この「孤食」という習慣は、栄養失調やネグレクト(育児放棄)、コミュニケーションスキルや情緒を育てるチャンスの不足、不規則的な生活習慣など、こどもの生い立ちに暗い影を落としかねない。
そこで、全国各地で「こども食堂」の試みが民間の一般市民たちによって続々と始められている。
しかし、資金難からなかなか「こども食堂」を立ち上げられなかったり、運営を始めても開催の回数を増やせずにいる団体も珍しくない。
食材費・光熱費・広報費・場所代・運営スタッフの人件費などの活動コストを埋め合わせるには、格安料金で食事を提供しても、利用客が増えれば増えるほど継続が難しくなってしまうからだ。
利用する親子が増えるのは良いことなのに、コストも同時に増えてしまえば、運営団体がどれだけボランティアの労力を尽くしても、金だけはどうにもならない。
でも、逆に利用客が増えれば増えるほど、コストを埋め合わせる収益源も大きくなるという仕組みは作れないか?
そこで僕は、不要な学術書などをみんなで寄付して、それを古書店に買い取ってもらうことで現金化し、活動団体の資金源の一助とする『学術書チャリティ』を主宰している。
寄付を求める団体にはこのページ(←クリック)から申し込んでもらっているが、「こども食堂」を利用する大人やこどもたちが不要な学術書(※医学書・専門書・法律書など)の寄付を自分の身近なところへ呼びかけていけば、その分だけ寄付が増え、「こども食堂」の活動コストを賄えるのだ。
たとえば、こどもなら自分の通う幼稚園・小学校・中学校・高校の教職員やそのPTAに寄付を呼びかけられるし、大学生や専門学校生、予備校生なら教職員に話を持ち込める。
大人なら、自分の勤務先の会社はもちろん、用事で足を運ぶ病院や郵便局、生協や商店会、町内会や鉄道会社(駅)、青年会議所、弁護士会などに声をかけることだってできるはずだ。
「こども食堂」を利用する1人1人が、自分の行動半径の中で無理なく1箇所に声をかけて寄付を集めれば、利用客が増えれば増えるだけ活動コストを埋め合わせられる。
しかも、一方的に支援される利用者が抱く申し訳無さを払拭し、「自分もこども食堂の活動継続のためにそれなりの支援をしている」という自負と責任感が生まれ、運営団体の活動内容に対して対等かつ自由に提言できるようにもなる。
このように、支援する・支援される関係から「一緒に協働する関係」へと活動に関わる人たちが同じ汗を流す気持ちを分かち合うことで、毎月20万円程度の寄付収入を実現できた例もある。
『学術書チャリティ』では、寄付を求める団体を常時公募中(※任意団体もOK)。
申込みから最短3日以内で寄付先団体として認められると、広報マニュアルを提供しているので、寄付を上手に集められるようにもなる。
あなたの知り合いやtwitterのフォロワーなどに「こども食堂」の運営団体や、団体の立ち上げを考えている人がいれば、『学術書チャリティ』を教えてあげてほしい。
寄付者には、自分が寄付した学術書がいくらの寄付金として団体に提供されたのかを、買い取り先のノースブックセンターがメールで教えてくれる。
寄付しがいのあるチャリティなので、大学生はもちろん、大卒者ならではのチャリティとして参加してみてほしい。
●3月、大阪に新たな「こども食堂」が誕生!
『学術書チャリティ』ではこのたび、新たに寄付先の団体として大阪・住之江で今年(2017年)から活動を始めたみんなでつくる「親子カフェ&こども食堂」プロジェクトを承認した。
同団体の代表・柴原隼 (しばはら・はやと)さんは言う。
「住之江区にいる共働きや一人親家庭を対象、地域とのつながりが希薄で孤食となっている家庭がある。
23歳以上の20代の共働きや一人親家庭で仕事帰りが遅く、こどもは家で一人。
そんなこどもたちが話せる、つながる居場所をつくりたいと思い、活動を決意した。
定員や制限などによって保育所に入れない、学童に入れない。
そういう子どもたちの一時的な預りにも対応していきたいと考えています。
もちろん専門的な知識を持ったスタッフ達が対応します!」
この団体では、「2017年12月までに地域の共働き家庭の孤食を3割減らす」という目標を掲げている。
ただし、こども食堂を1回開催するのに3000円がかかるという。
今年3月の予定では週2,3回の開催が発表されているが、月に10回やれば3万円が必要だ。
しかも、利用したいこどもが増えれば、食材費などのコストはさらにかかる。
もっとも、このこども食堂の試みが好評価を受ければ受けるほど、利用したい人も増えていくことが想定される。
1回3000円のコスト計算では遅かれ早かれ赤字(=代表者の個人的な持ち出し)が増えることが懸念されるのだ。
だからこそ、あなたが大阪のこどもに思い入れを持てるなら、学術書チャリティにぜひ不要な学術書を寄付してほしい。
大阪在住の方は、自分の勤務先や通学先、取引先などに声をかけ、不要な学術書をみんなに持参してもらい、ダンボール箱に集めて、一括で学術書チャリティから寄付を申し込んでほしい。
学生なら、地元にある政党や議員事務所、新聞社やテレビ局、大企業の本社などにアポを取ってそれらの組織に学術書チャリティへの参加を呼びかければ、それ自体が有効な就職活動になるだろう。
仲間を広く市民から集めて寄付活動だけに特化した団体を独自に作り、プロジェクトに対して定期的な資金提供のできる仕組みを作れば、就活の面接でその成果を堂々と話せるので内定に極めて有利になる。
野菜・魚介類・果物などの市場関係者は、プロジェクトのFacebookページを確認の上、市場に出せない食材を無償で提供してほしい。
twitterアカウントもあるので、気軽に何を協力してほしいのかを尋ねることもできる。
利用者には、「お金ではない対価」として、こどもの通う学校の教職員に学術書チャリティのリンクを伝えるだけでもしてみてほしい。
こども食堂を親子が利用することは、不憫なことでもかわいそうなことでもない。
国民が総じて貧困化する現代の日本では、助けてもらうのではなく、助け合う仲間を作ることが誰にとっても必要になっているのだから。
だからこそ、志ある人がこども食堂を運営し始めたら、「お金ではない対価」を提供することで、気兼ねすることなく格安の食事をみんなで楽しめるののだという認識を分かち合いたい。
「お金ではない対価」とは、たとえば寄付への参加を広報する時間や労力(手間)を提供するとか、運営団体が望んでいる規格外野菜などの食材の無償提供を市場関係者に打診するとか、こども食堂の運営が継続できるよう、無理のない範囲で力を貸すってこと。
プロジェクトのFBページをシェアしたり、twitterで発信された告知をRT(リツィート)したり、自分のブログでいま観てるブログ記事のリンクを紹介することもできる。
メールブラウザやgmailなどのアカウントを利用しているなら、「署名」の欄にプロジェクトのHPのリンクを貼り付けることもできる。
「公式サイトに代表者の顔写真を出した方が寄付したい方から信頼されるのでは?」と団体に提案してもいいだろうし、「不用品を集めてバザーをやりませんか?」と持ちかけるのもいいかもしれない。
「お金ではない対価」とは、運営団体の活動における苦労をほんの少し思いやれば、いくらでも考えつく。
なお、みんなでつくる「親子カフェ&こども食堂」プロジェクトが手がける「M's Houseモカとミルクの家」(大阪市住之江区粉浜3-9-19 1階/住吉駅から徒歩3分 ※下記の地図)では、3月1日(水)にオープンする。
当日の午後3時からは第1回ワークショップとして、お店の飾り付けを行う(参加費無料)。
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