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■沖縄でアメリカ兵に日本人女性が殺され続ける屈辱


 アメリカ海兵隊の元隊員で、空軍嘉手納基地で働く軍属のシンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32=与那原町)は、428日から翌日未明までに、沖縄県うるま市の会社員・島袋里奈さん(20歳)を殺した。
 警察は現在、シンザト容疑者を逮捕し、詳細を取調中だ。
 シンザト容疑者の供述によると、わいせつ目的で島袋さん(※写真はテレビ東京より)の背後から棒で殴り、首を絞め、ナイフで刺殺。
 遺体を恩納村の県道脇の雑木林に遺棄したという。

 この事件の痛ましさをやり過ごせない一人の女性が、519日に議員会館前で声を上げた。
 糸数けいこ・参議院議員(沖縄社会大衆党)だ。
 彼女の声に少しだけ耳を貸してほしい。



 生協労連(全国生協労働組合連合会)が、糸数さんのスピーチをFacebook上に書き起こしていたので、以下に全文を引用したい。

いったいいつまで、沖縄の私たちはこのように人権を脅かされて、普通の生活すら認められないという、許されないというこの状況、今、怒りと悲しみでいっぱいです。
 米兵に殺害された島袋さんは、わずか二十歳という本当に短い人生。
 これからの希望に満ちた人生を歩むこともなく、元海兵隊の32の米兵によって、残念ながら殺害され、今日遺体となって沖縄で遺体が発見されたという、この、この現実に直面して、私は言葉がありません。
 1955年、由美子ちゃん事件という、6つになる女の子が当時の石川市で米軍によって米兵によって殺害されて、嘉手納に遺体を遺棄された。
 95年のあの少女の暴行事件
 そして、数限りなく続く米軍の基地があるゆえに発生するこのような事件、いったいどれだけの命が奪われて、どれだけの悲しみが、沖縄の人たちをこれから先も苦しめるのか。
 とんでもないと思っています。
 あの辺野古に新しい基地を作ることに、なぜ80歳、90歳の沖縄のお爺やお婆が座り込んで反対するのか?
 生きているこの生命をかけてでも新基地建設を阻止したいのか?
 戦争中の事件や事故の悲しみもさることながら、いま平時です。
 戦争じゃありません、日本は。
 でも、戦争と同じようなことが、米軍によって引き起こされる。
 私たちは何度も抗議行動しました。
 何度も日米両政府に訴えました。
 でも、このような被害が、いま二十歳の女性の命を奪ったこの現実に直面して、悲しも怒りもありますが、遺族の方のやりきれない怒りを、悲しみを考えると、私たちは沈黙したほうがいいのかどうなのかと、いま沖縄の地元で多くの女性たちがこのことに関して話し合っています。
 私も子どもがいます。
 起こったこの場所は、普通の私たち沖縄の県民が住んでいるところです。
 誰もがこのような事件に遭う。
 そのような危険のなかで生活をしています。
 みなさんと一緒に戦争法もちろん廃止に追い込んで、今のこの安倍政権、本当にサミットにオバマさん来て何を語るのでしょうか?
 広島に行って何を語るんですか?
 許せません。
 私たちは、たった140万の沖縄の県民かもしれません。
 けれども、米軍の基地の74%を押し付けられているこの状態の中で、日本の国が本当に民主主義国家であるならば、なぜアメリカに対してこの沖縄の県民の思いを誰も訴えてくれないんですか?
 県民が訴えて、知事が訴えて、私たちが何度も抗議行動しても、一顧だにされない。
 位協定の改定すらされない。
 このような状況を変えていきたい。
 その思いで、本当に私も今つらいです。
 けれども、みなさんと一緒にこの場所から、戦争に繋がるすべてのものに反対をし、とりわけ安倍政権打倒のために頑張っていきたい。
 そのように決意したいと思います。
 本当にみなさん、寒い中ではありますが、沖縄の女性たちも、もちろん男性たちも、多くの県民が怒りでいっぱいだということをお伝えし、その怒りをみなさんと共有し、解決のために何ができるか、考えて行動に移していきたいと思います。
 ありがとうございました」


●希望のしっぽをつかむため、「政治的解決」以外を考えよう


 糸数さんの声が、上ずっているのがわかる。
 沖縄で戦後ずっと続いてきた米兵による殺人事件に、怒りと哀しみが隠せない。
 もう、そんな生活環境には耐えられない。
 彼女のそんな思いが伝わってくる。

 沖縄の女性グループ「基地・軍隊を許さない行動する女たち」がまとめた『米兵による戦後沖縄の女性に対する犯罪』には、1945年から1995年までの50年間の屈辱の歴史が記録されている。
 一つ一つの事件を読むたびに、基地反対のために行動することは、沖縄に住む女性たちにとって、イデオロギーの対立を超えた”生存を賭けた戦い”に見えてくる。

 男は簡単に日本とアメリカのさまざまな力関係に言い訳し、「仕方ない」と頭でっかちにあきらめてしまいがちだが、男より力の弱い女は「オンナコドモが殺されたり、レイプされたりしない安心の暮らし」だけをひたすら求めてきたのだ。

 日本人が精神的に弱いとか、アメリカ人が立場的に強いとか、そんな力関係の事情など、どうでもいい。
 日本人であろうと、アメリカ人であろうと、弱い存在であるオンナコドモの生命と尊厳が危険になっている現実に怒れるはずだ。
 悲しめるはずだ。

 想像してほしい。
 あなたのお母さん、奥さん、娘さんが、街に出るたびに兵隊に出くわし、路上や飲食店などで「殺されやしないか」「レイプされるんじゃないか」と恐怖と警戒の気持ちを抱かなければならない日常を送っている。
 その街に住み続けられるか?

 僕ならすぐにでも引っ越したくなる。
 しかし、その街が愛する女性にとって生まれ育った故郷で、祖父母や親戚も友人も住んでいるなら、「故郷を捨てろ」なんて、とても言えない。

 男たちで占める国会議員たちは、70年間という長きに渡って沖縄の基地と米兵の問題を満足に解決できなかった。
 今後も、日本人の少女や女性に対する米兵のレイプや殺人は起きるだろう。
 沖縄県民は、いつ終わることもわからないこの屈辱に耐え続けていくしかないのだろうか?
 政治的に解決できないなら、他の解決手段は本当に無いのだろうか?

 沖縄で米兵が70年間も殺人やレイプで日本人の少女や女性を苦しめてきたことを、アメリカ在住の一般市民のほとんどが知らないはずだ。

 たとえば、オリバー・ストーンなどの欧米の著名な映画監督ならそのことを映画にして世界に訴えられるし、世界で活躍するU2のボノみたいな有名なミュージシャンなら歌も作れる。
 沖縄の平和は、日本人がそうしたセレブに送るたった1通のメールから始まるのかもしれない。
(実際、欧米の映画は途上国の問題を世界に知らしめたり、ロックはアフリカの飢餓の深刻さを世界に知らしめてきた歴史と実績がある。『USA for Okinawa』のような歌もできるはず)

 沖縄県以外に住んでる日本人も外国人も、沖縄について少しずつでいいから知っておこう。
 「政治にしか社会を変えられない」という思い込みを捨てれば、これまで見えてこなかった解決の糸口も見えてくるはずだから。
 あきらめていたって、何も始まらない。
 政治にばかり期待して思考停止していたところで、誰も幸せにならない。
 希望のしっぽをつかむために、きみにもきっとできることがあるのかもしれないよ。

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