親から虐待された当事者から「親への手紙」を公募し、虐待される痛みと虐待から生き残ってきたライフストーリーを100人分収録する本を出版するプロジェクトでは、これまでに7名の著名人が応援メッセージを寄せてくれた。
8人めは、元NHKアナで、今は8bitnews主宰のジャーナリスト・堀潤さんだ。
彼の応援メッセージは、この記事の後半で紹介しよう。
ここで紹介しておきたいのは、応援メッセージを寄せてくれた8人のうち、あらかじめ僕(今一生)の知り合いだったのは、臨床心理士の信田さよ子さん、劇作家の南々井梢さん、Arusha代表の岩瀬香奈子さんの3人だけってことだ。
他の5名は、今回のプロジェクトへの応援を頼むために、「はじめまして」のメッセージを送ったところ、快諾してくださった方々なのだ。
では、なぜ彼らは快諾してくれたのだろうか?
児童虐待への関心が社会的に不足していることにピンときてくれたからだと思う。
児童相談所が全国各地にあっても、5日間に1人の割合で子どもが親に殺されているという事実に心を痛めてくれたから、かもしれない。
実際、児童相談所へ未成年が駆け込んでも、「大人を連れてきて」と門前払いされたケースを僕は何度も被虐待児から聞かされているし、その通りに通学先の先生を連れ立っていけば、その後に先生から当該生徒の親に話が届き、虐待がさらにエスカレートする構図もある。
これは、いじめの構造とまったく同じだ。
先生につげくちすれば、次の日からはもっと陰湿に、もっとひどいイジメをされてしまうから、先生に「気軽に相談」なんてできるわけがない。
かといって、遠い学校へ行かせる金も親に期待できなかったり、親自身が根性論でイジメに向かい合えというタイプだと、逃げ場所がないから、自殺してしまう子もこれまでにたくさんいた。
児童虐待は、親が自分の子を虐待するものだ。
だから、子どもは家出して避難するしか身を守れない。
しかし、地域にいつでもかくまってくれる子どもシェルターがあるとは限らないし、制度的に定員が設けられていると、受け入れ側が未成年略取で親から訴えられるリスクにヒヤヒヤしながらかくまうしかない。
こうなると、本当に行き場所に希望を感じることができなくなり、自殺をに追い詰められてしまう。
だから、この国では若者の死因1位が常に自殺なのだ。
若い世代が生きづらくなる背景には、以下の3点が挙げられる。
① 親権が強すぎて、親が子どもの進路や命まで独占的に支配できる
② やりたい仕事を自分で作り出せる起業教育を施さず、就職の道しか与えない
③ 連帯保証人不要ですぐに暮らせるシェアハウスがまだまだ不足している
逆に言えば、親権を特定の誰かに独占させることなく、みんなでシェアして子育てできる社会の仕組みに変える必要があるし、学歴偏重型の就活ではなく自分のしたい仕事ぐらい自分で作れる人材に育てるほうが労働意欲も増すし、親などの保証人不要で安価で暮らせるシェアハウスが増えれば、月ごとに住む物件を変えられるから何歳で家出しても困らない。
そのように、何歳でも虐待する親から逃げられる社会インフラを作ってしまえば、虐待は劇的に減らせるが、それには社会的コンセンサスも必要だ。
社会的コンセンサスを得るには、セクハラやパワハラを減らしていけたプロセスがそうだったように、親が働く職場で虐待された人たちの痛みを学び合うチャンスが必要だ。
親に虐待されることがどんなに苦しく、一生の痛みを負うものなのかを、当事者100人が伝える本は、僕が今作っている『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)の他には存在しない。
だから、僕は毎日せっせと企業の経営者、CSR担当者、人権教育やダイバーシティの普及を担う人事担当者などへ『新編 日本一醜い親への手紙』の前払い購入と寄付を呼びかけている。
法人がこの本を大量購入し、社員みんなに配布する時、「自分がわが子にしてることは虐待だ」とか「自分が親からされてきたことは虐待だ」と初めて気づく人も増えるだろう。
そのように、親から虐待された方々の痛みを分かち合うところからしか、子どもを大事にする文化はこの国に生まれない。
あなたも、職場でこの出版プロジェクトについて同僚や上司に話をしてみてほしい。
前払い購入と寄付を、会社のお金でやってほしいと頼んでみてほしい。
前払い購入と寄付を、会社のお金でやってほしいと頼んでみてほしい。
孤立して悩んでいるあの子を助けること
今回の取り組みの必要性、目指すべき目的・理念、非常に共感します。
なので応援したいなと思っています。
なかなか声を出したくても出せない、声を出したとしても、そこに受け止めてくれる人がいるのかわからない。
社会に対して疑心暗鬼になったりとか、諦めたりとか、絶望したりとか、それでもみんな踏ん張ろうと思って、懸命に頑張っている方々がたくさんいる。
でも、どこにどういう経験で、どういう形でいるのか、まだまだわからない。
だから当事者の声ってすごく大事だと思うんですよね。
こういう本のプロジェクトがあったり、これを発信していこうというきっかけがあることで、その状況が少しでも伝わるのであれば、すごく何か、前進させる一助になるのではないかなと僕も期待していますし、僕も発信で支援できればなと思っています。
一番大きいのは、「虐待」っていう言葉は、非常に『大きな言葉』かなと思っています。
『大きな言葉』というのは、状況を表すのには適切なのかもしれませんが、個々の本当に、じゃぁ僕は何ができるのかな、どういうふうに関わって差し上げられるのかなとか、その子がどんな思いなのかな、というのを知るためには、百人いれば百通りの形があるはずですし、百人いれば百通りのいろんな思いもあるはずです。
本当は、そういう百人いれば百人いるケースというのを丁寧にメディアでも伝えるべきだと思うんですが、残念ながら百人いて百人個別に伝えているところがあるのかといったら、特にテレビだとか、マスと言われるメディアでは、「それをやるだけの尺がない」とか、「文字数がない」とか、「この間もやったじゃない」とか、「キャンペーン的な期間じゃないとやれないよね」とか。
左:堀潤 右:今一生(Create Media)
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ひょっとしたら皆さんの関心が向くことで、孤立して悩んでいる誰か、あの子を、彼を、助けることにつながるかもしれませんよね。
是非、ご支援宜しくお願いします。
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