記事から抜粋すると、以下の通りだ。
生活困窮者を支援するNPO法人プロミスキーパーズは、「子ども食堂」と「無料学習塾」を開設する。
毎日、地域の小中高校生を中心に無料で夕食を提供する食堂は、最大300席。
県内最大規模の子ども食堂になる。
施設内には、米軍人との交際や結婚のトラブル相談を受け付けるNPO団体ウーマンズプライドも事務所を構え、女性の支援にも取り組む。
子ども食堂は、経済的に困窮する世帯や、親が仕事などで不在のため子どもだけで食事を取る孤食の子どもたちを支えるため、全国で広がっている。
成長過程に合わせて料理や配膳の手伝いなどを共に行い、子どもたちの自立も促す。
県内大学生などにボランティア講師の協力を呼び掛けて無料学習塾も開く。
スタッフの栗生みどりさんは「一日の食事が学校給食だけで、毎日の食事を満足に取れない子どもがいる。無料で食事、教育を提供することで本当に困っている家庭、子どもたちを支援していきたい」と話す。
「プロミス-」は、生活困窮家庭が多く就学援助の受給率が県内で最も高い沖縄市での施設開設を検討してきた。
山内代表は「ホームレスや罪を犯した人たちの多くは、小さい時の貧困や親からの虐待が原因になることが多い。負の連鎖を断ち切るために子どもの時からの支援、ケアが大事だ」と語った。
「プロミス-」は食料の提供や寄付、ボランティアの協力を呼び掛けている。
NPO法人プロミスキーパーズの公式サイトを見ると、ホームレス支援を10年以上やってきた活動団体のようだ。
Youtubeにこの団体を取材した動画があったので、見てみよう。
プロミスキーパーズは、施設を借り、食事を提供し、工房までもっている。
こうした活動のコストをどのように賄っているのか?
助成金や寄付、自治体からの委託事業の請負などによって資金を集めたり、フードバンク2h沖縄に食材を提供してもらっているらしい。
しかし、その収支報告は公式サイトで明らかにされていない。
しかも、公式サイトを見る限り、ホームレスの方々の仕事の売り込みや、彼らの作る商品の販売に力を入れているようすは伝わってこない。
以下の3点だけが、ビジネスにつながる要素だ。
★獅子工房は、シーサーを始めとする陶芸をひとつひとつ手で作っている工房です。
型を使用せず、手ひねりで作るシーサーが、職人の手によってつくられるほか、自立支援作業としても提供されています。
つくられたシーサー達は販売も行っています。
他のシーサー販売の相場と比べても格安で販売しています。
つくられたシーサー達は販売も行っています。
他のシーサー販売の相場と比べても格安で販売しています。
★お仕事ください!なんでもやります!
エデンハウスの住人になった経緯は、家を失ったり、職を失ったりした等人それぞれですが、大工、左官、鳶、庭師、料理人、設計士、コピーライター、エディター、グラフィックデザイン等々、様々な技能を持った集団です。そんな技能集団プロミス・キーパーズを、ぜひご利用下さい。
★自立支援作業として農作業を提供しています。
育てている野菜は、ニラ、ヘチマ、オクラ、サニーレタス等。
3500坪の土地で皆で手入れして育てています。
育てた野菜はスーパーにも提供しております。
沖縄の自然の中での農作業はとても気持ちがよく、気持ちが晴れ晴れします。
落ち込んだ表情で来られた方も、農作業を通して協力して働く中での人間関係と仕事の楽しさを知り、明るい顔になっていきます。
●支援団体の代表は、今すぐソーシャルビジネスを学ぼう
支援を求める当事者に対して、安心できるコミュニティ、衣食住・精神的なエンパワメントの機会を提供することで、社会復帰のプログラムとする非営利団体は今なお多い。
しかし、戻っていった社会は、当事者にとっては失業率が依然として高いために厳しい現実のままなので、またホームレスに戻ったり、支援団体に再度お世話になったり、すべてに失望して自殺してしまう人も出てくる。
プロミスキーパーズの代表者は日曜礼拝で、被支援者たちにこう言った(※動画より)。
「なぜ私はここに来たんだろうか?
私のどこが悪かったんだろうかと考えるんですよ。
答えみつけたらどうします? よし変わろう。
よし、こういうところを直そうと、変わろうというところに、私は立ってほしいんですよ」
この言葉は、プロミスキーパー自体に向けられる言葉でもある。
ホームレスや生活困窮の子どもたちがプロミスキーパーに支援を求めるように、プロミスキーパーは助成金や寄付などを社会に支援を求める。
この環境を続ければ、支援する側・支援される側の両者は、仕事を作り出したり、収益向上の出来る仕組みを学ばない。
これでは、いつまでも「よその誰か」からお金や労力、建物や食事を恵んでもらう境遇から抜け出せない。
支援する側が社会から一方的に支援される側であり続ければ、お金を介して社会と対等に「助け合う」関係に育たたないからだ。
これは沖縄だけの問題ではなく、全国の地方の福祉系の非営利団体の抱えている課題だ。
団体の代表自身が、今日ではもっと進んだ支援スタイルがあることを学ばず、それどころかお金を稼ぎ出すことが苦手な自分を認めたくないのかもしれない。
しかし、『ソーシャルデザイン50の方法』(中公新書ラクレ)や『よのなかを変える技術』(河出書房新社)などで紹介したように、大阪ではNPO法人Homedoorはホームレスだった方と一緒にシェアサイクル事業で収益化を試みているし、埼玉の「からふる」では障がい児に絵を描いてもらって名刺などに商品化することで印税を配当している。
他にも、さまざまな事情で「社会的弱者」と呼ばれる境遇になった当事者と一緒に、当事者が無理なくできる仕事を作り出した事例が日本でも世界でも急増しており、それは「社会起業」(ソーシャルビジネス)や「ソーシャルデザイン」という言葉で検索すれば、ネット上にいくらでも事例を見つけられるし、関連書籍もたくさん発売されている。
非営利事業をボランティアで手伝う人も悪くはないが、寄付で賄われている非営利団体なのに週3日の勤務で月給17万円もスタッフに給与を出す「もやい」のような団体もある。
このようにお金や仕事の価値があいまいなままでは、自分の仕事に誇りを持って社会福祉の現状を変える人材は育ちにくい。
失業率の高い土地なら、失業こそが切実な社会的課題なのだから、商売上手ですでに実績のある実業家と組んで、次々に生活困窮の子どもや大人だからこそできる新しい仕事や商品・サービスを開発するのが、本筋ではないか?
社会的弱者になったからこそ得られた当事者固有の価値に気づき、「おまえは支援されるだけ。俺はあくまでも支援する側」という古い発想を脱ぎ捨ててほしいものだ。
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