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■本の価値って何だろうね?

 僕は、ライター・編集者を主軸にいろんな仕事をしている。
 なので、物書きさんや編集者さんから新刊本が送られてくることがある。

 もっとも、僕は今、新刊本を紹介するためのコラムなどを雑誌に書いてるわけではないので、送っていただいたお礼に月間10万PVを超えるこのブログで紹介しておこう。

 1冊目は、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんの『写真で伝える仕事 世界の子どもたちと向き合って』(日本写真企画・刊)。
 この本の帯には、「これからの時代を生きる中学生・高校生へ」とある。

 内容は、安田さんがウガンダ、シリア、ヨルダン、イラク、フィリピン、カンボジア、日本(陸前高田)で取材・撮影した子どもたちの写真と、その土地での彼らの暮らしを文章で紹介したものだ。

 同じ時代でも、所変われば、違う暮らしがある。
 戦争・テロ・貧困・震災などの社会環境の中で苦しい暮らしを強いられている子どもたちの現実を描くことは、同世代の日本の子どもたちにはショックかもね。

 2冊めは、ジャーナリストの藤原亮司さんが書いた『ガザの空の下 それでも明日は来るし人は生きる』(dZERO・刊)。
 この本は、僕が企画・編集する『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)を出版予定のdZEROから送ってもらったものだ。

 内容は、パレスチナを20年間も取材し続けてきた著者が、「紛争地で生きる人々」を描いたルポ。
 中東の紛争は死体や負傷者を被写体にすることによって可視化できるが、平和な日本で親に心身を傷つけられた子どもたちの自殺や傷は可視化できないままだ。

 僕にとってリアルな戦争は、海の向こうだけで起きているのはなく、平和に装う家庭の中でもひっそりと起きているのだ。
 そんなことを思わせた。
 著者が撮影した貴重な現地映像や画像は、dZEROのサイトで観られる。
 この仕組みは、僕がdZEROで本を出す際にも役立つだろうし、販促にも資するだろう。

 3冊めは、コムトレーニング講師の荒木シゲルさんが書いた『伝わり方が劇的に変わる! しぐさの技術』(同文舘出版・刊)。

 自分の考えや感情を的確に表現できなければ、相手に誤った印象を与えてしまう。
 そういった誤解を生み出さないためには、自分のカラダをイメージ通りにコントロールする能力が必要になる。

 そこで、この本では、自分の思い通りに伝える「身体コントロール」と、相手との力関係を左右する「ステイタス・コントロール」を伝授する。
 言葉に頼らず、状況にマッチした「質の高い立ち居ふるまい」をする「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」の実践ノウハウを、元プロ・パントマイムアーティストで研修講師の著者が教えてくれるのだ。

 4冊めは、ワイルドの原作を元に、絵・解釈を西川修さん、西川祥子さんが担当した絵本『幸福の王子』だ。
 西川祥子さんが郵便で届けてくれた。

 この本の中身を朗読した動画が、西川祥子さんのYoutubeチャンネルにアップされていたので、このリンクをクリックし、楽しまれたい。
 音楽もつけられており、子どもでも楽しめる。

 このように、僕のブログで新刊本を紹介してほしい出版社の編集者の方は、本の簡単な紹介文をつけて、僕にメールください。
(※本の中身によっては、紹介できない場合有り)

 さて、内容がバラバラな本を紹介してみたが、最近の僕は「なぜ本を出版するのか」について、一つの結論を出した。
 それは、本を媒介にして、社会をもっと生きやすい場所へ変えるためだ。
 どういうことか?


●本は、社会をもっと生きやすくするためのツール

 今年(2017年)3月19日から、虐待された方から「親への手紙」を公募中!』というサイトを公開した。
 これは、親から虐待された方から「親への手紙」を集め、100通分を1冊にして出版しようという企画で、僕自身が「Create Media」という名義で1997年に出版した企画の焼き直しだ。

 20年前、僕は『日本一醜い親への手紙』という本を企画・編集した。
 厚労省は1990年から、全国の児童相談所へ寄せられた虐待などの相談件数を調査している。
 この相談件数は、1996年まで大して増えていなかった(下記の画像をクリック)。




 ところが、1997年に『日本一醜い親への手紙』を出し、10万部のベストセラーになり、1998年に続編『もう家には帰らない』を出版すると、翌99年に発表された相談件数は1万件を突破した。

 この間、『日本一醜い親への手紙』の文面や、編著者の僕へのインタビューが新聞・テレビ・雑誌などを賑わし、児童虐待の実際の深刻さに驚く人々が増えたのだ。
 自分がわが子へしていることが虐待だと気づく親や、自分が親からされてきたことが虐待だったと気づく子が増えたのだ。

(その後から「毒親」関連本が続々と発売されたが、僕は虐待されて大人になった人たちが自殺や精神病などの生きづらさを抱えている現実を取材し、その生きづらさを当事者たちから取り除くには政治的解決はとても待てず、民間事業におけるソーシャルデザインや社会起業が必要であるという認識にたどり着いた)

 「あなたが苦しんでいるそれは虐待なんだ」と知らせればこそ、誰かに相談したり、もっと深く学ぼうとしたり、深刻さゆえに病院やカウンセリングヘ行ったりと、読者を早期解決へと動機づけることになる。

 つまり、本を出版することは、ただ商品を発売することではなく、現実の深刻さに気づかせ、読者の認識と行動を変え、それまでの苦しみから解放するための手段だったのだ。
 本は「社会的課題を解決する」という目的を果たすためのツール(道具)であり、出版という仕事はその目的によって動機づけられてするものなのだ。
 僕はその時、そう理解したのだ。

 そして今回、20年ぶりに「親への手紙」を公募し、新たに本を作ろうと考えたのも、増え続けた相談件数がついに10万件を突破してしまったからだ。
 児童虐待に関する人々の関心がここまで高まってきたのに、「虐待そのものを減らす取り組みが進まないでいる」という社会的課題が解決されないのは、あまりにじれったい。

 既存の公的機関やNPOがそれができないなら、誰かがやらなきゃいけないだろう。
 そう思った時、本を作って現実を知らしめるだけでなく、この本をさまざまな文化の担い手に読んでもらい、児童虐待を減らせない仕組みについて、もっと速くもっと広くもっと多くの関心を集められる仕組みを作る必要があるんだと思った。

 そのために実際に何をどうするかは、『Power To the Children』(仮称)のサイトの発表を待ってもらうとして、今年秋に発売予定の『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)を出版するための制作費を調達するため、4月頃からCF(クラウドファンディング)を始めるつもり。

 CFを成功させるためにも、まずは虐待された方から「親への手紙」を公募中!』というサイトを多くの方に知ってほしいので、拡散してほしい。
 そこで、20年前にどんな「親への手紙」が本に収録されたのかを動画にしたので、ぜひ観ておいてほしい。

 そして、僕と同じように「児童虐待の深刻さを少しでも多くの人に伝えたい」という気持ちになってくれたら、ごらんの記事もぜひ拡散してほしい。



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