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さて、昨年末は、タレントの中居正広(52歳)が女性に対して9000万円を払ったトラブルについて、それが初めてではなく、彼が28歳の頃に事務所にもみ消された妊娠・中絶スキャンダルもあることを、YouTube動画で解説した。
極貧の家庭で育った中居正広は、社会常識も知らない15歳でジャニーズ事務所に入り、年収が何億円にもなる人気アイドルになれば、事務所がもみ消してくれる環境にいた。
中居正広は、自分を稼がせてくれる強い立場の人間がどんな悪い奴であろうと従うしかないという支配関係に30年以上もどっぷり浸かっていたのだ。
だから、ジャニー喜多川が未成年の子どもたち1000人以上にとんでもないことをしたと事務所が認めても、中居正広はもちろん、所属アイドルたちは全員、コメントすることがなかった。
大金を稼がせてくれた相手が悪いことをしていたと知っても、あいかわらず尊敬を続けるという作法は、ジャニーズアイドルだけでなく、彼らに楽曲提供をした山下達郎や星野源などのソングライターも同じだ。
しかし、大金のためなら倫理や道徳を忘れるという構えは、女性や子どもなどの弱者を追いつめることになる。
こうした拝金主義は、人気タレントにだけあるものではなく、年収1000万円を超えるテレビ局の社員にもある。
中居正広は既にジャニーズ事務所から独立してはいるものの、大金を稼ごうと思えば、人気を保つためにテレビ番組のレギュラー司会者として活躍する必要がある。
同時に、テレビ局の方も、視聴率がとれる人気タレントを出演させ、それによってスポンサー企業からの広告収益を守り、社員自身の高収入を守りたいと考えている。
つまり、タレントもテレビ局も、自分の高い年収を守るためには、互いに結びつく必要を感じるわけだ。
すると、テレビ局の社員が人気タレントを接待するように飲み会の席が用意される。
そこで、中居正広が9000万円も払うような女性トラブルが起こることになるのだが、フジテレビは「一切関与していません」という声明を出した。
もっとも、週刊誌FLASHの記事では、元グラビアアイドルで現役女優のSさんが、次のようにコメントした。
「中居さんの件はさもありなんという印象です。私も局員に“接待要員”扱いされていました。グラドルを対象にしたオーディションに受かり、そこそこ名前が売れた頃から“お誘い”が増えました。
テレビの制作現場にいるスタッフは大きく、テレビ局の社員と制作会社の社員に分かれます。もちろん、力関係として圧倒的に上なのはテレビ局の社員です。
そして平然と連絡先を渡してくるのもテレビ局の社員の場合が多いです。一次会では俳優さんを囲むように座ってワイワイと話すだけです。
終わり間際に、局員からLINEに『〇〇さん(俳優名)が気に入ったようだから、この後も付き合える?』と確認のメッセージが届くことが多いのです。
要は、ホテルに行ってセックスができるかどうかの打診ですね。まさに“アテンダー”ですよ。『ほかに芸能活動の相談をしている人はいるの?』と確認されるんですよ。別の“局員アテンダー”とバッティングしていないか気にしているんでしょう。
テレビ業界の一部には、大物に若い女のコをあてがう“上納システム”があるのは間違いありません。断りづらい状況下で不本意な形で巻き込まれてしまう女のコもたくさんいるはずです」
ジャニーズ事務所は大金をちらつかせ、子どもを商品として売り出すだけでなく、社長自身がその子どもの心や体を傷つけていた。
テレビ局も同じように、「仕事が欲しければ俺と寝ろ」という強い立場を利用して、若い女性を商品化するだけでなく、彼女たちの心や体を傷つけてきたのではないか?
というのも、男たちが強い立場を利用して女性や子どもを支配したがるのは、芸能界に限ったことではないからだ。
FORZA STYLEというwebメディアに、昨年末こんな記事が公開された。
橋本千紗さんという方が書いた、「オンナは若くて経験が少ないのがいい…」14歳差の夫の本性に激震!離婚を決意した30代妻が語る「 オンナをモノとして扱う男たち 」の真実、というタイトルの記事だ。
その記事には、夫との離婚に際してどうしても許せないことがあったという女性の話が載っていた。
この女性・城之内すずさん(仮名・35歳)は、14歳上の夫との離婚が成立。
1人娘と2人暮らしをしている。
夫になる男と会ったのは、すずさんが25歳のときだった。
彼女は、こう話す。
「夫はそのとき39歳。すごく大人に見えました。初めて会ったのは接待の席。私はコンパニオン要員として呼ばれたんだと思います。仕事ですし、断ることもできない」
2次会はカラオケ、3次会はバーに行った。
「最後に残ったのは、元夫と私の上司と私。後日元夫から強くアプローチを受けて食事をするようになりました。立場上、断りずらかったことも事実です。そして押し切られてそういう関係に」
すずさんにとって、ほぼ初めての彼氏だった。
「女子高、女子大育ちでバイトなども基本女性が多い場所を選んで生きてきたので、出会いがあまりなかった。
言い寄られることがなかったわけじゃないけど、気持ち悪いってイメージが強くて…。その点、元夫は落ち着いていてどこか父親っぽいというか、安心感がありました。
それが決め手だったと思います」
ほどなくして妊娠が発覚。結婚することに。
「初めての男と結婚したことになりますね。避妊をしたこともありませんでした。そういう選択肢を与えてもらえなかった。
2人目は流産をして、その後はできにくくなったのか、妊娠はなんとか回避してきました」
別れを決意するまで、その行為の異常さには気がついていなかった。
「行為を撮影されるなんて当たり前だと思っていたんだから恐ろしい。そのことに気がつくのに長い時間を費やしてしまいました。本当に自分がいかに浅はかで世間知らずだったのかと思います」
そんなすずさんが離婚を決めたのは、年末に元夫の実家に帰省をしていたときのこと。
夜寝静まった後、すずさんがトイレに起きるとリビングで元夫と義兄が酒を酌み交わしていた。
そっと聞き耳を立てると、あまりにも低俗な会話が繰り広げられていた。
ーオンナは経験が少ない若いのが1番手っ取り早い。
ー簡単にてなずけられるもんね。
ーお金で解決できることはそれでしたらいい。
ーだって、すずも…
すずさんは、開いた口が塞がらなかった。
女性には金がない。だから金で解決できる。
そんなふうに考えるのは、中居正広だけではないのだ。
子どもには力がない。だから、力任せで支配できる。
そんなふうに考えるのは、ジャニー喜多川だけではないのだ。
人間関係には、知力・学力・経済力・腕力・体力・軍事力・政治力など、いろんな力が働いている。
そこで、力の強い者が弱い者に対して一方的に支配しようとすれば、この社会は平和ではなくなる。
弱者のガマンによってしか成立しない平和を受け入れてしまえば、この社会はとても生きにくい場所になってしまう。
そうした「力による支配」への居直りは、主に男たちの病であり、同時に子どもに対する大人の病なのだ。
そんなことを痛感するのは、今年60歳になる僕が「老化」をひしひしと感じるからかもしれない。
誰もが足腰が弱くなり、記憶力も弱くなり、中途半端な障害者として死んでいくのに、自分の力の弱さを嘆き続けたり、強い力を持つ人にすがったりするんだろうか?
弱い自分を嘆いて強くなろうとすることは、悪いことじゃない。
でも、せっかく身に着けた強さによって、自分より弱い誰かを、自分にとって都合の良い存在に貶めるのは、とてもほめられたもんじゃない。
それを思う時、僕は子育てや教育をする大人の側が、子どもたちに何をしてきたのかを反省する余地が大きいように感じる。
それを認識するには、自分が子どもだった頃に大人に何をされてイヤだったのかを思い出す必要があるだろう。
幼稚園児の頃、僕は大人の女性たちからいきなりほっぺにチューされるのがイヤだった。
今でも、香水や化粧品の匂いで思い出す。
小学1年生の頃、担任の女教師から往復ビンタを食らって、ほっぺに掌の形の赤い跡がついたこともある。
高校生の頃は、進学先を父親が一方的に決めようとするので、それを拒否したら「じゃあ、今すぐ家を出て行け」と言われた。
バイトすら禁じられていた僕には金がないとわかっているのに、経済的に強い立場の大人は子どもの事情なんて一切考えなくても、誰からも責められないのだ。
それは上京し、バイトしたり、正社員になっても、同じだった。
収入を約束してくれる相手には、ものが言いにくい。
だから僕は、25歳で誰からも雇われないフリーランスになった。
さて、あなたにとって、強い立場の人間とは誰だろう?
職場にも、恋愛関係にも、夫婦関係にも、どんな人間関係にも、「強い立場の人間」から支配される恐れはある。
NHK朝ドラ『虎に翼』の主人公は、おかしいと思った時に「はて?」とつぶやき、困った顔をした。
「立場の強い人」を前にした時、ガマンだけを続けているのだろうか?
あるいは、どんな方法で、「力による支配」を平和で対等な関係へ修正しているんだろうか?
あなたの賢明な作法を教えてほしい。