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『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)は現在、虐待された方からのみ「親への手紙」を公募しています。
この本を出版するにあたり、有名人の方々から続々と応援の声が届いています。
その一部を紹介します。
■このタイミングでこの本を出す意味
原宿カウンセリングセンター所長 信田さよ子
1997年に出版された『日本一醜い親への手紙』は、私にとって大きな意味を持つ一冊です。
全国から集まってきた「親への手紙」の選者として同書のなかで解説を担当した私は、「AC(アダルトチルドレン)は、危険思想である」と書きました。
マルキシズム、フェミニズムに続くACという危険思想、という意味です。
その後、これを超える表現はできていないと私自身、思っています。
私はその前年に『「アダルト・チルドレン」完全理解』という処女作を上梓したばかりでした。
ACは、日本の家族史において、親の権力性と支配性を、大人になってから子の立場で正面から明言した最初のことばであり、そして今のところこれに代わることばはありません。
その現実が、「子から親への手紙」の束となって私の目の前に積まれたのが、『日本一醜い親への手紙』でした。
2008年には『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』を書きましたが、これも大きな反響があり、世の中では毒母などということばも使われるようになりました。
そうした流れのなかで、私はすっかり勘違いをしていたのです。
親との関係に苦しむひとたちが多く存在しており、日本における母の加害性については以前よりもずっと広く知られるようになっていると。
今年に入って、NHKが母と娘を扱う画期的なドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」を放送しました。
「実は私も同じように苦しんでいる」という内容の反響が多かったと聞いて愕然としました。
テレビという媒体の効果もあるでしょうが、初めて知ったというひとがこれほど多いとは思いもしませんでした。
ACということばが認知され、親と子、母と娘の問題が広く知られるようになったというのは、私の思い上がりだったのです。
そうか、親と子、母と子の関係については、繰り返し発言し続けていかなければならないのだ、と考えていたところ、苦しい親子関係を生きてきた人たちの「親への手紙」を再び本にしたい、ついては選者になってほしいというお話をいただき、即答でお引き受けしました。
親や家族をやみくもに否定するつもりはありません。
私の願いは、多くのひとたちに親の犠牲にならないで生きてほしいだけです。
「お母さんはすばらしい」「親はありがたい」「親孝行する子はすばらしい」というように、世の中の軸はどうしても親寄りであり、それが常識になっています。
とくに近年その傾向が、つまりACを危険思想視する空気がますます強まっているような気がします。
子供側のカウンセリングに長年かかわってきた私から見ると、危機感をおぼえます。
それでなくても、親を批判する言葉はなかなか口にしにくいのです。
そこに追い打ちをかけるように、「家族の絆」を美しいものとして語る空気が蔓延していくとしたら、子どもは沈黙を強いられるどころか、親を愛せない自分が間違っているという自責感にからめとられることになります。
そんな風潮に一石を投じるためにも、このクラウドファンディングによって、「親への手紙」がこのタイミングで一冊の本として世に出ることは大きな意味を持ちます。
ぜひ実現してほしいと思っています。
●応募要項
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