国内外で同様の仕組みによるチャリティが、盛んにおこなわれている。
屈強な男たちの熱い生き様を毎月眺められる「オーストラリア消防士カレンダー」は1993年から発売され、売り上げは小児病院財団とウエストミード小児病院に寄付されている。
Firefighters
Calendar公式サイトから購入できる。
(ねとらぼより)
アメリカ・ニューヨークでは、タクシー運転手が一切鍛え抜かれていないだらしなボディをおっさんたちが披露し、タクシーと一緒にセクシーポーズをキメるカレンダーもある。
これも、売り上げの一部が移民や低所得世帯への教育支援などを行う非営利団体に寄付されるとか。
(ねとらぼより)
とりあえずセクシー路線で寄付になるなら、体に自信がなくてもOKってこと。
価格は14ドル99セント、日本円で約1900円。
収益の一部は、3万人に及ぶと言われているニューヨークの低所得者層と移民に対し、住宅や進学などをサポートする活動に利用される。
この企画は2014年か毎年ら行われており、およそ5万ドルを資金として調達することができたという。
購入はこちらのサイトで受け付けている。
(IROIROより)
世界で最も稼ぐスーパーモデル、ジゼル・ブンチェンが700ドル(約8万6千円)で売り出すヌード入り写真集が発売日の一日前に売り切れになった。
出版社タッシェンは1000冊のみ出版して発売する予定になっていたが、書店に並ぶ前に完売。
「この写真集の利益は私がサポートしている慈善団体に100%寄付される」と、ジゼルはインスタグラムに書いているとか。
(Walker plusより)
どこの団体に寄付されて、何に使われるのかを、はっきり書いてほしかったなぁ。
今年11月には、イギリスのサウスエンド=オン=シーのジェットコースターにみんなで全裸で乗るという企画が実施された。
無料招待を受けて参加したのは、イギリス中から集まった総勢57名。
お年寄りからセクシー美女までが全裸になり、ジェットコースターに乗り込んだ。
同時にサウスエンド病院チャリティ基金が寄付も実施したら、約1万5千ドル(約180万円)の寄付が集まったとか。
チャリティ基金のルーシー・トーマス・クライトンさんは、こう語った。
「まったく知らない人、さらに世界のメディアの前で、服を脱ぐのはとても勇気がいる。
勇気をもって全裸になってくれて、多額の寄付を集めてくれた方々に心から感謝を示したい」
(Aol.Newsより)
●「待ったなし」の切実な現実は、同情では解決できない
社会貢献や寄付のシーンでは、ハダカは「まちがいなく売れる商品」なのだ。
2012年、ロンドン・パラリンピック出場を目指す日本の女子陸上選手・中西麻耶さんは、鍛え抜かれた義足付きの体をさらけ出した「義足ヌードカレンダー」を発売した。
売り上げは、英国への渡航費用と新しい義足の購入費用に充てた。
中西選手は、2011年の世界選手権で日本代表としてメダル獲得のチャンスがあったにもかかわらず、練習環境を作り出す資金が不足していたため、出場を断念していたからだ。
(AFP BB Newsより)
スポーツ選手が活動資金の調達に自らヌード商品を販売し、その収益で練習環境を作り出すことは、すでに世界中で試みられていることだ。
それは、スポンサードしてくれる企業もなく、政府や自治体などからの助成金にもありつけないために、ほかの人と同じ程度のことができない人たちがたくさんいる現実を示している。
そこには、「待ったなし」の切実な現実がある。
売れるものは、ハダカだろうが、何だろうが、自分で売らなければ、問題を突破できない時があるのだ。
それは、深刻化する貧困の問題も同様だろう。
ほかの風俗店では雇われにくい属性の女性のみを雇っているデリバリーヘルス店「鶯谷デッドボール」では、デリヘル嬢として働く女性たちに自信をつけさせるため、専属ヘアメイクを雇い、化粧の仕方を学ぶ機会を設けるなどの支援にも力を入れている。
今年10月には、ホワイトハンズの坂爪真吾さんの呼びかけで、同店の待機部屋で在籍女性向けに無料の生活法律相談会「風テラス」が実施された。
「風テラス」に参加した弁護士の浦崎寛泰さんは、こう語っている。
「福祉とつながってはいるんだけども、風俗で働いていることは弁護士やケースワーカーに隠している人がほとんどで、腹を割った相談をしていないことによる難しさも感じました。
風俗で働いていることを前提に話せる場がないので、今回はとても貴重な機会だったなと思いました。
ただ、女性たちがここで働いていていいのだろうかという話になると、経営者と対立することになってしまうんですね。
そうなると、我々としては経営者からお金をもらって働くことはできないわけです。
プロとして関わっていく以上、仕事として成立させる必要があるので、今後継続していくにあたってはどういうシステムが可能なのか、考えていかなくてはいけない」
(ウートピより)
●「風俗嬢が最後にすがる店」から、女性が喜ぶ新しい仕事へ
風俗は今、昔ほど稼げる業界ではないし、ラクな職種でもない。
だが、人に言えない仕事であるなど、世間的にバッシングされやすいことから、家族や友人など近しい人間に暮らしの不安を解決してもらえない女性たちにとって、選択される職業の一つになっている。
風俗店にも採用基準や面接はあるため、働けない女性も少なくない。
そこで、鶯谷デッドボールでは、客に向けてワーカーの女性を「地雷ガール」と紹介している。
女性向けの求人広告の文章にも、こう書いている。
「他店で不採用・クビ切り・電話での求人応対にてアポさえ取れない方の専門店」
「開き直って都内最低レベルのお店でストレスのないお仕事をされてはいかがでしょう?」
事情があって、風俗以外では働けない。
風俗で働きたくても、働けない。
そういう理由から最後にたどりつくのが鶯谷デッドボールだったなら、そういう女性には、発達障害の方もいるかもしれないし、自分でもなんだかよくわからないままシングルマザーとして貧困化している方もいるかもしれない。
もし、そのとおりだったら、生活保護を受給すれば、同店を辞める女性も出てくるかもしれない。
「風テラス」は、新たに求人広告を打ったり、研修に時間をとられる店側にとって、事実上の利益損失になる。
ホワイトハンズの代表・坂爪さんは、以下のように言う。
「一種のファンドを立ち上げて寄付金を募集したり、イベントの売り上げを回したり、色んな角度からお金を集めてくるというのが法律的にも安全ですし、継続していけるのではないか」
(ウートピより)
一つのアイデアとしてはわからなくもないが、その実現にはとんでもなく労力がかかるだろう。
「風テラス」を存続させるための年間の弁護士費用と、店の赤字補てんを見積もった額面を公開してほしいところだが、日本全国に鶯谷デッドボールを「風俗嬢が最後にすがれる店」として広報して資金調達するだけでも、べらぼうな労力がかかるだろう。
そのために、ホワイトハンズは通常業務ができなくなる恐れが出てくる。
もっとも、それ以前に、行政や福祉など制度による救済へと女性たちをつなげていく時、店で働く女性たちの何割が「風テラス」のサービスを喜ぶだろうか?
働く当事者たちのニーズが見えないままだと、生活保護や障がい者年金などに頼っても、結局は日常生活が孤独になって、また店に戻ってきてしまう女性も出てくるだろう。
たとえば、ホームレスの場合、生活保護を受給しても、賃貸アパートでのぬくぬくとした単身生活の安心より、路上の仲間と一緒に死ねる不安を選んで、受給を辞めてしまうことがある。
女性の貧困や風俗ビジネスにある問題の深刻さだけを資金調達の正当性として担保できると思うのは甘いし、「同情だけでは資金はなかなか集まらないのではないか?」という懸念も残る。
もっとも、同店は、身分証明書さえ持っていれば100歳まで雇うと求人広告に明記してあるし、月1回の勤務でもOKだそうだ。
それなら、同店で働きながら、同時にほかの仕事もできるように、当事者の女性たちそれぞれに見合った職業技術を向上させて、そのスキルを合わせて収益化できる仕組みを作り、彼女たちを雇える会社を1つ新たに作り、当事者どうしで住んで生活コストを分かち合って最小限化できるシェアハウスを設けてはどうか?
当事者にとって無理のない暮らしぶりを実現する方が、風俗を毛嫌いする一般の人たちにも共感されやすいアクションになるし、それなら立ち上げ資金だけを集めればいい。
あとはその別会社を誰かに任せれば回るだろう。
あとはその別会社を誰かに任せれば回るだろう。
女性たちが自分に必要なお金を風俗以外でも稼げるようになれば、そのお金で「風テラス」にかかる費用を捻出することもできるだろう。
鶯谷デッドボールの側も、辞める女性を減らせるどころか、「風俗をしながらほかの仕事もできるなんて!」と全国からこぞって「よそでは働けない女性」たちが駆け込んでくることも期待できるので、求人広告費を減らして、収益を増やせるかもしれない。
いずれにせよ、立ち上げ資金が必要になるので、その際は、深刻さを前面に出すより、この記事の冒頭で書いたような「ハダカで寄付になる商品」を楽しくみんなで作ったらいいと思う。
それこそ、篠山紀信さんやアラーキーさんなどの「超有名で売れるカメラマン」が生きてるうちに、ヌード撮影を打診し、印税から資金を配当してもらうといい。
「そういう趣旨なら初脱ぎでも脱ぎたい」という有名アイドルや若手女優を見繕って声をかけ、鶯谷デッドボールで働く女性たちと一緒に撮影し、同じ写真集の中で脱いでもらえばいい。
ただ自分と所属事務所の利益を稼ぐためだけに単体写真集で脱ぐ人より、1点だけ初脱ぎを公開する女性の方が、インフレ状態のように山ほどいるタレントや女優から抜きんでて話題になるし、高い好感度を保てる。
だから、公募してみても面白いし、こういうことは最初に実現した人間だけが脚光を浴びるだろう。
ただ自分と所属事務所の利益を稼ぐためだけに単体写真集で脱ぐ人より、1点だけ初脱ぎを公開する女性の方が、インフレ状態のように山ほどいるタレントや女優から抜きんでて話題になるし、高い好感度を保てる。
だから、公募してみても面白いし、こういうことは最初に実現した人間だけが脚光を浴びるだろう。
そういう形で毎年、愉快なカレンダーを出せば、世界にも売れるし、立ち上げ資金なら十分、調達できるはずだ。
多くの人は、同情よりも、むしろ欲望に刺激されて金を出す。
それは、世界のどこでも同じだ。
「ハダカを見たい」という原始的な欲求を果たしたい人は、よのなかに大勢いる。
彼らの欲求に応えて、生きるだけで精いっぱいの人たちが助かるなら、何をためらうことがあるんだい?
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