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■おっぱい募金の中止派は、ハグ募金でエイズ予防を!

 おっぱい募金キス募金・ストリップ募金の他にも、身体接触の寄付アクションはある。
 一般的なのは、ハグ募金だろう。
 「ハグ募金」とは、寄付したい人を抱きしめてあげることによって、寄付金を集める募金スタイルだ。
 欧米ではポピュラーだが、最近ではアジア諸国でもカジュアルに受け入れられつつある。

 201141日の朝日新聞によると、「東日本大震災の被災者に愛を届けたい」という主旨で、ニューヨークの学生たちが通りがかりの人たちと抱擁し合う「ハグ」1回につき10セント(約8円)を寄付するという試みを行った。
 ワシントン・スクエア公園では、約30人の学生がギターを片手に歌いながら「日本のためにハグを」と訴えた。

 参加者の学生がハグのたびに懐から10セントを寄付し、通行人は募金箱に任意の額を寄付する。数時間で約千ドル(約8万円)が集まったという。
 参加者の一人、宮沢光さん(当時18歳)は、「わずかなお金かもしれないけど、私たちにできる愛情表現の一つ。被災者のみなさんをニューヨークの人たちも心配していることを知ってほしい」。

 201355日には、Zepp Fukuokaで開催された「ブルジョア男太鼓 x TGN Tokyo Gay Night」で、出演するドラァグクイーンのリリーさんの発案により急きょ「リリー・チャンPresentsレッドリボン・ハグ・キャンペーン」が行われた。
 当日、会場で100円の募金をしてレッドリボンをゲット。
 会場内で同じリッドリボンを付けている人を見つけたら、近づいてハグをし、「お互い気を付けようね」と声を掛け合う。
 ハグは強制ではないので、気楽にレッドリボンを着けてもらう。

「友人の訃報を聞き、本当思いつきでやらせていただいたキャンペーンでした。
 成功するかもわからなかったし、思いつきでやっていいものかすごく悩みました。
 ですが、私の座右の銘は、やらない善よりやる偽善」
リリー・チャンさんのブログ記事から)
 集まった寄付金は47,490円。
 購入したリボン代とピン代4,502円を引いた42,988円が、エイズ予防財団に寄付された。


 WoW!Koreaの記事によると、201412月には韓国ヒップホップグループ「M.I.BKangNam(カンナム)が障害者児童の治療費を支援するため、「寄付ハグ」を実践した。

 江南(カンナム)駅で始まった「寄付ハグ」は先着順200人を目標に始まったが、市民たちの熱い声援であっという間に締め切られたという。
 「寄付ハグ」を通じて募金された金額は、ミルアル福祉財団を通じて障害者児童に伝達される予定とか。

 Kstyle記事によると、201412月には少女時代のサニーもハグチャレンジに参加した。
 サニーは18日午前、自身のInstagram(写真共有SNS)に「ハグしてもらった人が1万ウォン(練炭20)を練炭銀行に寄付し、24時間以内に3人をハグし、その温かさを分かち合いましょう」と写真を掲載した。

 これを見たネットユーザーは、「ハグチャレンジ、私も参加したい」「サニー素敵だ。今日もファイト」「ファンたちは嫉妬。私は、チャレンジ。それでも趣旨がいい」など様々な反応を見せた。
 ハグチャレンジは、歌手SEANが自ら提案したキャンペーン。

 SNS3人をタグ付けし、その人に会ってハグをすれば、ハグされた人は24時間以内に相手から受けた温もりを他の3人に伝え、練炭銀行に1万ウォンを寄付する。
 SEANは最初のチャレンジャーになり、Cultwoのジョン・チャヌ、コメディアンのキム・ジェドン、EPIK HIGHTABLOを指名したとか。


 ChiMaga2015727の記事によると、今年(2015年)、白血病を患った4歳の娘を救うため、重慶市に住む28歳の母親がモノレール駅で「抱擁を売る、110元」と書いた紙を掲げて通行人からの助けを求めたことが、中国メディアで報じられたという。

 この家庭は夫婦とも出稼ぎ労働者で、20155月に4歳の娘が白血病と診断された。
 莫大な治療費用は、この貧しい家庭にとってなかなか払えない金額だ。
 親戚や友達から借りた7万元(約140万円)が治療費で使い切った後、娘を救うため、母親が勇気を振り絞ってハグを売って募金活動を決意した。

 初日、内気な親子は駅の近くで3時間ぐらい徘徊してなかなか紙を掲げる勇気がなかった。
 炎天下で虚弱な娘の姿を見てやっと最初の一声が出せたという。
 1時間の募金活動で670元(約13,400円)の寄付金を集めた。
 このニュースはネット上で紹介されたらすぐ話題になり、一部のネットユーザーもインターネットバンキングを経由して親子に寄付したという。



●毎年600万円以上のエイズ予防事業資金を誰が補填する?

 寄付だからどんなアクションでお金を調達してもかまわない、などとは誰も思わない。
 しかし、それが「困っている人を助けられるなら自分の労力や時間、体などを提供したい」という気持ちで参加したアクションである以上、その気持ちを分かちあった上で、寄付アクションのスタイルや効果、道義などを問う必要がある。
 そうでなければ、寄付アクションに参加した方々の気持ちをふみにじることになるからだ。

 前述のハグ募金も含め、どんな寄付アクションも、そのアクションがなかったら調達できない金がある。
 その金が失われれば、寄付先の団体は、その額面と同額の事業ができずに困ってしまうのだ。
 AV女優たちによるおっぱい募金は、10年以上前から続けられている恒例行事である。
 つまり、寄付されるエイズ予防事業団体にとっては、毎年の収入源だ。
 今年(2015年)の場合、それは600万円以上になる。

 仮におっぱい募金がネット署名によって来年中止になってしまったら、再来年から募金で得られたはずの額面のエイズ予防事業ができなくなる。
 その穴埋めまでちゃんと責任を取るつもりなら、中止派は「おっぱい募金」にとって代わる募金スタイルで同額を毎年調達していかないと、エイズ予防事業を妨害したことにしかならないだろう。

 エイズ予防のために、おっぱい募金をしてるAV女優のとなりで、中止派の人たちがハグ募金をやって募金額を競えばいい。
 エイズの感染拡大を防ぎたい気持ちを分かち合えるなら、同じ場所で同じ時間、違う寄付スタイルで競えばいい。
 ハグ募金なら中止派も「おっぱい募金なんかしなくてもエイズ予防事業のお金は調達できます」という自分たちの正当性を主張できるし、おっぱい募金とハグ募金の両方が行われれば、寄付額が増えるのだから、その増えた額面だけエイズ予防事業が拡大でき、みんな幸せになれる。

 「おっぱい募金を超える額面をハグ募金で調達できたら、おっぱい募金をやめる」という念書を番組制作会社と交わせば、エイズ予防はさらに盛り上がる。
 もちろん、おっぱい募金が負けたら、ハグ募金による寄付を中止派たちが毎年続けていくことも約束してほしいところだ。

 ハグ募金なら、呼びかけに気軽に応じられるという人も多いだろうし、あとは広報の努力さえきちんとすればいいだけだ。
 おっぱい募金を企画し、運営を10年以上も続け、改善をくり返してきた番組制作スタッフたちの努力と同じだけの労力を毎年払っていく覚悟があれば、できるはずだ。

 それさえしようとしないなら、「エイズ予防という大義のために自分の体を差し出したAV女優たちの気持ちから目を背けている」と世間から言われても、仕方がないだろう。

 日に日に新規患者数が増えているAIDS/HIVの感染拡大の深刻さに比べれば、自己責任でおっぱい募金に参加しているAV女優やそのスタッフなどの「現場の人間」とのコミュニケーションを避けた中止運動は、あまりにも説得力がなさすぎる。

 せめて、新エイズ予防指針と私たち―続けよう、HIVとの闘い連合出版)という本を買って、学んでみてほしい。
 この本は、エイズ予防財団が編集しているので、買えば印税がエイズ予防財団に入り、エイズ予防事業に使われる。

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