉の中身はたとえありきたり
オールウェイズ オールウェイズ それでもいい 伝わる愛次第

まだ大丈夫 まだ生きてる
前しか見えなかった まだ青い日
時間に余裕を持つと すぐに時は過ぎ去る 先は後悔
片寄れ愛の母子家庭 羨むのもいいが
前を向いて 今を生きる それまで



心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ

 上記の歌詞で描かれた東灘区は、神戸市の一角にある。
 1995年の阪神・淡路大震災では、最大震度7を記録した場所だ。
 大震災を経験した被災者の方にしか、そこで暮らすことの意味はわからないだろう。
 想像を絶する不遇の中で、小林さんは生まれ育ち、北星余市に入ってこの歌を作ったのだ。

 震災が起これば、ボランティアに駆けつける人もいる。
 しかし、平時なら何も動かない。
 学力では勝てない人たちを低所得層に貶め、健常者には勝てない障害者を福祉の檻の中に押し込め、不幸な人を「不運だ」と煙たがる現実を、所得も学歴も高い方々は関心外にし、目先の利益を追ってばかりいる。



 僕らが今必要な生き方は、既存の仕組みでは救われない人が生きていける仕組みを、政治家などをあてにせず、民間で市民自身が自分の日々の仕事によって作り出すことではないか?

 自分では選びようもない不遇な生い立ちゆえに、怒りや哀しみによって社会から分断され、孤立を強いられている人々と、助け合い、同じ幸せを分かち合える仕事を作り出すことはできないのだろうか?

 関西には、全国的にも有名な日雇い労働者(野宿者)の街もある。
 釜ヶ崎(あいりん地区)だ。
 そこで生まれ育ち、地元にこだわったラップを作り始めたのが、SHINGO西成(シンゴ にしなり)さんだ。

 彼の心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ』を聞くたびに、僕は思うのだ。
「どん底というのは、その下がないから、見上げるしか無いんだよな」と。



歌いたい 叫びたい 会いたいやつには会いたい
My Life 伝えたい 冴えないこともあるけど
逃げない 諦めない 負けない 自分に負けない
上手くいかないこともあるけど ええことあるよ きっと見つかるよ
心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ
心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ

行けるならGo!! 見えるならGo!! 見てるだけNo!! 逃げるのはもう
やめにしよう 素直にいよう 今できることからやってみよう
俺は下町焦げたアンパンマン もう満タンや準備万端や
暗いとこから這い上がった 音楽の力を見せてやろう
音楽が俺の翼になった だからどこまでも飛んでいける
いける Fry今なら言える 出来る出来る 俺らは出来る
心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ
心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ

負けない一心でやってきた でも上には上がいるんやね
でも 続けることから始めよう 気付いてくれる人いるんやね
要らないもんは捨てましょう 軽くなったらまた会いましょう
やるべきことをやってたらな なるようになる いつか春になる
欲しいもん自分で手に入れる 覚悟してるならほな試そうや
ほんま長い旅になりそうやな いつか会えるかなトムソーヤ
毎度!  元気?  バイバイ ほなな 言葉少なくていい 気持ち伝わればいい
Every Thing Gonna Be All Light
Every Thing Gonna Be All Light

今日も学校仕事に向かう 自分を抑えて時間を使う
1円に泣き1円に笑う また請求書 また金払う
金かねカネの世の中で 金だけにこだわっていたら負け
金が人を狂わせている 仲間も手を震わせている
泣いてばかりじゃ音がズレる 死は平等に訪れるから
死ぬのは怖くは無いねん でも生きていくのが怖い日がある
生活の安定を求めて 気持ちが不安定もあるって
1回きりの人生やもん かけてみよ自分の可能性!

心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ
心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ
心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ
心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ

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