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■子育てを頼り合う仕組みを作ればマンションも売れる

 拙著『よのなかを変える技術』(河出書房新社)や、「世界で評価される日本の社会起業家」というブログ記事で紹介したAsMama(アズママ)が、すばらしい快進撃を続けている。

 京阪電鉄不動産がAsMama(神奈川県横浜市/代表取締役社長・甲田恵子)と提携し、「子育てシェア」を中心としたご近所頼り合いサービスを、大阪府枚方市で開発する新築分譲マンションで導入することになったのだ。

 アズママの「子育てシェア」サービスは、いたってシンプルだ。
 下の図を観てほしい。





 両社の提携で、どんなマンションになるのか?
 以下のようになるらしい。


・共助環境を求める子育て世帯向けの説明会を、ママサポーターによる託児体験機会付きイベントとして複数回開催
・入居後は、本マンション専属の担当ママサポーターが子育てシェアをサポート
・入居者交流イベントを、随時マンション内で開催
・本マンション入居者専用コミュニティサイトを開設・運営
・引渡し後3年間上記サービスの運営を京阪電鉄不動産が支援、住民主体での運営体制にスムーズに移行できるようサポート

 不動産デベロッパーも、子育て環境を整えることが、入居者(それも良質な消費者)を増やすために不可欠だと気づきつつある。
 同じような取り組みは、他のシーンにもある。
 従来なら「ペットNG」だったマンションやシェアハウスを、「猫付き」にすることで有料な入居者を短期間になるだけ多く集めることができるというものだ。
(これは、東京キャットガーディアンが始めている)



●政治家より民間人が作る社会の仕組みの方がはるかに優秀

 アズママは、比較的マスメディアに取り上げられやすい社会起業家だ。
 それは、子育てシェアを急速に全国各地に社会インフラとして事業展開し、定着を図るという規模の大きさがあるから、だけではない。

 あくまでも子育てを孤立化している親の立場をふまえ、「東京などの都市圏だけのインフラではダメ」「お金のある人しか使えないサービスではダメ」という当たり前の倫理を守ってきたからだ。
 「待機児童解消の処方箋」という番組でも、アズママ代表の甲田恵子さんが出演をオファーされている。
(※12分20秒、18分10秒、26分50秒に甲田さんのコメント。28分14秒からアズママ紹介)



 もっとも、そうした実務レベルだけでなく、アズママにはいろいろな人材が気軽に参加できる空気感があるのが魅力的だ。
 たとえば、社会起業家では珍しくLINEスタンプを発表してたり、親子で楽しめる約60分のワークショップを通じて、互いを知り合い交流する機会を応援してくれる講師をネット上から公募もしている。
 あなたの住んでいる街でも「子育てシェア」が進むよう、アズママのHPを観てほしい。
 子育てを頼り合える仕組みを導入すれば、不動産だけでなく、いろんな物が売りやすくなることにピンとくるかもしれない。

 『よのなかを変える技術』(河出書房新社)や、『ソーシャルデザイン50の方法』(中公新書ラクレ)では、社会の仕組みをビジネスよって変えている社会起業家をたくさん紹介してきた。
 AsMamaがスタンフォード大学で講演に招かれたように、僕の本で紹介したミライロの垣内俊哉・社長も今年(2016年)6月にエクアドル、ワシントンD.C.、ニューヨークに招かれ、国連の会議に出席し、3度目のスピーチをした。
 モーハウスの代表・光畑由佳さんは、APEC2016の女性と経済フォーラムに招かれた。

 日本のマスメディア(テレビや新聞など)の記者は、そうした優秀な社会起業家の価値を十分に理解していない。
 だが、世界標準で考えれば、生きづらい社会の仕組みを変える革命を起こしてる本物の社会起業家が誰なのかは明白なのだ。

 社会起業家とは、生きづらい社会の仕組みをビジネスによって変えることで、このよのなかをもっと生きやすい場所へ変える仕事をしている人たちだ。
 アズママは、「自分の子は自分だけで育てる」という従来の生きづらい仕組みを、どんな子どもも近隣住民どうしで頼り合って育てるという仕組みに変えつつある。
 ミライロは、「障がいはハンデであり、障がい者は働けないから福祉作業所へ」という国策の生きづらい仕組みを、障がい当事者にしかできないバリアフリー・コンサルという仕事を作り出すことによって、「障がいは価値であり、障がいを活かして働ける」という仕組みに変えつつある。
 モーハウスは、授乳服の開発・販売によって、出産後の女性たちに外出の自由を与えた。

 社会の仕組みは、政治家が法律で作り出すものだけではない。
 国策が生きづらい仕組みしか作れないなら、民間でビジネスによって生きやすい仕組みを作り出せばいい。
 民間で生きやすい仕組みを作り出せば、政治家もいずれ生きにくい法律を変えざるを得なくなる。
 僕らは、毎日の仕事を通じて、社会の生きづらい仕組みを変えられるのだ。

 そして、これは世界中で同時多発的に進んでいるムーブメントになっている。
 現実の社会は、日々刻々と確実に変化しているのだ。
 『よのなかを変える技術』『ソーシャルデザイン50の方法』などの本を読んでみてほしい。
 従来の生きづらい仕組みにガマンばかりを続けるのか?
 それとも毎日の仕事で生きやすい仕組みへ変えるのか?
 それは、あなた自身が選べることなのだ。

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