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■祝! 手紙本の制作費400万円を満額調達!


 親から虐待された100人の「親への手紙」を収録し、1冊にまとめた本『日本一醜い親への手紙』。
 僕(今一生)が1997年に初めてこの手紙本を「Create Media」名義で出してから20年後の2017年の今年、新たに手紙を公募し、再び作ろうとした際、一番の問題は資金でした。

 通常、本を1冊商業出版し、全国の書店に流通させようとすれば、その制作費は300万円ほどかかります。

 しかし、手紙の採用者100人に1人1万円の謝礼を支払おうとすれば、100万円に加え、振込手数料や見本誌の郵送料などで合計120万円ほどかかります。

 1997年当時は版元のメディアワークスで潤沢な予算を使って制作できたのですが、この20年間に全国の本屋さんは次々に潰れ、出版不況が続くと、120万円ものコストが加算され、利益を出すにはハードルが高くなるリスクを進んで引き受けたがる人はいません。

 僕は20社以上も有名出版社に企画を持ち込みましたが、すべて断られました。

 しかし、1997年に手紙本を出した後、あるパーティで出会ったのが、編集者の松戸さち子さんでした。

「この本は私が出したかった」
 彼女の言ったその言葉を覚えていた僕は、2017年に入ってから松戸さんにFacebookから連絡し、3月に何度も打ち合わせをしました。

 dZEROという「ひとり出版社」を立ち上げていた彼女にとっても、約400万円ものリスクを背負ってこの本を出すのは危険なタイミングでした。
 しかし、彼女は真剣な目でこう言ったのです。
「それでも、お金さえなんとかできれば出版したい」
 僕は言いました。
「じゃあ、僕が400万円を集めます」

 最初に手紙本を出してから20年間、子ども虐待はさらに深刻化しているのに、誰も防止策を作っていません。
 虐待されながら育った人たちの苦しみをただ黙っていつまでも聴き続けていることに、僕はいいかげん耐えられなくなっていました。
 だから、もう一度、彼らの苦しみを表に出し、現実をより多くの方に知ってもらうことで、虐待を防止する仕組みを作り出す機運を高める仕事をしておきたいと思ったのです。



 そして、4月から「親への手紙」の公募サイトを自分で立ち上げ、この本の出版を応援してくれる有名人に推薦コメントを寄せてもらい、人々の関心を喚起しようと動き出しました。
 20年前の本で選者解説を担当してくださった原宿カウンセリングセンターの臨床心理士・信田さよ子さんに真っ先に推薦と解説を打診し、20年前は性虐待の被害少女だった東小雪さんにも同様の依頼を打診しました。

 公募サイトでは、前払いで本を買ってくれる人や寄付金を出してくれる人を毎日のように募りました。
 もちろん、クラウドファンディング(CF)を利用することも考え、Makuakeにも最終選考までたどり行きましたが、規約違反を一切していないのに断られたため、CFに頼るのはやめました。
 そもそも、みなさんが「子ども虐待をなくしたい」という思いで拠出してくれたお金をCF運営会社の手数料にとられるのは納得できなかったですし、対価を本にしたところでお金を集める情報拡散の労力は個人でやっても同じなので、自分でやろうと決めました。

 当初は、国会に議員を輩出している政党や有名企業の社長、誰もが知る大物ミュージシャンなど200通以上に及ぶ著名人へ手紙を書き、子ども虐待の現状をつぶさに伝えながら、制作費への資金資金をお願いしました。
 ところが、この本を購入してくれたのは、山本太郎・議員ただ一人でした。
 来る日も来る日もtwitterやFacebook、ブログなどで「子ども虐待をなくしたい」という思いを伝え、資金提供を募ったものの、原稿公募の〆切である6月30日が迫っても購入+寄付の総額が100万円に届かず、「どうせ最初から無茶な企画だ」「CFを使えばいいのに」という声も聞かれるようになりました。

 すると、dZEROから「人件費抜きなら200万円で本を作ることだけはできる」と提案され、「6月30日までにあと100万円!」と喧伝し始めると、奇跡がおこりました
 一度に100万円を提供するチームが現れたのです!



 それからは一気呵成に制作に没頭し、10月2日に晴れて全国の書店で発売できることになりました。
 もっとも、手紙の執筆者への謝礼や振込手数料(100万円)、装丁デザイナーや解説者の謝礼、TVや新聞、雑誌などで本を紹介してもらえるように送るための本代や郵送費などに必要な残り200万円の壁が立ちはだかっていました。

 その懸念をなんとか払拭しようと、僕は「全国各地でノーギャラ講演会をしたい」とネット上から呼びかけてみました。
 すると、北海道から沖縄まで19ヶ所の一般市民の主催による講演会に出向くことができました。
 この全国行脚をすることで、各地の地元メディアで本を紹介してくれたり、購入や寄付の特設サイトへのアクセスが増えました。



 それと並行し、読売新聞東洋経済オンラインexciteニュース京都新聞朝日新聞などに続々と本が紹介され、数百人からサポート購入や寄付金が集まり、12月18日の夕方までに制作費の不足分のうち約197万円を調達し、残りは約3万円と迫りました。 
 そして、その晩、ビ・ハイア株式会社 代表取締役の清水有高さんのお招きで、彼の都内の自宅スタジオでYoutubeライブの生配信に出演(※下にある動画を参照)。



 清水さんがこの本を10冊単位で大量購入したことを生配信で告白し、視聴者に寄付を呼びかけると、約10万円の寄付が集まり、僕は千葉へ帰るバスの中で声を殺して泣きました。
「親が子どもを虐待するよのなかなんてイヤだ!」
 そう思っているのは、僕一人じゃない。
 だから、この思いにお金が集まるのも、決して奇跡じゃないんだ。


(キリンジ『drifter』 ※歌詞を読みながら聞いてみてください)

 翌19日に口座を確認すると、総額で制作費の満額を超える約407万円を調達しており、出版社dZEROへ最後の入金を済ませました。





 9ヶ月間に及ぶ長い長い戦いが、ようやく終わりました。
 これで、つらい過去と向き合い、勇気を出して「親への手紙」を執筆した100名全員へ年内に謝礼を振り込むことができます。
(※12月29日まで順次、dZEROの松戸さんが一人で100人分の振込・書留の作業を続けていますのでお待たせしてしまいますが、謝礼が届いたらtwitterなどでお知らせください)

 お金を出してくださった方々はもちろん、情報拡散してくださった方々、講演会に足を運んでくださった方々、取材記事を書いてくれた記者のみなさん、本当に本当に本当にありがとうございました!


●2020年までに100のプロジェクトを作り出します!

 これを書いている今も、なんだか夢を見ているようです。
 文字通り、春から不眠不休で走ってきたので、制作費400万円の調達というゴールを過ぎても、正直、ピンとこないのです。
 もちろん、手紙本の出版は、子ども虐待を防止する仕組みを作るためのスタートラインにすぎません。
 本番はむしろこれからなのです。

 来年以後も、手紙本でお約束した通り、2020年までに「子ども虐待を防止する仕組み」を作り出すための100のアクション『STOP! 児童虐待100プロジェクト』(※公式サイトを準備中)を仕掛けていきます。
 そのアクションの中核にあるのが、手紙本をより多くの方に読んでもらうこと。
 まずは、子ども虐待の深刻な現実を見つめ、「もう子ども虐待のない社会にしようよ」という思いを一人でも多くの方と分かち合いたいです。

 そのためにも、400万円を越えた分の約7万円は、1冊2000円(税・送料込み)として30人以上の社会的発言力の高い著名人へ贈り、彼らの仕事を通じて子ども虐待の深刻さを多くの人たちに知ってもらえるよう働きかけます。



 なお、サポート購入は、12月20日以後から1冊2000円(税・送料込み)として10冊単位で受注します。
 これまでのように制作費への支援ではなく、子ども虐待の深刻さを1人でも多くの方に知らせる活動にあなたも参加してほしいのです。
 この本に書かれた「不都合な現実」を以下のような方に知っていただくことで、子ども虐待を防止する仕組みを社会に作り出すチャンスにしたいのです。

●メディアで発言力のある有名人
●音楽・映像・マンガ・ゲームなどのアーチスト&クリエイター
●子ども虐待の学術研究者、虐待防止策を作る政治家、民間で子ども虐待防止の仕組みを作るのに投資できる経営者(社長)・資産家など

 上記のような方々へ『日本一醜い親への手紙~』をプレゼントしたい方向けに、10冊単位による購入をお願いしたいです。

(※1冊単位での購入や、団体による一括購入は、全国の書店あるいはAmazonで)

 なお、12月15日以後にサポート購入をされた方は、宛名に届くのが来年1月未明になりますことをご容赦ください。
 本の売行きが想像以上に良いために在庫部数が無くなっており、27日の重版分を発送することになるため、年末年始の郵送事情を考えると、お手元に届くのが遅くなってしまうのです。

 また、寄付も今後は制作費への協力ではなく、『STOP! 児童虐待100プロジェクト』を推進する今一生の事業活動を応援したい方から常時募ることにします。
 「こいつ、次から次へとよくまぁ、孤軍奮闘でやるもんだな」と呆れながらも応援してくれるなら、ぜひ投げ銭してやってください。

 これを書いている今、12月20日午前2時。
 やっと気が抜け、心や体の疲れをやっと実感しながら、僕自身の心やお金、体力の余裕のなさから、言えなかった「ごめんなさい」や「おつかれさま」が少なからずあったと今更ながら気づきました。

 とくに、全国各地で僕を招いてくれた地元市民の主催者のみなさん。
 いつもバタバタと動き、早口でまくし立て、走り抜けるように去ってしまい、本当に申し訳なかったです。
 そして、「おつかれさま」の気遣いが十分できたかと自問すると、かなり疑問です。
 遅ればせながら、「本当にありがとうございました」と言わせてください。

 イベントを初めて開催・運営するにあたって、各地の主催者のみなさんにはかなり不安が大きかったと思います。
 赤字覚悟でイベントの広報に走り、当日まで気が抜けない日々が続き、さぞお疲れだったと思います。
 講演会の参加者にとって本当に手応えのあるイベントができ、イベント終了後のお茶会や飲み会で交流できたのも、みなさんのおかげです。

 こんなにいっぱいっぱいで、ダメな僕でも、各地で「またコンさんを呼びたい」という声が上がったり、「地元で当事者グループを作ります」と夢を語ってくれる方が現れたり、大阪では12月23日の「毒親フェス」を皮切りに被虐待の当事者によるイベントの開催を続けていくと言ってくれたのが、せめてもの救いです。
(※交通費や宿泊費などの経費をかけずに僕の講演会をするには、僕が自宅にいながらできるSkype講演会もありますので、ご検討ください)

 今年は、27日〆切の手紙本の公式キャンペーンソング公募が終わり、29日に採用作品を発表したら仕事が終わります。

 そこで、翌30日(土)の午後3時から6時ころまで新宿駅周辺のカフェで忘年会オフをやります。お茶会だけの気軽で安い集まりです。
 参加したい方は、お名前とケータイ番号を添えてconisshow@gmail.comまで。

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