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■キス募金・ストリップ募金でも弱者を救いたい人々

 日本では「おっぱい募金」で賛否両論が起きてしまうが、欧米の人々はもっと大らかにチャリティのアクションを楽しんでる。
 それは、彼らのほうが社会環境の格差による苦しみに敏感で、その苦しみを持つ当事者と向き合うなら「安い正しさより崇高なもの」があると気づいているからかもしれない。
 だから、「苦しみを除くためなら」と労力や勇気などを出して行ったことを尊敬し、お金を差し出すのだ。

 2014年、アメリカの人気ドラマ「glee」のクイン役などで知られる女優のディアナ・アグロン(当時28歳)が、23000ドル(約271万円)でキスを販売した。
 チャリティ団体「ウォー・チャイルド」のために自身のキスを出品。
 ディアナからの熱いキスを求めて匿名の入札者がこの高額で落札したものの、結果的には「軽いキスだけだったそうだ」と、Narinari.com編集部は伝えている。


 2009年には、女優のシャーリーズ・セロン(当時34歳)とキスをする権利に14万ドル(約1200万円)の価格がついた。
 サンフランシスコで行われたチャリティーオークションに出席した彼女は、サッカーW杯の観戦チケットのプレゼントやネルソン・マンデラ氏との面会などをオークションに出品し、37000ドルからスタートした。

「しかし、あまり値が上がらなかったために、セロンさん自身がキスを急きょ、おまけにつけた。
 競り落としたのは、女性!
 セロンさんと20秒間の抱擁とともにキスを交わした。
 チャリティーとあらば、欧米のセレブたちはこのように惜しみなく体を張っている」
ゆかしメディアより)


 アメリカには、お菓子の“ツウィズラーズ”を使うチャリティ活動「ツウィズラーズ・チャレンジ」(Twizzler Challenge)というものもある。
 向かい合った二人が両端をくわえ、お菓子を食べていく「キスまであと何センチ?」というスリリングな遊びだが、自閉症への認知と支援を訴える活動に採用され、相手を指名して行う。

 歌手のリアーナ(28)は、2015年に出演したトークショー「Jimmy Kimmel Live」で番組ホストのジミー・キンメルとともに挑戦した。

 ジミーは次に映画監督のJJ・エイブラムス(48)を指名したが、JJは自身が監督した最新作「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の人気キャラクターチューバッカと一緒に参加した。
TVグルーヴより)

 チャリティを楽しみながら行うことで、寄付先の社会貢献に対する共感や善意を視覚化することは、とても寄付者や寄付額を増やすために必要不可欠な演出である。

 「バイリンガール英会話」というブログによると、アメリカにはみんなで水風船で戦って遊ぶというチャリティもあるようだ。

アメリカ人感覚では、真面目な取り組みであろうがふざけた取り組みであろうが、目的のためにいくらraise(資金調達)し、目的に対する意識をどこまで高められるかが重要。
 その発想をベースにすると、やはり、より多くの人たちに参加してもらう必要があります。
 だからこそ、このように楽しくてインパクトのあるイベントが思いつくんでしょうね。
 だって目的を知らなくても参加したいと思いますもん。4000人で水風船合戦ですよ。
 超楽しそう!
 そんなイベントがチャリティー活動であれば、それに越した遊びはないです。
 ヘッドラインだけみたら、まさか募金活動だとは思わないですよね。
 知らないで参加している人も結構いるはずです。
 でも、それで良いんです。
 お金を集めるだけではなく、注目され、意識を高めるきっかけにもなります」
「バイリンガール英会話」より)


●自分のできることで楽しめるチャリティの仕組みを広げよう

 イギリスにも、みんなでハダカになってジェットコースターに乗ることによって注目を集め、人前でハダカになる勇気をたたえてお金を出すという形で病院へのチャリティを行った事例がある。
 欧米のキリスト教圏の文化では、合理的に良い結果をもたらせるなら、できるだけ楽しい演出でより多くの人を巻き込もうとすることは妥当だと考えられているのだ。

 そこで、「目的のためには手段を選ばないのか?」と誤解されがちだが、そもそもキリスト教圏の文化には、「自分で責任をとれるならその責任能力の範囲で自由を発揮したい」という考え方が根底にある。
 それを裏返すなら、「自分自身で責任の取れないことはするな」ということだ。
 だから、「ストリップで慈善団体に寄付したいですか?」という問いかけから始まるチャリティもある。
 Benevidz(ベネビッツ)だ。

 benevidz.comでは、自分のハダカをさらすことでチャリティになる。
 素人のハダカが見たい18歳以上の人は、ネット上から閲覧料を先に支払う。

 自分のパソコンにあるライブチャットカメラでハダカになる人たち(出演者)は、閲覧料の収益を自分の好きな慈善団体に寄付する。
 サイト運営者も、出演者が受け取る収益の半分を寄付する。
 Benevidzは、その意図をこう説明している。

「ポルノは、数十億ドル規模の産業です。
 ベネビッツでは、収益の一部が虐待された女性、癌研究、人身売買の防止、認知や身体の障害、同性愛者の権利を持つ人々および虐待を受けた動物などを救う慈善団体の活動をサポートするために使われます。
 Benevidzは現在、7つの慈善団体と連携しています。
 私たちの目標は、各慈善団体に100万ドルを寄付すること

 創業者のマイケルA. Wondercubは、12歳の時に父を癌で亡くした。
 その後、彼の継父になった男はアルコール依存症だった。
 マイケルは兄と母と一緒に家を出るまで、この男からの家庭内暴力にひどく苦しめられたという。
 だから彼は、がんの治りを助ける団体があることを知ってから、その団体の活動を活性化させるために多くの人がしているマスターベーションを活用できると考えたのだ。

 国や自治体が、社会福祉に十分な金を投じているなら、民間でここまで寄付金を集める必要はない。
 しかし、税金では社会福祉が置き去りになってしまうのは、どこの国でも同じだ。
 それによって、本当につらい暮らしを余儀なくされている人が、たくさんいる。
 彼らの苦しみを一刻でも早く取り除くには、寄付アクションの仕組みが増えた方がいいし、注目されるだけの楽しい仕掛けや共感しやすい演出に凝るのは当然のことだ。

 そうした現実の深刻さや緊急性を骨身に沁みて知っているなら、たとえポルノであっても、自己責任の範囲において寄付アクションを行うことは責められるものではないと理解できるはずだ。

 おっぱい募金では、AV女優たちが誇りをもって自分自身の商売道具であるおっぱいをプロとして触らせ、彼女たち自身も笑顔になった。
 これは、女子格闘家たちが、自分の体のどこを蹴られても殴られても、チャリティマッチで手を抜かずに戦う姿に重なる。

 AV女優や女子格闘家たちは、自分の体を張るだけの価値がチャリティにあると信じているからこそ、自己責任の範囲においてがんばったのだろう。
 僕は彼女たちに、「おつかれさま。本当にありがとう」と言いたい。

 どうしても、こうしたエロ文脈のチャリティを受け入れられないなら、せめて「学術書チャリティ」に参加してほしい。
 大卒者や大学生なら今すぐできることだし、体を張らなくてもできることだから。
 寄付月間を推進する人たちが、中流資産層~富裕層しか相手にしない「意識高い系」の狭いコミュニティに居直っているうちは、寄付文化そのものが日本に根付かないのだから。

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