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中居正広が起こした女性とのトラブルをきっかけに、引責辞任した元フジテレビの港浩一・元社長と大多亮(とおる)元専務に対して、フジテレビが50億円を請求する損害賠償の裁判を起こした。
この裁判には、次の3つのポイントがある。
① 現在の経営陣が「中居問題」による広告スポンサー離れによる利益の損失を少しでも埋め合わせるために、問題発生時点での経営者の責任を明らかにして、損失を補填すること
② フジテレビに勝訴の判決が出れば、利益損失の前提となる事実が「中居問題」にあることも同時に認められることになるため、中居正広に対する損害賠償の請求がしやすくなる条件になる
③ 株主に対して、「中居問題」による損失補填に努力した態度を見せることで、同じトラブルの再発防止を回避する姿勢を示し、信頼を回復する
フジテレビとしては、「中居問題」で2025年6月30日までに453億円を超える損害を被ったそうなので、何もしないわけにはいかない。
かといって、2人の元経営者に50億円を請求しても、支払えるかどうかは、難しいだろう。
そこで、弁護士の紀藤正樹さんは、「被告となった港氏と大多氏から中居氏への訴訟告知(事実上、訴訟参加を促す申立て)という戦略もあり得ます」と言っている。
つまり、港・元社長と大多・元専務が中居正広に「一緒に被告として戦ってくれ」と裁判への参加を誘うことも戦略としてはありうるというわけだ。
確かに3人で50億円を支払うか、3人分分担して払えるだけのより低い額面に落ち着かせるかすれば、フジテレビにとっても中居正広個人を相手取った裁判を新たに起こす必要がなくなり、中居正広にとっても自己負担分を減らす可能性も出てくる。
ただし、なぜフジテレビは真っ先に中居正広を訴えずに、前の経営者2人を最優先で訴えたのかを考えてみよう。
フジテレビに莫大な損失を生み出したことは、フジテレビにCMを出しているスポンサー企業もマイナスイメージを被ったり、出せるCMを自粛せざるを得ない損害を被ったことを意味している。
こうした場合に備えて、スポンサー企業は、CM出演者に対する違約金を最初から契約書に盛り込んでいるはずだ。
つまり、中居正広は現時点までにスキャンダルによる違約金を広告スポンサー企業に支払っているか、その手続きを進めているはずなのだ。
スポンサー企業から利益をもらうテレビ局としては、まずはスポンサー企業の利益を守るために、中居正広からの違約金の支払いが終わった後でなければ、中居正広に損害賠償を求めることはできない。
スポンサー企業より先に中居正広からフジテレビが大金を受け取ろうとすれば、スポンサー企業は中居正広から違約金を受け取れなくなる恐れが出てくるからだ。
だから、最初は元の経営者2人に損害賠償をして、その裁判が終わるまでに、中居正広がスポンサー企業に対して違約金を払い終えるのを待っているのだろう。
もっとも、紀藤弁護士が指摘されたとおり、今回の裁判に中居正広が加わり、3人で損失補填を負うことになれば、フジテレビは請求額面を釣り上げることを株主に迫られる可能性が出てくる。
すると、数年かかって最高裁まで争うような泥沼化もまぬがれず、結果的に50億円の満額には達しないものの、1人あたり数億円レベルの懲罰的な額面に落ち着くこともあるだろう。
これは、中居正広が個人で損害賠償の被告になっても同じだろう。
実際、フジテレビ広報部は「中居正広氏に対する責任追及については、外部の弁護士にも相談しながら検討しています」とコメントを出している。
いずれにしても、引退して無職・無収入の中居正広にとって、懲罰的な額面の判決の場合、スポンサー企業に対する違約金を払った後なので、資産が0円になる恐れも決して小さくない。
それがわかった時点で、あるいはそれ以前に、裁判の被告に立つストレスに耐えきれなくなれば、お金のない中居正広はどこにも逃げ場がなくなる。
被告が出廷を命じられているにも関わらず、正当な理由なく出廷しなかった場合、裁判所がパスポートの没収や取り消しを命じる可能性があるからだ。
もちろん、何があっても中居正広のファンであり続ける人の中には、富裕層もいるだろうから、中居正広の損害賠償を代わりに支払う人も現れるのかもしれない。
しかし、そうした人が現れない場合、中居正広は孤立し、ただの貧乏になり果て、現時点でよりまだ低い人生のどん底に突き落とされるだろう。
そうなると、中居正広が一人でお亡くなりになる恐れも出てくる。
それは、被害女性もフジテレビもファンも、誰も望んでいないことだし、起こってしまえば、かなり後味の悪い結末になる。
現時点ではまだ訴えられていないので、海外でもどこへでも逃げられるが、被告になったらもうムリだ。
そうした中居正広の境遇について、自業自得だと責め立てるのはカンタンだ。
これまでの被害女性に対する不誠実ぶりを見ると、同情の余地もないかもしれない。
それでも、どんな極悪な犯罪者であっても、人権が守られるのが法治国家だ。
どんな人間にもそれなりの生い立ちがあり、誰かに育てられて人格が形成され、大人に育っていく。
おぎゃーと泣きながら生まれた時から、「よし、犯罪者になるぞ!」と思っている人間など1人もいない。
だから、何かも間違いを犯した時に、自分の属性や能力、性格だけを見て、自分だけを責めるだけでは、自分が何に影響されて現在の考えになったのかに気づけないまま、同じ間違いを繰り返してしまいかねないのだ。
中居正広は、貧乏な家で育った。
女性セブンは、テレビ局関係者の証言として、こんなコメントを紹介している。
「時には食べるものにも苦労する生活で、食卓におかずはなく、バターやしょうゆをご飯にかけて食べていた。調味料がなくなると、水をかけただけのご飯で飢えをしのいだこともあったと、中居さん本人も明かしています。
実家の部屋は狭く、天井の低い4畳の居室に一家5人で身を寄せ合って寝ていたそうです。お風呂は週に2回で、それ以外の日は体にホースで水をかけ洗っていた。
中居さんは以前『家賃が3000円値上がりしたときに、大家さんに何度も頭を下げる父の姿を覚えている』と語っています。
父の“こんな姿を見たくない”という心境になったそうです」
その後、ジャニーズ事務所に入った中居正広は、やがてSmapのメンバーの一人として国民的な人気アイドルになった。
このように、貧しい家庭出身でジャニーズ事務所に入る少年は珍しくないが、Smapはメンバー全員が不祥事を起こしてきた。
それが、ジャニー喜多川による被害の影響かどうかは、元メンバーが話そうとしない限り、わからない。
中居正広がジャニー喜多川の餌食になったかどうかも、定かではない。
だが、もしジャニー喜多川による性加害を受けていたなら、本人も気づかないところで、大したことがない被害だと認識してしまっているかもしれない。
10代までに受けた被害の影響が出るのは、大人になってからだが、大人になってしまうと、個人の責任しか問われない。
しかし、精神科を受診したり、カウンセリングを受けた時、自分の起こした間違いが10代の頃の被害に原因があると指摘されたら、そのことを裁判でハッキリ言ってほしい。
それは、同情を集めようということではない。
ジャニー喜多川による被害者が、事務所が認定しただけでも500人以上にも上っている。
これは、世界の犯罪史上の中でもずば抜けて多い被害者数だ。
自分が過ちを犯してしまった背景にジャニー喜多川からの被害があったことを司法の場で語ることは、多くの被害者たちの気持ちを救うことになる。
だから、中居正広には、早めに精神科もしくはカウンセリングを受けてほしい。
被害を大したことがないと思うしか芸能界で生き残ってこれなかったつらさや、被害の対価として大金を得るアイドルを目指すしかなかった事情を、国民的アイドルだった中居正広が話せば、どうなるか?
たとえ裁判に負けて、莫大な損害賠償金を払うことになっても、中居正広が生きてきた価値を多くの人が知ることになる。
現実に向き合えず、アニメやゲーム、マンガの中でつかのまの現実逃避をしてやり過ごす多くの人たちに対して、現実に向き合う勇気を見せるのが、中居正広に残された唯一の名誉回復のチャンスだろう。
同時に、自分の過ちを自分の心の傷から読み解こうとする試みだけが、彼自身の自尊心を回復させ、一人で亡くなることを避ける唯一の方法なのだと思う。
さて、ここでみなさんにお尋ねしたい。
よのなかには、心の傷を誰もが持っていると僕は考えるが、傷の痛みの深さを「大したことない」と思うことで、やりすごしがちだよね?
でも、大したことがない痛みだと思っていたら、後でじわじわと気持ちがへこんだりしない?
あなたが自分自身の心の傷に気づいた時って、どんなきっかけがあったろうか?
たとえば…
●長年信じていた仕事先に「そんなこと、約束してないよ」と言われて、ショックを受けた時
●学校や家庭で教えられた考えが、世間で通用しなかった時
●信じていた政治家が不倫や脱税などの不祥事を起こしたり、推しのアイドルがスキャンダルを報道された時
●想定外の病名を病院で告げられた時
●納得できない理由で職場をクビになった時
●医者や教師など、社会的地位のある人から心ない言葉をかけられた時
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