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■学校でソーシャルデザインの面白さを学べない人へ

 大学などでソーシャルデザインを教わってる学生たちから、「授業が面白くない」という声をたまに聴く。
 確かに、twitterでも学生たちのボヤキをしばしば目にする。

 どこの大学で、どんな教師が、どういうふうにソーシャルデザインを教えているのかは、僕はほとんどわからない。
 しかし、SFCも含め、学校の授業をきっかけに、ソーシャルデザインの仕事を始めた若者はまだ、ほんの一部しかいないのは知ってる。

 実際に仕事にしてるのは、学校での授業より、公開イベントやセミナー、書籍や雑誌、オンライン記事などの「在野」の取り組みによってソーシャルデザインの面白さに目覚めた人たちだろう。

 そもそも現実の社会的課題に取り組むのがソーシャルデザインだから、社会人ではない学生に教える際は、「きみやきみの大事な人が切実に苦しんでることは何?」という問いかけから始めなければ、学ぶ気持ちにはなりにくいだろう。

 最初の授業で、そういう問いかけをされた学生がどれだけいるんだろう?
 年間を通じての授業を行うなら、学生それぞれの胸にある問題意識をハッキリさせないと。

 ある学生は、「ひとり親家庭で育ったから全国の母親の負担を減らしたい」と言うかもしれない。
 べつの学生は、「電車内の痴漢がいつも不安」と思うかもしれない。
 あるいは、「自分も不安な就活で悩んでる同世代を救いたい」と考えるかもしれない。
 他にも、故郷の過疎化、難民、環境破壊など、さまざまな深刻な社会的課題がある。

 ソーシャルデザインとは、そうした深刻な社会的課題を解決するために、これまでにない画期的な解決の仕組みを作り出すこと。
 言い換えるなら、「生きにくいよのなかの仕組み」を「生きやすいよのなかの仕組み」に変えることによって、社会に新しい価値観を定着させることだ。

 そして、ソーシャルデザインによる解決活動のコスト(費用)を賄えるだけの収益化を図りながら、新たな解決の仕組みを社会に普及させていく事業活動を、社会起業(ソーシャルビジネス)という。

 そのアクションのプロセスを、拙著『よのなかを変える技術 14歳からのソーシャルデザイン入門』(河出書房新社)では、「7つのSTEP」として下記のようにまとめている。




●誰かに任せててもラチがあかないなら、自分が動き出すこと

 「7つのSTEP」詳細な説明については、『よのなかを変える技術 14歳からのソーシャルデザイン入門』(河出書房新社)を読んでみてほしい。

 これから授業でソーシャルデザインを教える予定のある学校では、この本を教材として十冊単位で購入している。
 図書館で読んでも構わないが、本気でアクションを始める方は、役立つ文章に赤ペンを引いたり、大事な内容のページに付箋を貼るなど、使いこなすために購入することが多いようだ。

 なぜ、そんなに「よのなかを変えたい」と望む人が増えてるのか?
 「これって自分だけが不安に思っていることなのかな」と胸の内で思っていた問題が、「いや、俺もそれ悩んでた」とか、「私もそのことは見過ごせないわ」と感じるチャンスが、ネット上で可視化されてきたからだろう。

 前述した「電車内の痴漢がいつも不安」などの問題は、痴漢に悩んでる当事者だけの「個人的な問題」ではなく、当事者の悩みに心を痛める家族や友人、痴漢冤罪に遭った人、痴漢をしてしまう加害者も含めて「みんなの問題」だ。
 この「みんなの問題」こそ、社会的課題というものなんだよね。

 だから、一人で抱えて込んでいても、社会はいつまでも良くならない。
 そう気づいた人から、ソーシャルデザインを学び、活動を始め、ソーシャルビジネスによって解決活動を仕事にしていくという流れが生まれてきたんだ。

 これはもう世界的なムーブメントになっていて、昔ならデモや署名・嘆願・陳情などで政治家に辛抱強く長い年月をかけて働きかけてきたようなことを、民間で市民自身が仲間を募って短期間に解決してしまおうと試み始めたわけだ。

 そして、すでに解決の成果は、社会のあちこちに生まれている。
 そうした事例については、『ソーシャルデザイン50の方法』(中公新書ラクレ)や、『社会起業家に学べ!』(アスキー新書)などや、社会起業家の書いた本を読んでみれば、いくらでも学ぶことができる。

 探せばザウザク出てくる成功事例を知らないまま、「社会は変わってない」というざっくりした印象を持て余していれば、急激に動いてるこの時代の変化を読みとること自体が難しいだろう。

 いずれにせよ、ソーシャルデザインは、学べば誰でも始められることだし、唯一の資格といえば、コンパッション(=社会的課題のために苦しんでる人の痛みを他人事にしたくない気持ち)を持つことだ。
 コンパッションさえ確かにあるなら、あとは具体的な方法を学ぶだけ。
 もっとも、従来の問題解決との違いにとまどうだろうから、その違いを下記にまとめておこう。

 すでにソーシャルデザイン/ソーシャルビジネスについて活動を始めたのに行き詰まっている人には、相談に応じている
 自分の地元で講演・講義をしてほしい方なら、このサイトを参照されたい。

 また、下記の動画もおすすめしたい。
 僕自身がなぜソーシャルデザインについて関心を持ったのか、そしてなぜ関心を持ってほしいと訴えているのかが理解できると思う。

 


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