拙著『よのなかを変える技術』(河出書房新社)では、2011年2月に「日本全国お掃除計画」を目的に結成されたアイドルユニット『CLEAR’S』(クリアーズ)も紹介している。
彼らはアイドルという親しみやすいフォーマットを持ち、「街はみんなのゴミ箱じゃない!!」をキャッチコピーにライブと掃除の活動をしている。
『CLEAR’S』は同年4月、「お掃除しましょ ~Clean
Love~」という歌でデビューした。
2015年12月8日時点では、東京、名古屋、川越、熊本、群馬、大阪、千葉、横浜、仙台、札幌と全国にお掃除ユニット『CLEAR’S』が続々と結成され、学校、商店街、野球場などでお掃除ボランティアを行い、歌とダンスを披露しながら街を明るく元気にしている。
CLEAR’S事務局の代表で、プロデュースを担当する山本義樹さんは、世界初の「お掃除アイドル」の誕生のきっかけをこう語った。
「元・恵比寿マスカッツのメンバーで、今は東京CLEAR’Sのメンバー沢辺りおんが、お掃除が得意だったんです。デビュー曲も彼女がお掃除の歌詞を書き、彼女を中心に『CLEAR’S』を結成、2011年4月にボランティア団体green birdに参加して掃除を始め、『日本全国お掃除計画』の第一弾ライブを行ったんです」
その後、『CLEAR’S』の全国展開を目指し、フランチャイズ第1号として名古屋『CLEAR’S』が誕生。
続々と各地にユニットが生まれた。
お掃除の際はカラフルな作業着をそろえて着ているが、アイドル活動でも歌の内容は基本的にお掃除を呼びかけるものだ。
しかも、「掃除能力検定の5級以上を取得しないと正規メンバーになれません」と山本さん。
メンバー全員が資格取得者なのだ。
「イベントとイベントの間にお掃除に参加することも。
お掃除からファンになる方もいて、今ではお掃除参加者も1回に70~80人くらい集まるほど増えてきています。
Twitterで『全国にCLEAR’Sが出来れば、全国の街がきれいになるよね』と言ってくれた方も」
こうした広がりは、企業や行政も動かしている。名古屋CLEAR’Sは、エコ住宅のホーメイと、業者向けに掃除グッズを卸しているリブライトのイメージキャラクターになっている。
2014年8月には「い・ろ・は・すTwist GOMI拾い大会」に参加。
9月は「環境デーなごや2014」のイベントにも招かれた。
●「まちをきれいにしたい」は、同時代のニーズに応えた活動
通常盤は各地の『CLEAR’S』からの選抜メンバーが担当。名古屋・東京・川越の各地のユニットが歌うローカル盤も出ている。
「野望としては、全世界お掃除計画として少しでもお掃除を広め、ポイ捨てをしなくなるよのなかになってほしい」
そんな彼女たちの第3弾シングルが、今年(2015年)10月に発売された『答えしか知らないツライ』。
PVでは、ほうきや掃除機を持ったり、廊下に雑巾がけしているメンバーの笑顔が見られる。
アイドルPVには、ありそうでなかった絵面だ。
音楽ライターの山村哲也さんは、「諸国漫遊全国アイドル旅」で書いている。
「全都道府県にCLEAR'Sが出来るのも今の状況を考えるとそんなに遠くない気がするのです。
今後どこまで大きくなるのか?
お掃除ユニットCLEAR'S要注目のグループ」
事実、このユニットはここ1,2年という短期間にどんどん全国各地で増殖しているし、テレビなどへのメディア露出も増えてきた。
可愛さやダンスだけでなく、メッセージの明確な歌詞や、自然にお掃除という社会貢献に巻き込む空気作りが、アイドル戦国時代の今日、求められてきているのかもしれない。
それは、「アイドルで儲けられれば、社会のことなんて一時的にしか考えない」という従来のビジネスの終わりを予感させる。
CLEAR'Sの人気急上昇は、「娯楽+社会貢献」でより多くの人を巻き込んで、常にみんなでより良いよのなかを作っていくという時代の空気を先取りしたものといえそうだ。
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