ジャニーズ事務所の「性加害」問題が、さらに炎上している。
これは当分、続くだろう。
日本には、子どもの人権や命を大事にする文化が歴史的に無く、今もない。
そのため、「ジャニーズ」という知名度の高い組織の経営者が心を入れ替えて、新しい組織に生まれ変わることが求められており、今後は「ここまでやるのか」という見本を示す必要があるからだ。
そこで、性加害やパワハラという「子ども虐待」(犯罪)の再発防止策の一部を提案しておきたい。
【子どもに対する犯罪の再発防止策案】
●子どもを密室に閉じ込めず、誰かと二人きりにしない
子どもいる場所(社内の会議室や研修場など)は、カギは開けておく。犯罪は密室で起こるため、子どもがいる場所には、保護者やスタッフなど大人2名以上を常駐させる。
なお、「子ども」とは、レッスン練習生やタレントに限らず、社内や職場に出入りするすべての18歳未満の子のこと。
●子どもの仕事のスケジュール・場所・スタッフの名前・連絡先を、事前に保護者と子どもへ通達する
現場の責任者をはっきりさせることで、子どもに仕事をさせている責任感をスタッフ全員に持たせる
●契約の前に、保護者に法律を子どもと保護者に説明する
児童福祉法・労働基準法・児童虐待防止法・こども基本法・民法(親権)・東京都条例など、子どもに関する法令をすべて文書化し、法令違反をしない仕事のあり方を誓約する。
たとえば都条例には、「正当な理由なく深夜(午後11時~翌午前4時)に16歳未満の青少年を連れ出し、同伴し、またはとどめた者は、30万円以下の罰金」と明記されている。
「正当な理由」には通勤・通学が入るが、帰宅時間が深夜11時にならないようにするには、遅くとも9時には仕事を終了させる必要があるので、それを社内規定にする必要がある。
また、契約する保護者と子どもが不利益を負いかねない契約上のデメリットを、10歳以上の子どもが納得できるぐらいわかりやすく説明する必要もある。
それには、契約した保護者どうしで保護者会を発足し、子どもの仕事上の不安を解決するための定例会議を開催し、議事録を公開し、保護者間で情報共有できるようにする。
実際、初めて芸能界で子どもを働かせる親には、マネジメント会社とのギャラの配分率やテレビ出演の相場のギャラ額などの予備知識がない。
子どもが正当なギャラで仕事をしているのかどうかを確認するのは、子どもに関する契約を代行する親権者としての法的義務である。
(※当然、マネジメント会社は子どもを守るために、契約代行者である親権者に対して子どもが裁判できる手続きも具体的に教える必要がある)
●保護者に個人事務所を法人化させ、収益の流れを変える
現在の日本では、テレビ局やスポンサー企業などからの収益は、ジャニーズ事務所ようなマネジメント会社から契約しているタレントへ流れている。
今後は、タレントに全ての収入が入った後でマネジメント会社に必要なマネジメント代を払う形に変える必要がある。
この変革で、全額を受け取るタレントより、その一部の入金を待つマネジメント会社の方が立場が弱くなり、マネジメント会社によるタレントへのパワハラが起こりにくくなる。
なので、保護者と子どもは個人事務所を会社法人化し、その会社から子どもの個人口座に入金させる仕組みにする。
何の仕事でいくらのギャラが入り、そのうちの何%が子ども個人の口座に振り込まれているのかについても、親が子どもに説明させるよう、マネジメント会社が親に指導する。
これまで、子役タレントが稼いだ金を親権者が「子どもの財産管理権」を濫用し、ほとんど自分が使ってしまうことが珍しくなかった。
個人事務所を会社法人化すれば、そこに入る金は会社の金であり、親だからといって子どもに情報開示をしなかったり、不当なギャラしか子どもに与えない場合、親権の濫用(=虐待)にあてはまるため、子どもは家庭裁判所や民事裁判に訴えることができる。
●専属契約をやめ、「所属」という言い方を終わらせる
忖度は、強い立場の相手に対して弱い立場の側が行う。
忖度をなくすには、マネジメント会社よりタレント側の立場を強くした方がいい。
そうすることでマネジメント会社の間で競争原理が働き、タレントにとってより待遇の良い条件を提示できるマネジメント会社と契約しやすくなる。
そこで、子どもと保護者が会社法人化を実現し、いつでもジャニーズ事務所との契約を一方的に打ち切れる権利を行使できるようにする。
同時に複数のマネジメント会社と契約できるようにすれば、タレントがマネジメント会社の顔色をうかがう必要がなくなる。
そうであってこそ、タレントは自由にメディアで話ができる。現在、ジャニーズ事務所の所属タレントがテレビなどで自由に発言できないのは、専属契約の弊害であり、基本的人権の侵害そのものだ。
また、1つのマネジメント会社にタレント業務のすべてを任せるのではなく、イベント・映画出演・テレビ出演・レコード・出版など、事業別にマネジメント会社を使い分ければ、一つの事業で失敗しても他の事業で収益を守れるので、リスクを分散できる。
●子ども虐待を防止する専門部署を新設、模範を示す
ジャニーズの再発防止特別チームは、こう指摘した。
模範となる以上、マネジメント側に子ども虐待が発覚した際の賠償額は、証拠なしで1人1億円を最低額として保証してほしい。
もう二度と性加害の問題を起こさないと誓う以上、自社に厳しいルールを設けるのは、信頼回復を進めるうえで当然のことだからだ。
また、「金より子ども」の方針を周知するために、利益の一部を子どもを守る活動へ寄付すると宣言してほしい。
たとえば、CAPプロジェクトやAsMamaなどの団体へ寄付するのだ(フローレンスやオレンジリボンではない)。
他にも、子ども虐待被害の賠償基金や賠償保険を立ち上げたり、政府に対しても子ども虐待防止の政策提言を行うなど、従来とは違うイメージを活動によって作る必要がある。
その点でも、「私たちは子どもを傷つけた人間や組織とは取り引きしません」と公式サイトで明言することが不可欠。
四谷大塚のような塾とは取り引きしないと宣言すればこそ、「子どもを守る企業」としてのブランディングが可能になるのだから。
●取引企業のすべてに「子どもを守る」方針を徹底させる
テレビ東京は、テレビ局の中で初めてジャニーズ事務所のタレントの出演拒否を公表した。
ジャニーズ事務所は、これまでの失敗をふまえ、取引相手が子どもを傷つける恐れがある場合、それを指摘し、改善を要求すべきだろう。
取引先に人権を守れと指導することこそ、人権デューディリジェンス(=反社企業との共犯関係からの離脱宣言)だからだ。
人権DDについては、イオンがDHCの差別発言に対して行った事例がある。
DHCの会長が公式サイトで行った差別発言に対し、同社の製品を陳列するイオン側が方針の見直しを迫り、差別発言を撤回させたのだ。
●以上を名刺の裏に印刷し、社外に改善を約束する
自社だけでなく、他社や他の法人にも広く「子どもを守る」という宣言を呼びかけ、国際的にも人権意識が低い日本の企業の文化を変える先頭に立つ必要がある。
以上は、再発防止策案のほんの一部。
子どもの人権を守れなかったジャニーズ事務所の問題は、芸能界にとどまらず、また企業だけでなく、学校や塾、宗教団体から労働組合まで、日本社会の隅々に残されている。
あなたの勤務先も、あなた自身も例外ではない。
「子どもを守るために、どんなルールが必要か?」
あなたの再発防止策を、ぜひ教えてほしい。
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