僕自身は、前のブログに書いたように主催者である番組製作会社の中にある募金の寄付先団体(未来支援委員会)に質問メールを出した。
そして、先方から「12月21日以後に改めてご連絡します」との返事をいただいている。
そこで、今後の「おっぱい募金」が、ふだん性産業の従事者(風俗嬢やAV女優、彼女たちと一緒に働くスタッフを含む)たちとのコミュニケーションがなく、勝手な憶測をしがちな人たちから「いらぬ誤解」をされないようにするための提案をしてみたい。
●寄付先を番組制作会社と無関係な人材に移行する
今年(2015年)から、「おっぱい募金」の寄付先がエイズ予防財団から未来支援委員会に変わった。
おっぱいを揉んで寄付するというアクションに対していかがわしく感じる人たちがいるのは、番組制作会社も最初からわかっていたはずだ。
そこで、事前に何ら説明をしないまま番組制作会社の社内に寄付先の団体を新設するのでは、いらぬ誤解をふりまいてしまうし、その団体の代表が番組製作会社の社長と同一人物であれば、下衆の勘繰りを始める人たちを増やしてしまう。
これでは、おっぱい募金を含む「エロは地球を救う!」というチャリティ番組にエイズ予防という大義があることまで疑いを持つ人が出てきしまう。
いかがわしいと思われてしまうことほど、一般の寄付アクション以上のリテラシーが必要になる。
そこで、これからでも構わないので、未来支援委員会の代表や理事などのメインスタッフを、番組制作会社とは一切関係のない人間に総入れ替えし、新しいスタッフによって事務所も番組制作会社とは無縁の場所に移すことを検討してほしい。
未来支援委員会は、エイズ予防の事業を行うNPOなどへ助成金を投げることが主な事業なので、たとえば日本財団にまるごと委託してしまってもいいはずだ。
日本財団は、競艇(ボートレース)というギャンブルの売上の一部を社会貢献活動の活性化に投資し、NPOなどへ中間支援を行う非営利組織だ。
彼らは、ギャンブル依存症という深刻な病気を生みやすく、人生がめちゃくちゃになった人も少なからずいるギャンブルで得た金で仕事をしているのだから、同じように問題視されやすい「おっぱい募金」を断る理屈は成り立たない。
もちろん、日本財団は一つの選択肢であって、独自に未来支援委員会の運営スタッフを公募し、団体運営の財源も含めて一緒に次の展開を考え、社会に広く開かれた形で寄付の正常化をめざすのが好ましいだろう。
そうした経過をネット上で逐一報告しながら、早めに新しい運営スタイルに変えれば、そのこと自体が「おっぱい募金」ならびに番組制作会社の社会的信頼を構築・担保する一助になる。
●寄付の現場の演出を変え、寄付の透明性を確保する
「おっぱい募金」では、会場に入るまでに、入場前に整理券を受け取り、荷物検査を受け、金属探知機によるボディチェックも受け、顔写真付き身分証で確認され、エキストラ出演の同意書まで書かされる。
こうして危険な人物や18歳未満をシャットアウトし、いざ募金箱に1000円以上を入れて、手を消毒した後で、やっと笑顔のAV女優に会えて、おっぱいを揉む。
しかも、スタッフが背後から「ハイ、1人に1回、ひと揉みだけですよ」と念入りに厳しい声をかける。
※女の子の休憩やブース販売のローテーション、体調などの都合でお目当ての女の子が並んでいない場合がありますが、ご了承ください。
※かみついたりひっかいたり、女の子がいやがったりケガをしてしまうような行為は禁止です。
※カメラ、ビデオカメラ、録音機器、携帯電話等の持込は自由ですが、会場内での許可のない撮影、録音は一切禁止致します」
番組制作スタッフが、アイドルの握手会以上に、おっぱいを揉まれるAV女優に気を使っているかがわかる。
ただし、そこまでするなら、エイズ予防という大義をわかりやすく表現しないと、募金する側も「ただおっぱいを触りたいだけ」という非難を受ける。
僕自身は「それでも寄付になればいい」という気持ちがないでもないが、世間は許してくれない。
そこで、来年(2016年)は、新しい未来支援委員会によって以下のことを試みてほしい。
☆おっぱい募金に参加する前に、待ち時間を使ってエイズ予防やコンドームに関する基礎知識に関する短いレクチャー・ビデオを見てもらい、1回だけの小テストを実施し、不合格者は「おっぱいを揉めず、握手のみ」のレッドリボンを手首につけてもらう。
☆待ち時間には、募金額がどのように使われるかを説明するビデオも見せ、昨年度のエイズ予防事業活動をビジュアルとして紹介する。
ビデオでは、寄付金によって助成された団体の代表者たちが、募金者たちに感謝の意見を述べ、そのお金で何がどう変わったかを数字やビジュアル、予防で助かった人たちの証言を紹介。
おっぱい募金以外のチャリティグッズ販売や、チャリティ募金への参加も促す。
☆寄付金は即日リアルタイムに集計・随時ネットで発表し、最後の募金者が募金した時点で最終額面を公表。
その場で贈呈式を始め、そのお金をAV女優たちから受け取った未来支援委員会が、そのお金を助成先に決めた団体の代表者たちにそれぞれその場で手渡す。
代表者たちは、その金をどう使うのかについて短い挨拶をし、募金者たちとの質疑応答にも応じ、その模様を放送・ネット配信・録画公開。
誰がどのように寄付金を使うのかについても、名前と顔、団体名をさらして発言する。
(※公式サイトに助成先団体の代表者の挨拶動画を事前に公開するのがベター)
●「女性視点」の配慮を、もっと徹底させる
テレビ番組の制作会社も、寄付に関連する団体も、圧倒的に男性が多い。
この比率だけで、「おっぱい募金」を男性目線でしか評価しない人たちが出てくる。
実際の募金者には女性もいて、レポートをネット上に発表しているので、女性目線を大事にする上でも読んでみてほしい。
☆レズ2人でおっぱい募金に参加してきました。
「おっぱいを揉んだ後はPOCKET TENGAとコンドームを貰いました。
レズだからコンドームは指かディルドに着けます。
ポケットTENGAは弟のクリスマスプレゼントにします。
TENGA EGGだったらレズでも裏返して使えたのに…」
☆おっぱい募金に参加した女性のレポ漫画(漫画家のれのれのさん・作)
「とにかくすごかった。
千円募金しただけであんな経験をできるなら、ぜひ行ってほしい。
そしてできれば女の子に行ってほしい。
AV女優という、傍目には過酷そうに見える職業に就いている女の子が笑顔で応対してくれる様子を、そして美しく磨かれたおっぱいを見て、触って、感じたままのことを覚えておいてほしい。
参加者の男女比は8:2くらいだけど、女の子やカップルも結構いた。
会場全体に怪しさやアングラ感は無く、お祭り会場という感じ。
女の子のおっぱいは優しく触りましょう。
そしてできれば、ありがとう、お疲れさま、がんばってなど、労いの言葉をかけてあげると笑顔で応対してくれるのでおすすめです」
彼女は続編の記事で、「爪が長くておっぱいへの敬意が足りないのではないか」反省してる。
☆女だけどおっぱい募金行ってみた(※2014年)
「手を導いてくれるスタイルはまじやばかったです。
こう、自分から触るのってやっぱ恥ずかしいじゃないですか。
手を女優さんが誘導してくれるんですよ。
下から揉ませる方もいらっしゃって、ヌッフオオオオオってなりました。
もうお話とか全然できなかったです(目の前に生おっぱいを目にして感動して)。
ありがとうございます!! お疲れ様です!!! しか言えませんでした。
女の子がおっぱい募金に行くと、女優さん側と間違えられる、おっぱいの素晴らしさを実感する、ムラムラする。
来年も行こう」
☆「おっぱい募金」に参加してきた(※2014年)
「おっぱい募金ガールがチャリティ用の黄色のTシャツをまくり上げた状態で9人、並んでいた。
1人の女の子にかけられる時間は約3秒。
その時間内で女の子のおっぱいの見た目、感触、顔、声、かけてくれる言葉、名前、しぐさ。情報量が多すぎて処理が追いつかない。
私は最初、女の子の乳首を変に触らないように、ふくらみを包み込むようなかたちで揉むのがいいのかなと思っていた。
しかしそんな余裕はなく、両手を押し出すような感じでタッチするのが精一杯。
後になって、おっぱいをさわる前に、ちゃんとアルコールを手にすりこんで消毒出来ていたのだろうかと不安になった。
不思議とこれは性的に興奮するような催しとは到底思えなかったんだけど、同行者の男性に聞いても『性的興奮はない』とのことだった。
Twitterでも似たような意見が散見された。
エロなものをエロと感じるまでには、十分な解釈と文脈が必要なのではないだろうか。
感服するのは、女の子のがんばりだ。
嫌々やっている訳ではないと思うけど、5000人以上の人間に(休憩はあれども)乳を触られるのは並大抵のしんどさではないだろう。
アトピー持ちの私としては、女の子のおっぱいの状態が問題ないか気になってしまう。
おつかれさまでした」
●未来支援委員会に誰もが参加できる「ガールズ・チーム」を
こうした以前に参加した女性募金者やAV女優、「これからおっぱい募金に参加したい女性」などに呼びかけ、女性目線からの配慮を実現する「ガールズチーム」を、未来支援委員会の部署として作ってほしい。
(※これからおっぱい募金に参加したい女性とは、揉む側・揉まれる側の両者に加え、基本的におっぱい募金という寄付アクションを応援したい人のこと)
AV女優たちの事前準備や当日の大変さを軽減できる仕組みを少しでも作り出そうという姿勢と成果があれば、そのこと自体が「女性にも支持されるおっぱい募金」を実現しやすくなる。
そういう意味では、おっぱい募金の現場やAV女優について知らないまま中止を訴える人たちも、「ガールズチーム」の会議に参加してもらえるよう、広く公募するといい。
中止の意見の前に、事実や内情、この寄付アクションに関わる当事者たちの気持ちを十分に知ることが、いらぬ誤解を生まない予防策だからだ。
意見はネット上からも集約し、チームとしての決議を未来支援委員会に上申する。
そして、未来支援委員会から番組制作会社に、女性が参加しやすい寄付の仕組みや会場の空間デザイン、おっぱい募金のあり方、適切な会場(※歌舞伎町でいいのか?)などを提案し、できることから実現していけばいい。
そして、おっぱい募金に参加した女性の実数や割合、年次推移も発表してほしいところだ。
こういう当事者主体の提言をすると、必ず出てくるのが「参加しない人の意見は聞かないのか?」というものだ。
AV女優が自ら「エイズ予防のためなら」と差し出したおっぱいを揉むこともなく、会場に足を運んでチャリティグッズを買うこともなく、現場や内情を知ろうともしないままで、10年以上続けてきた番組制作スタッフや募金者に対して、自分の頭の中の妄想でクレームをつけたり、生理的な嫌悪感で中止の声ばかりあげる人たちがいる。
彼らは、改善の余地があれば、課題や改善策を一緒に考え、さまざまなリスクの最小化するということに責任をもとうとしない。
現実認識を分かち合う前から、中止を求める。
これでは、より生きやすい社会を作る責任から逃げ続けているのと同じだ。
なので、僕は責任主体になろうとしない人を「ガールズ・チーム」に入れる必要はないと考える。
どんな試みも、10数年と歴史が浅いものなら、課題があるのは当たり前。
そこでは、まず挑戦に対して「YES」と肯定し、できること・できないことを吟味し、社会に受け入れられやすいように「より良いもの」に育てていけばいいだけの話だ。
時が経てば、社会が何をいかがわしいものと考えるのかの「性度」は動くのだから。
ただし、男の僕から見ても、前述した以外にもう少し配慮すべき点は多々あると考えている。
AV女優や募金者、スタッフの安全管理の点では、7000人以上も集まる会場には、リングドクターのような医師・カウンセラー・空手部のボランティア警備員なども待機させる必要があるだろう。
「エイズ予防のためなら」と自分自身の体・労力・事前準備の時間・コスメ経費などをプロボノとして提供しているAV女優に対して、もっとリスペクト(尊敬)できる事前アナウンスが、募金希望者に向けてあってもいいはずだ。
コミケですら「前日は入浴を」と呼びかけているぐらいなのだから、「おっぱいを傷つけないように爪は丸く切ってきてください。そうでない場合、寄付後でも断る場合があります」ぐらいは公式サイトに大きなフォントで書いておいていいように思う。
募金者の側の視点に立てば、必ずしも「おっぱいを揉む」ことを望んでいない人もいる。
自分の好きなAV女優に握手してもらえれば十分の人もいれば、握手も恐縮なので「がんばって!」と微笑んでほしい人もいるだろう。
揉む以外のアクションを求める人には、募金後でなく募金前にコンドームを渡して、それをAV女優に見せながら「ありがとう」と言うことにすれば、AV女優も「この人は胸に負担をかけないでくれる」と安堵し、心からの笑顔を見せられる。
AV女優全員の胸を揉む側だって、意外と大変なのだ。
お互いにメリットがある仕組みを考えてほしい。
性のバリアフリーの点では、手話通訳者・点字によるアナウンス・車いすユーザ専用通路や介助スタッフなどの配慮も、遅かれ早かれ検討してほしいところだ。
『エロは地球を救う!』の番組制作会社は、以前に「裸の手話ニュース」という画期的な番組を放送していた。
もともと社会貢献とバリアフリーには強い関心があるのだから、その志やノウハウを未来支援委員会に受け継がせればいい。
おっぱい募金が「AV女優のおっぱいワンタッチ・エイズ予防募金」みたいな正式名称だったら、マス・イメージは違っていたかもしれない。
略称で「おっぱい募金」はアリだけど、正式名称からして誤解を生むのは炎上商法と思われかねないし。
まぁ、現実を見ようともしないまま勝手にイメージだけで語る人たちは、それでも難癖をつけるのだろうが。
課題は尽きないが、外部組織として未来支援委員会を育てていけば、解決は確実に進んでいくのだから。
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