しかし、置き去りにされた動物たちは、飢えの苦しみの中で息絶えて白骨化し、被爆したまま今日を生きている。
そんな福島の5年間を記録した映画『被ばく牛の生きる道』が、ネット上でちょっとした話題になりつつある。
被曝した牛を消し去りたい国と、生かし続けたい農家。
被ばくした牛を生かす唯一の道である世界初の低線量被曝研究の資金は、底をついた。
時を経つごとに絶望が深まる旧警戒区域の中で、実際に起きている人間と牛の命の物語だ。
●被爆したからといって、「殺していい命」なんてあるの?
この映画の制作には、170万円が必要になる。
そこで、クラウドファンディングで調達を試みている(→コレ)。
制作者は、「1回の撮影で、高速代・ガソリン代・宿泊費を含めると10万円は少なくともかかります。持ち出し費用は400万円を越しました。すべてを自己資金で賄ってきたため、私自身も限界点に達しました」と言う。
撮影が無事に完了しても、編集作業から仕上げ、テロップ(海外版向け)、上映宣伝のための資料作成、配布などに膨大な金や時間、労力がかかることが容易に予測できる。
それでも、被爆した牛を活かしたいという農家の思いを無視できないと思った制作者だから、なんとか撮影を続け、作品として完成させ、多くの人に現状を知ってほしいと望むのだと思う。
監督の松原保さんは、「NHKや民放のドキュメンタリー番組をも制作」「ブータンを舞台にヒマラヤの標高4000mを越える高地に棲む天空のトラのドキュメンタリー番組を制作しようとフランスの公共放送ARTEと交渉中」という人らしい(※このサイトより)。
完成したら、ぜひ観てみたい。
配給をつけるのは難しいかもしれないが、昨今では映画を上映するカフェも全国に増えている。
できれば、Youtubeに有料チャンネルをもって、英語版の世界配給も目指してほしい。
福島では今、牛だけでなく、犬や猫なども被爆しながら必死に生きている。
もちろん、人間も。
生まれ育った土地を離れられない事情や気持ちを、僕らは誰も他人事にはできないはずだ。
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