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■そのイベントは、「ソーシャル」か?

 ソーシャルデザインや社会起業に関するイベントやセミナーにゲストで呼ばれる僕は、そのたびに会場で「なんだかなぁ…」とため息をついてしまう。

 集まっている観客たちも、イベント・セミナーを主催する人たちも、そのほとんどが偏差値の高い大学を卒業し、生活に困っていない所得層の人たちだからだ。


 しかも、シーンと張りつめた空気の中で、壇上の人の語る話を黙って聞き続けるという、大学の講義のような優等生向けの演出を疑わない催しが、今日までくり返されてきている。



 実は、新聞社や広告代理店、大学、自治体などが主催者になってる「ソーシャルデザイン」のイベントは、偏差値が高い大卒者か大学生ばかりが群がる属性の均質なコミュニティであり、ソーシャルどころか「ローカル」なんだよね。

 つまり、エリート文化圏の中にいる「意識高い系」を抽出しただけの集まりってこと。
 実際に足を運んでみれば、主催者が多様性を包括するソーシャルデザインを理解してないことが、よくわかる。

 主催者にしてみれば、「ソーシャルデザインや社会起業に関心を持っているのはそうした特定の文化圏の人が中心なのだから仕方がない」と思うだろうが、とんだ思い違いだ。

 逆に言えば、そういう自分自身の思い込みを疑わないからこそ、そうした特定の文化圏をターゲットにした集客・広報を考えてしまい、結果的に同じようなローカルなイベントを、費用対効果も検証することなく続けているんだろう。

 なぜ、そうもハッキリと指摘してしまえるかといえば、僕自身がイベントを主催してきたからだ。

(2013年にソーシャルデザインの著者たちが招かれたイベントも、観客はエリート文化圏だった)



●誰もが気軽にソーシャルデザインの
 担い手へツッコミを入れられるイベントへ

 新宿でも大阪でも、僕が主催する「ソーシャルデザイン」関連のイベントには、実に多様な人々が集まってくる。

 起業家、障がい者、LGBT、大学教授、ニート、専業主婦、子育てパパ、役人、高校中退フリーター、学生、ホームレス、風俗嬢、中小企業勤務のサラリーマンなど。
 そういう多様な人々こそが、社会のリアルってもんだろう。

 偏差値の高い大卒者しか来ないイベントは、ソーシャルじゃなくて、「ローカル」なんだ。
 これを何度も僕は、他のイベント主催者に指摘してる。
 だけど、今日までほとんど改善が見られない。

 国や自治体が主催する役人企画のイベントなら、まだ理解できる。
 彼らは既得権益なので、高学歴エリート層が社会を引っ張っていくという幻想を保ちたいからだ。

 しかし、民間で生きづらい「よのなかの仕組み」を変えようというのが、ソーシャルデザインの本質だとわかっているなら、またソーシャルデザインですぐれた課題解決の成功事例を出している人たちの学歴層がバラバラである現実をふまえるなら、一刻も早く課題解決を望む当事者たちが関心を持って足を運ぶイベントを作らなくちゃ。

 社会的課題とは、みんなが切実に困っていることだ。
 たとえば、ニートにとっては、早く自分のできる仕事に就きたいと望む人は少なくない。
 LGBTなら、もっとストレス負荷のかからない職場や社会であってほしいと望むだろう。

 そのように、社会的課題に苦しんでるさまざまな当事者たちにとって関心をもってもらえるような空気感やゲスト、語り口、会場などを熟慮するなら、ソーシャルデザイン関連のイベントにはあまりにも改善の余地が大きいと言わざるを得ない。

 参考のため、僕がゆるい雰囲気を作るために居酒屋で主催したイベントを観てもらおう。



 課題解決に優れた仕組みを生み出した社会起業家は、多様な人々に対して寛容で優しい。

 けど、優しくなる前に自分や仲間を生きづらくする既存の「よのなかの仕組み」に対する怒りが先立つ。

 「こんな仕組みでやってられっか!」という怒りなしに、社会変革は動機づけられない。
 「不当なガマンは絶対イヤ!」という気持ちが、変革の戦略を常に改善させることに向き合わせる。

 その怒りを共有しているイベント主催者なら、ソーシャルデザインのイベントも、変えていけるはずだ。
 それは、日ごろから既存の「よのなかの仕組み」によって不当に苦しめられている人たちの存在に気づき、付き合うことから始める必要があるだろう。

 僕らが生きづらいと感じるこの社会は、エリート文化層が「よのなかの仕組み」を作ってきたことに思い当たればね。

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