旧ジャニーズ事務所(現SMILE―UP.)の創業者、故ジャニー喜多川氏による被害を申告をしたのに、補償を拒否された元ジャニーズJr.の男性ら3人が、3月6日、スマイルアップを相手取り、被害者としての地位確認などを求める裁判を起こした。
この地位確認訴訟というのは、たいていの場合、どこかの会社で雇われていた労働者が、不当解雇された時に会社が交渉に応じない場合、会社を相手取って「解雇は不当なものだ」と裁判を起こし、勝訴すれば、会社側に雇用の継続と賃金を裁判所が命令するというもの。
今回のジャニーズ問題の訴訟の場合、被害者側が被害を裏付ける証拠をスマイルアップ側に提供できるのに、スマイルアップ側がその証拠を確認しないまま、補償手続きの交渉を一方的に無視し続けてきたので、被害者側が被害者であることを認めることを求めた裁判といえる。
提訴したのは、故ジャニー喜多川氏から性被害を受けた元ジャニーズJr.の鈴木さん(仮名)ら3人。
3人はそれぞれ、2024年1月〜3月の間、補償窓口の弁護士事務所で面談を行い、面談から1〜4カ月後、「補償の対象外」とする通知がメールで届いたが、理由や説明は一切なかった。
どのような理由から補償の対象外とされてしまったのか見当がつかず、不服申し立てや再面談の要望をスマイルアップや被害者救済委員会に求めたが返答はなかった。
鈴木さんは記者会見でこう言った。
「被害者に対し、寄り添った姿勢や態度は微塵も感じられない。対話を求める手段や方法がこの裁判しかないという選択肢こそ、あまりに不自然で滑稽だとさえ感じる」
この鈴木さんの言葉の裏には、裁判で損害賠償請求をしても、判例主義では1人あたり30万円から300万円程度の安い補償しかしてもらえない現実がある。
欧米では、たった1回の性被害でも裁判で判例とされた賠償金は1億円以上になる。
被害が複数回に及んだり、被害者が複数人いるだけで、1人あたり数億円が支払われるのだ。
これが世界標準の人権感覚だが、人権後進国の日本では、人権より判例を大事にするため、欧米より2ケタも安い数百万円程度の賠償金になってしまう。
当然、ジャニーズ問題をきっかけに、子どもに対する被害は一律に1億円以上の賠償金にするよう、法律を変える必要がある。
しかし、子ども差別の国ニッポンでは、野党の国会議員でも、ポイント稼ぎにジャニーズ問題を叩くだけで、子どもを守るために賠償金を引き上げる提案を国会でしない。
なので、有権者のみなさん!
7月の参院選の前に、今からあなたの選挙区で出馬する候補者の公式サイトから、「子どもの被害については、欧米並みに賠償金を1億円以上に法律を変えてください」とメールしてほしい。
選挙前なら、国会議員は国会でアピールしたいはずだし、何より有権者のメールを無視したらSNSで「あいつ、支持者が政策の提案をしても返事もよこさないんだぜ!」と炎上案件になりかねない。
だから、予算成立後、本格的に選挙活動に入れるこのタイミングが、有権者にとって国会議員をビビらせる良いチャンスになる。
もっとも、1億円以上に賠償金を引き上げる法律を、ジャニーズの被害者は待っていられない。
彼らは「私たちの主たる要望は対話の継続」と主張し、スマイルアップ側の態度についてこう語っている。
「被害者に対し寄り添った態度や姿勢は、微塵も感じられません。説明どころか返答や回答の一つもいただけないことに誠意のかけらも見当たらない」
被害者たちが嘆く理由の一つは、スマイルアップ側に調査能力が足りてないから、だろう。
今回、裁判の原告になった被害者の一人、上田さんは学生時代に広告業界を志望し、ジャニー喜多川から「マスコミ業界に興味あるんだったら」と声を掛けられ、喜多川から万年筆などをもらったり、事務所に出入りするようになって被害に遭った。
上田さんは、「面談では事務所の詳細を説明したんですが、当時いた人はもういないので」と被害の証明の難しさを語るが、ジャニー喜多川の遺灰や遺品から指紋を採取すれば、喜多川からもらった万年筆の指紋が一致すれば、それ自体が親しかった証拠になりうる。
しかし、そこまでの調査をしないことは、スマイルアップ自身がハッキリ証明している。
今回の裁判を受けて、スマイルアップはこのようにコメントしているのだ。
「弊社が行う被害補償の枠組みの下、被害者救済委員会とも相談しながら、これまで、過去の在籍に関する資料を幅広く収集するとともに、過去に弊社に在籍していた元従業員らを含む関係者からの情報提供も受けるなどし、過去の在籍の状況及びご申告内容の確からしさの確認を真摯に実施してまいりました。
その結果、本日記者会見を実施された方々については、弊社の補償業務においては補償をすることができないと判断し、その旨をご連絡しております」
以上の内容を要約すると、「私たちの低い調査能力の範囲でしか被害を認めません」ってこと。
それは、「被害の調査に時間と金はかけません」と宣言しているのと同じである。
しかし、2023年10月の記者会見で木目田裕・弁護士が被害者への補償について述べた内容を裏切ったことになる。
木目田弁護士は、こう言っていたのだ。
「幅広く、補償できるようにする。立証責任を被害者に転嫁しない」
あれ? それなら被害者自身が提出した証拠資料ぐらいは、むしろ歓迎する必要があるのではないか?
そこで、今回の裁判に「鈴木」という仮名で原告になった40代の男性について詳しく書かれた、朝日新聞の記事を読んでみてほしい。
結局、未成年の頃に被害に遭えば、被害の自覚も十分にできないまま、泣き寝入りさせられ、補償を求めても「証拠がない」とつっぱねられ、万が一、加害者側からの補償に応じても数十万円から数百万円の安い金を受け取るしかない。
しかし、これはジャニーズ問題だけでなく、通学電車の中で痴漢に遭い続けている女子中学生や女子高生も同じだ。
父親から強い力で押さえつけられ、抵抗できないまま被害に遭っている多くの子どもたちも同じだ。
そして、子どもたちは一生、被害に苦しみ続け、大人になって睡眠障害やうつ病、統合失調症などになった時に自分だけを責め続け、最後は自分で自分の命を奪ってしまう人もいる。
大人から被害を受けた子どもは、苦しいからこそ記憶を思い出さないようにしていることもあり、記憶があいまいなので証拠を集めることもできないため、多くが泣き寝入りをしている。
それを変えるには、国会議員に対して、「子どもの被害は欧米並みに賠償金を1億円以上に法律を変えてください」とメールする人を増やすしかない。
1通のメールを送るなんて、誰でもできること。
たったそれだけのことをしないだけで、日本の子どもはこれからも一生苦しむ被害に遭い続ける。
僕はあなたに尋ねたい。
子どもを被害から守るために、他にどんなカンタンな方法がありますか?
子どもを守るために法律を変えたいという志のある方に集まってほしいです
日時:2025年3月15日(土)21:00~
内容:オリエンテーション
方法:Zoom
※参加希望者は、件名に「子ども法ゼミ参加希望」と書いて、power.chil852@gmail.com (パワチル八王子 九鬼零まで)メールください。
折り返し、Zoomのリンクをお送りします。