まず、同サイトに「ねこ交番」さんが書いた説明文を読んでほしい。
東京都墨田区にある猫カフェ「ねこのて」は劣悪な環境で猫を飼育し、病気を蔓延させたなどとして、2016年4月21日に動物愛護法に基づき、1カ月の業務停止命令を出されました。
しかし、私達は、この一か月の業務停止命令で終わったとはおもっていません。
なぜなら、そもそもオーナーである松崎和子氏や責任者である成瀬澄江氏の両名に猫を適切に飼育・管理する知識及び責任能力にかけており、情報開示請求によって判明した事実によれば、2010年の開業から2年後には、苦情が始まり劣悪環境となる前兆がみられていました。
2012年より東京都福祉保健局からの度重なる注意・助言にも改善を行わずに自己の利益のみを優先し、動物(猫)が 飢餓状態や病気であっても適切な対応をせず6年にもわたり営業を行ってこれたことは、東京都が許可(更新)を与えていたことがそもそもの原因であると考えています。
2度とこの両名が動物に関与する事業を行えることがないよう、「第一動物取扱業登録」の取消を要求します。
更に、一刻も早くこの猫達が自分たちを大事に愛してくれる飼い主さんと出会えるようになるために「ねこのて」のオーナーが猫たちの所有権を放棄するよう求めます。
ねこ交番ブログに「ねこのて」劣悪飼育の推移をサマリーとしてアップしています。
http://blog.livedoor.jp/nekokouban/
5月27日時点で、以下のような追記が発表された。
5月26日に東京都厚生員会にて今後の「ねこのて」の処遇について協議がなされました!!
免許取消の方向性ではあるも、猫達の所有権の放棄の確約までには至っておりません。
今のオーナーから全頭引取り、里親をみつけられるようご協力を引き続気お願いいたします!!
「ねこ交番」ブログに東京都議会福祉厚生委員会宛に提出した意見書を載せました。
ご賛同者の方々、更なるシェア拡散をお願いいたします。
猫の殺処分問題をビジネスの仕組みで解決している社会起業家のNPO法人東京キャットガーディアン(事務局:東京都豊島区)の代表・山本葉子さんは、この問題に憂慮し、以下のように指摘している。
「ねこのてという猫カフェは、昨年フジTVの潜入取材などで話題になりました。
ところが、オーナーが繁殖業者(ブリーダー)をも行っていることもあって手術をしておらず、6畳ほどの不衛生な場所に最盛期62頭(ちび猫多数)という事態に陥っています。
そのため、行政(東京動物愛護相談センター)の職員も利用者からのクレームを受けて動き、初の業務停止処分(一ヶ月)が決まりました。
資格剥奪まで行けたとしても、所有権の壁があります。
東京キャットガーディアンでは、当初から全頭受け入れ(所有権移転)の申し出を、交渉に当たってくださっている方を通じて行っていました。
今後も続けていくつもりです」
山本代表の申し出に対して、「ねこのて」のオーナーの反応は、「いくらで買う?」というものだったそうだ。
●可愛くふるまわないと生きられない世界を作ってるのは誰?
動物の殺処分問題は今日、深刻な社会的課題になっている。
保健所で殺されないように、野良猫を保護する活動も盛んだ。
大阪・心斎橋にも、5月22日、保護猫複合施設「ネコビル」(大阪市中央区東心斎橋1、TEL 06-4708-3889)がオープンした。
(運営は、保護猫カフェを運営する株式会社「ネコリパブリック」が担当)
しかし、保護活動には、多くのコストがかかる。
事務所の家賃・光熱費、専従スタッフの人件費、活動の成果を知らせるための広報宣伝費など、活動に従事すればするほど、そうしたコストはふくれあがる。
そこで、自分たちの能力・人的資源・資金などを超えるほどの頭数を無理やり保護すれば、当然ながら保護された猫それぞれに対する扱いはぞんざいになりかねない。
東京キャットガーディアンのように、きちんとビジネスによって収益を確保し、保護活動にかかるコストを賄えるシステム(仕組み)を構築しているなら、いざという時に全頭受け入れを決意する根拠も生まれるだろう。
しかし、そういう仕組みを構築しないまま、保護活動のための寄付金を集めたり、企業や自治体、財団などから助成金をもらうなど、コストを埋め合わせようとすれば、資金不足に陥った時に切実に困るのは、人間よりむしろ、保護された猫の方だ。
同情心だけで突っ走り、自分自身の経営力不足を認めないままでいれば、支援される側が困ってしまう。
その「支援される側」が動物だったり、対人恐怖に苦しむ人間だったり、日本語がわからない難民などだったら、彼らの不満の声は多くの人に届かないままだ。
現代日本には、さまざまな社会的課題がある。
貧困者や自殺者、難民や被災者など、課題によって苦しんでいる人は数え上げたらきりがない。
そこで、課題解決に立ち上がる人たちが増えているものの、どんな解決活動にもお金がかかる。
だからこそ、寄付収入に依存する経営ではなく、解決コストを賄うだけの自主財源を増やせるソーシャルビジネスとは何かを学ぶ必要がある。
だから僕は、課題解決の仕組みを作り出し、ビジネスとしても成立させている社会起業家を取材・執筆しては、自ら主催するイベントやセミナーに招き、彼らの解決事業を動画で紹介してきた。
しかしながら、とても残念なことがある。
ソーシャルビジネスを理解しないまま報道する新聞記事やテレビ番組が一部にあることだ。
ソーシャルビジネスは、社会全体の生きづらい仕組みや常識を変えるために新たな解決モデルを作り出すところに価値がある。
それなのに、ダメな報道関係者は、社会全体ではなく特定地域に住む金持ちだけを最優先に救うビジネス団体を「ソーシャルビジネス」だと紹介したり、その団体が途中からネット広告で「貧困の連鎖をとめよう」と寄付金を募り始めていることにも疑問を感じないのだ。
ソーシャルビジネスに対する評価は、あくまでも課題解決の成果こそが対象になる。
それは、何らかの社会的課題によって切実に困っていた人が、その社会起業家の作り出した解決の仕組みにどれだけ満足しているかが基準になる。
「金がない貧乏人は解決の仕組みの恩恵を受けられない」とか、「都会に住んでないから恩恵を受けられない」など、除外される条件が増えれば増えるほど(=社会的包摂から遠くなればなるほど)ソーシャルビジネスとは言えなくなるのだ。
昨今は「空前の猫ブーム」で、大手書店には猫写真集を並べたコーナーがある。
しかし、売れ筋の写真集は、猫の頭に勝手にモノを載せたり、人間のために可愛いポーズをわざわざ取らせてるものだ。
それは、猫にとっては不快かもしれないし、中には虐待に相当するものすらある。
僕はそうした風潮がイヤなので、本のために撮り下ろしたものではなく、猫を邪魔することなくそのままを撮影した写真にコラムをつける本を準備中だ。
猫は人間のおもちゃじゃないし、人間のために可愛くふるまう猫はいない。
可愛くふるまわないと生きられなかったり、可愛がられない容姿だと煙たがられる世界は、どんな生き物にとっても生きやすいはずがないのだ。
「猫にいやされたい」なんて、望まないでほしい。
猫にも、人間の都合と関係なく勝手に生きる自由がある。
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