ゴジラといえば、ハリウッド版が2014年に公開され、続編も予定されている。
その大資本に比べれば、従来の日本製ゴジラのスケールが小さく感じてしまった人もいるかもしれない。
ところが、どっこい。
庵野監督の最新作『シン・ゴジラ』では、戦車でも戦闘機でもディテールにこだわる監督の「味」が、ハリウッドに引けをとらないスケールを予感させる。
それを示す90秒の予告編がYoutubeに公開されたので、さっそく見てみよう!
まず、冒頭シーンにある「シッポ」の大きさの描写だけで、「おおおおっ!」と興奮してしまう。
しかも、戦車や戦闘機に対する接写の、なんとまぁ、リアルなこと。
ゴジラが出てきた時点で、「これはもう戦争なんだ」と言わんばかりの緊張感だ。
「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」というキャッチコピーが意味するところは、ゴジラ対人類の生存をかけた命がけの戦いが繰り広げられることを匂わせている。
実際、ゴジラって「歩く原爆」だから、街なんか歩いたら、そのへん一帯は放射能で汚染される。
ビルをぶっ壊したり、人間を踏み潰したり、火炎放射で地上を焼きつくしてしまうことより、被ばくエリアがどんどん拡大する方が、市民にとってはるかに危険で恐ろしい。
なんたって、歩けば歩くほど、その行動半径が増える分だけ、人類も含めて動植物も生きられなくなるほど被ばくするんだから。
もう、これは生存権を賭けた戦いになるのは必至。
今回のゴジラは、全身の内側から放つ赤々とした光源のビジュアルからして、爆発する気満々だろう。
もっとも、熊本で震度7の大地震が起きてしまい、原発事故が懸念される今、娯楽映画としてのゴジラの上映延期がないことを祈りたい。
川内原発も玄海原発も、事故や放射能漏れが起こっていないこと自体を切に祈りたい。
平成ガメラ・シリーズで、金子監督はガメラの腹を開けてドカンと火炎放射させたもんなぁ。
今回のゴジラが赤光りしてると、「まさかそれはないはずだよね?」と思ってしまう。
いやはや、いい意味で期待を裏切る展開、期待してますよ。
●庵野監督は現実の「鏡像」として何を映すのか?
ゴジラを撮りたくてたまらなかった金子修介監督は、2001年公開の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』で、ゴジラの放つ放射能がいかに恐ろしいものかを改めて再確認させた。
今回の『シン・ゴジラ』は、2013年1月に東宝から制作依頼の打診があったことを庵野監督は公式サイトにコメントしている。
この2013年1月は、2011年3月11日の東北の大地震による福島原発事故がまだ記憶に新しく、脱原発デモや集会も盛んに起こっていた時期だ。
庵野監督は、こう書いている。
ゴジラが存在する空想科学の世界は、夢や願望だけでなく現実のカリカチュア、風刺や鏡像でもあります。
現在の日本でそれを描くという無謀な試みでもあります。
日刊スポーツも、「1954年の初公開時の初代ゴジラのように腕が小さく、胸はなぜか膨らみを帯びている」ことを指摘し、初代ゴジラが東京を襲ったことを今回の『シン・ゴジラ』がふまえている意味に言及している。
蒲田駅前を封鎖してロケ撮影を行ったあたりから、舞台は東京と見込まれる。
ゴジラ=原爆が東京を練り歩くってことか!?
こりゃ、とんでもない映像になりそうだ。
4度も被ばく経験のある日本は既に、原発事故だけでなく、原発を輸出する国になっている。
庵野監督が「鏡像」という現実には、何が映されるのか?
アメリカのエージェントが役名に入っていることも、興味深い。
クレジットされる役者さんが300人を越えたなんてニュースもあるけど、主役はゴジラだろっ。
ゴジラがすんごいことになる設定と物語、ビジュアルに金をかけてくれ。
てゆーか、役者に比重をかけたんなら、やはり心理描写をきっちりやってゴジラ=原爆の恐ろしさを際立たせる演出なのか?
うーむ、謎は深まる。
いずれにせよ、今回は樋口さんが特撮監督にとどまってるのが安心材料だ。
多くの映画ファンは、『進撃の巨人』の映画化で大いに落胆させられたからねぇ。
公開は、7月29日(金)。
エヴァンゲリオンとコラボしたビジュアルも公開されているので、公式サイトをチェキ!
てゆーか、これ、マスコミ試写会に行きたいわ、マジで。
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