(Yahoo!ニュースより)
同記事によると、バッジをつけて通学するようになってから、それまで毎日のようにあった痴漢被害がぴたりと止まったという。
今、この痴漢抑止バッジの普及をプロジェクト化する動きが始まろうとしている。
11月11日から24日までの2週間、クラウドワークスで新たなデザインを募集し、株式会社サーチフィールド(渋谷)が運営するクラウドファンディングサービス「FAAVO東京23区」で支援者を募る。
プロジェクトの公式サイトでは、デザイン公募のページを設け、すでに審査員の名前が公開されている。
このニュースに僕が関心を持ったのは、2007年に東京大学(駒場)で自主ゼミの講師としてソーシャルビジネスを教えていた際、受講生の間から「痴漢撲滅バッジ」の構想がすでに出ていたからだ。
その当時は、プラン発表で終わってしまったが、「痴漢撲滅バッジ」の需要自体はあるはずだと考えた僕は、個人的に「痴漢撃退ファッション」なるものを通販してみた。
(もっとも、文字だけではデザインとは言えず、アイデアの具現化だけでもしてみたかっただけ)
今回、親子でバッジを考案し、さらに洗練されたデザイン公募を始めるのは、とても良いことだ。
さらに、クラウドファンディングで制作資金を調達し、バッジをまず作って、多くの人に見てもらったり、実際に試してもらうのも、一歩前進だろう。
その先を見据え、プロジェクトが痴漢抑止アイテムを社会インフラとして定着させ、より短い期間で痴漢被害を限りなく最小化していくには、この取り組み自体をソーシャルビジネスに発展させることが必要になってくる。
痴漢の被害者を減らすという目的は、誰もが共感できるものだ。
それゆえに、現時点で解決活動における課題を、より多くの人に考えてみてほしい。
クラウドファンディングにお金を出せない人や、バッジを入手できない人も含めて、このプロジェクトの目的を果たすために、自分にできることがあると気づいてほしいのだ。
●ソーシャルデザインで短期間に「痴漢しない文化」の定着へ
より短い期間で痴漢被害を限りなく最小化していくためには、解決活動において以下の課題が想定できる。
① 公募で決定したデザインのバッジの発売・販路開拓・営業・宣伝・広報
② バッジによる痴漢抑止の効果測定と、精度の高い統計結果の発表・報道
③ バッジ以外の「痴漢抑止」の新アイテムの開発と、「痴漢抑止」の文化の事業拡大
④ ①~③を実現するための組織マネジメント能力の向上
①については、「Stop 痴漢 バッジ」のプロジェクトのメンバーを中心にした団体の組織化や法人化が、遅かれ早かれ必要になるだろう。
実際、バッジの制作資金を集めても、その予算内の個数しか作れず、それを痴漢被害を恐れる当事者の女性たちに渡しても、数は知れている。
実際に毎日のように身に着けて通勤・通学する率は、個数の何割になるかも、わからない。
しかも、その資金調達やバッジ制作、在庫管理、配布、説明会などの労力・時間を考えると、ボランティアで持続させようと考えると、目標達成までに膨大な年月がかかってしまう。
つまり、被害を目に見えて減らすほどの効果を得るまでに普及させるには、ボランティアではかなり困難を要するのだ。
そうしたコア・メンバーの労力を減らすには、バッジの商品化によって収益を作り出す必要に迫られるはずだ。
痴漢抑止活動には、時間や資金などメンバー個人が負担するコストが大きいし、制作ラインができたら、商品を売りさばく販路拡大や問い合わせ対応、宣伝・広報をする専従スタッフを雇う必要も出てくるからだ。
収益化の仕組みを作れば、そうした課題は早期に解決できるだろう。
実際、痴漢の問題は、東京だけでなく地方都市にもあるし、世界中の通勤電車にも同様に苦しんでる被害者がいることから、マーケットは大きい。
日本ならJR各社や地下鉄・私鉄各社などに大量購入を求めていくこともできるかもしれないし、五輪を控えて安全性を高めたい東京なら東京都や五輪の委員会にも働きかけていくこともできるだろう。
②については、統計学や痴漢対策を大学で教えている教授に協力を仰ぎ、精度の高い測定結果をさまざまな電車で得られるような体制を作る必要があるだろう。
痴漢を容易にする条件、バッジの効能、バッジの利用率、デザイン別の効果など、痴漢抑止の効果を判断するための基準や係数は、いろいろ考えられるからだ。
精度の高い測定結果が得られれば、自治体や大企業などが大金を拠出して応援する大義を得られる。
全国向けのテレビや新聞などのマスメディアも、大学との共同研究による測定結果となれば、報道しないわけにはいかなくなる。
報道によって抑止効果の信頼性を広報できたなら、バッジの大量購入を求める学校やNPOなども続々と現れるだろう。
③については、プロジェクトメンバーが「バッジ以外」の痴漢抑止アイテムの商品化を広く呼びかけておくことだ。
夏場ならTシャツ、冬場ならアウターなど、アパレル業界と組んでもいいだろう。
ジュエリー・メーカー組んで、富裕層向けの商品を開発してもらうのもいい。
電車内で利用することの多いスマホや携帯用ゲームの会社と組んで、外側に貼れるデザインシールをオプション品として売ってもらうのもいいかもしれない。
デザイン著作権だけを主張し、収益の何%かを監修フィーとして受け取ればいい。
そのようにして、痴漢抑止の効果の高い仕組みを作った団体としてブランド化させ、アイテム数が増えれば増えるほど団体に収益が集まるようになれば、全国各地の学校や青年会議所などに講演に回るといい。
また、痴漢被害の深刻さを説明したり、「どうすれば、この痴漢抑止アイテムを無理なく使ってもらえるのか」をわかりやすく説く機会を増やしていけば、「痴漢をしない」というこを文化として社会に定着させる一助となる。
アイテムだけが流通するのではなく、そこに被害経験を持つ人の生の言葉が加われば、説得力が増すし、被害経験者が「もう1人も新たな被害者を出したくない」という思いで講演すればギャラが入る仕組みを作れば、被害者救済の一つの手段になるかもしれない。
そう遠くない未来にアイテムがなくても「痴漢のない文化」が定着したら、通勤・通学時間の電車内での着衣で一番多い色の服が「白」なら、「白い服の人は痴漢を見したら必ず通報する人」という意思表示であるとブランディングしてしまうのもいいかもしれない。
④については、すでに動いているかもしれないが、気になるのは、今のところ女性しかコア・スタッフにいない点だ。
痴漢被害者は女性だけではないし、痴漢をする側の論理や手口、動機などは痴漢をする側の方がくわしいのだから、加害者だった人の協力も抑止効果を上げるには必要になるだろう。
女性に対する痴漢被害は、自分の娘や妻、恋人、友人などが巻き込まれることを心配する男たちの関心事でもある。
現時点では当事者の女性目線で「私たちは泣き寝入りしません」というメッセージがバッジに書かれているが、男たちに言わせれば「痴漢を見たら即、通報」かもしれない。
そういうメッセージを身につければ、自らの痴漢冤罪への疑いも予防できる。
PTA、保護者会、子育て関連のNPO、校長会、教職員組合、大企業のCSRなどと連携すれば、バッジを通した「痴漢抑止の文化」を短期間に広げていけるかもしれない。
とくに、お金に余裕のある私立学校の校長先生や、生徒の安全策として教育系の専門雑誌などは敏感に反応するだろう。
そういう意味でも、多彩なスタッフによって組織化を進めていってほしいが、その際、団体の外部にあるさまざまなリソースにも気づいてほしい。
こうした非営利事業は、とかく団体内部の論理で動きがちで、社会の多様な声を聞かずにアマチュア発想だけで突っ走ることがよくある。
活動途中で資金切れして組織分解したり、「ノウハウが無い」で思考停止したまま活動が停滞してスタッフに余計に労力がかかることで、活動の成果をなかなか上げられず、社会の関心も冷めていくことがよくあるからだ。
団体の外側には、ビジネスのプロもいれば、広報のプロもいるし、団体の活動の素晴らしさに共感すればいくらでもボランティアで手伝いたい学生もいる。
ソーシャルデザインは、ざまざまな共感者を活動に巻き込む借り物競争によって、社会を生きやすいものへ変えるのだから。
僕の本『よのなかを変える技術』(河出書房新社)や『ソーシャルデザイン50の方法』(中公新書ラクレ)もお役にたてれば、ありがたい。
実際に毎日のように身に着けて通勤・通学する率は、個数の何割になるかも、わからない。
しかも、その資金調達やバッジ制作、在庫管理、配布、説明会などの労力・時間を考えると、ボランティアで持続させようと考えると、目標達成までに膨大な年月がかかってしまう。
つまり、被害を目に見えて減らすほどの効果を得るまでに普及させるには、ボランティアではかなり困難を要するのだ。
そうしたコア・メンバーの労力を減らすには、バッジの商品化によって収益を作り出す必要に迫られるはずだ。
痴漢抑止活動には、時間や資金などメンバー個人が負担するコストが大きいし、制作ラインができたら、商品を売りさばく販路拡大や問い合わせ対応、宣伝・広報をする専従スタッフを雇う必要も出てくるからだ。
収益化の仕組みを作れば、そうした課題は早期に解決できるだろう。
実際、痴漢の問題は、東京だけでなく地方都市にもあるし、世界中の通勤電車にも同様に苦しんでる被害者がいることから、マーケットは大きい。
日本ならJR各社や地下鉄・私鉄各社などに大量購入を求めていくこともできるかもしれないし、五輪を控えて安全性を高めたい東京なら東京都や五輪の委員会にも働きかけていくこともできるだろう。
②については、統計学や痴漢対策を大学で教えている教授に協力を仰ぎ、精度の高い測定結果をさまざまな電車で得られるような体制を作る必要があるだろう。
痴漢を容易にする条件、バッジの効能、バッジの利用率、デザイン別の効果など、痴漢抑止の効果を判断するための基準や係数は、いろいろ考えられるからだ。
精度の高い測定結果が得られれば、自治体や大企業などが大金を拠出して応援する大義を得られる。
全国向けのテレビや新聞などのマスメディアも、大学との共同研究による測定結果となれば、報道しないわけにはいかなくなる。
報道によって抑止効果の信頼性を広報できたなら、バッジの大量購入を求める学校やNPOなども続々と現れるだろう。
③については、プロジェクトメンバーが「バッジ以外」の痴漢抑止アイテムの商品化を広く呼びかけておくことだ。
夏場ならTシャツ、冬場ならアウターなど、アパレル業界と組んでもいいだろう。
ジュエリー・メーカー組んで、富裕層向けの商品を開発してもらうのもいい。
電車内で利用することの多いスマホや携帯用ゲームの会社と組んで、外側に貼れるデザインシールをオプション品として売ってもらうのもいいかもしれない。
デザイン著作権だけを主張し、収益の何%かを監修フィーとして受け取ればいい。
そのようにして、痴漢抑止の効果の高い仕組みを作った団体としてブランド化させ、アイテム数が増えれば増えるほど団体に収益が集まるようになれば、全国各地の学校や青年会議所などに講演に回るといい。
また、痴漢被害の深刻さを説明したり、「どうすれば、この痴漢抑止アイテムを無理なく使ってもらえるのか」をわかりやすく説く機会を増やしていけば、「痴漢をしない」というこを文化として社会に定着させる一助となる。
アイテムだけが流通するのではなく、そこに被害経験を持つ人の生の言葉が加われば、説得力が増すし、被害経験者が「もう1人も新たな被害者を出したくない」という思いで講演すればギャラが入る仕組みを作れば、被害者救済の一つの手段になるかもしれない。
そう遠くない未来にアイテムがなくても「痴漢のない文化」が定着したら、通勤・通学時間の電車内での着衣で一番多い色の服が「白」なら、「白い服の人は痴漢を見したら必ず通報する人」という意思表示であるとブランディングしてしまうのもいいかもしれない。
④については、すでに動いているかもしれないが、気になるのは、今のところ女性しかコア・スタッフにいない点だ。
痴漢被害者は女性だけではないし、痴漢をする側の論理や手口、動機などは痴漢をする側の方がくわしいのだから、加害者だった人の協力も抑止効果を上げるには必要になるだろう。
女性に対する痴漢被害は、自分の娘や妻、恋人、友人などが巻き込まれることを心配する男たちの関心事でもある。
現時点では当事者の女性目線で「私たちは泣き寝入りしません」というメッセージがバッジに書かれているが、男たちに言わせれば「痴漢を見たら即、通報」かもしれない。
そういうメッセージを身につければ、自らの痴漢冤罪への疑いも予防できる。
PTA、保護者会、子育て関連のNPO、校長会、教職員組合、大企業のCSRなどと連携すれば、バッジを通した「痴漢抑止の文化」を短期間に広げていけるかもしれない。
とくに、お金に余裕のある私立学校の校長先生や、生徒の安全策として教育系の専門雑誌などは敏感に反応するだろう。
そういう意味でも、多彩なスタッフによって組織化を進めていってほしいが、その際、団体の外部にあるさまざまなリソースにも気づいてほしい。
こうした非営利事業は、とかく団体内部の論理で動きがちで、社会の多様な声を聞かずにアマチュア発想だけで突っ走ることがよくある。
活動途中で資金切れして組織分解したり、「ノウハウが無い」で思考停止したまま活動が停滞してスタッフに余計に労力がかかることで、活動の成果をなかなか上げられず、社会の関心も冷めていくことがよくあるからだ。
団体の外側には、ビジネスのプロもいれば、広報のプロもいるし、団体の活動の素晴らしさに共感すればいくらでもボランティアで手伝いたい学生もいる。
ソーシャルデザインは、ざまざまな共感者を活動に巻き込む借り物競争によって、社会を生きやすいものへ変えるのだから。
僕の本『よのなかを変える技術』(河出書房新社)や『ソーシャルデザイン50の方法』(中公新書ラクレ)もお役にたてれば、ありがたい。
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