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大麻使用罪で罰則を科せば、病人を自殺へ導くだけ


 僕の友人が、素晴らしい記者会見をしてくれた。
 karmaこと風間暁さんだ。

 彼女は、今年(2021年)6月2日、厚労省の記者クラブで「私たちは大麻使用罪の創設に反対」の声を上げた。

 薬物依存症の経験をもつ当事者として、「関西薬物依存症家族の会」代表、当事者代表の山口勉氏(オンライン出席)、立正大学法学部・教授の丸山泰弘氏、特定非営利活動法人「ぷれいす東京」代表・生島嗣氏、筑波大学医学医療社会精神保健学教授・精神科医の斎藤環氏(オンライン出席)、「ギャンブル依存症問題を考える会」代表・田中紀子氏と共に、以下の主張を展開したのだ。

福祉新聞より

 世界の薬物対策は、「懲罰から人権に基づく公衆衛生的なアプローチへ」と変わっている。
 しかも、刑罰を受けるたびに再犯のリスクが高まってしまう。

 なのに、日本では厚労省の検討会で大麻の使用罪で罰則を科すことが検討されている。

 こんな法律が施行されれば、薬物依存者は犯罪者として社会的に排除され、隠れた存在にならざるを得なくなり、治療や支援が見込めなくなり、大麻よりはるかに大きな害になってしまう。

 この記者会見は多くのメディアからの取材を受け、報道された。

★NHK 大麻「使用罪」検討 薬物依存症当事者の支援団体など反対

★日テレNEWS24 大麻使用罪、導入反対! 立ち直りの機会を

★福祉新聞 法務省「福祉と定期協議を」 薬物の再犯防止で報告

★日刊SPA! 厳罰化は逆効果?専門家が「大麻使用罪創設」に反対する理由

★弁護士ドットコムニュース 「生きる価値ない」と自死する依存症当事者

★あいである広場 『ダメ。ゼッタイ。』が支援を遠ざける

★Japan In depth 「ダメ。ゼッタイ。」ポスターを貼らないで!


●官僚は、拍子抜けするほど現実を知らない

 もっとも力を入れて報道したのは、BuzzFeedNewsだ。
 会見当日に「厳罰化は効果なし」の記事を出すと、11日に厚労省で行われた検討会の最終回に参加した委員たちの言葉を紹介した。


 検討会の取材に際して、厚労省は録音をしないこと」「発言者を特定しないこと」を「留意事項」として掲げる傍聴申込書を書くことが事前に要求されていた。

 国民の税金で運営される行政の検討会に、発言者の特定や録音を許可する権利や取材を拒否する権利があること自体、「謎ルール」そのものだ。

 いっそ、BuzzFeedNewsに抗議してきた厚労省の監視指導・麻薬対策課の担当者の名前を記事に書いてもよかったはずだが、記者も報道機関の組織の人間なので、同じ勤務先の同僚まで取材拒否されるおそれから、書けなかったのだろう。

 ちなみに、厚労省の監視指導・麻薬対策課を統括する幹部は、厚労省の公式サイトで公表されている。

 僕も約20年前、厚労省の同じ課の担当官僚を、日本テレビの深夜のドキュメンタリー番組の仕事で取材しに行ったことがある。

 当時、あまりにもずさんに流通され、多くの患者がオーバードーズ(※処方量以上の過剰摂取)の依存症になっていたリタリン(※覚せい剤とほぼ同じ化学組成の抗うつ剤)に対する現状認識を問うものだったが、担当官僚は現状をほとんど知らなかった。

 それどころか、「あなたの奥さんや娘さんが精神科でリタリンを処方され、依存症になったらどうしますか?」と尋ねると、その官僚は「私には〇〇大学医学部の友人がいるので大丈夫です」とカメラの前で平然と言ってのけた。

 上級国民を思わせるあまりにも身勝手なコメントに、ディレクターと僕は顔を見合わせ、そのコメント部分は使わずじまいだった。

 その番組のオンエアの1か月前、厚労省は全国の病院にリタリンの過剰処方に関して自制するよう通達を急に出した。
 メディアに不勉強ぶりをすっぱ抜かれる前に、「厚労省は現状を把握して、ちゃんとやってますよ」というアピールをしたかったのだろう。

 薬物は、それが処方薬だろうが、違法麻薬だろうが、依存症という病気になってしまうと、自力では止められない。

 僕の友人も、リタリン依存症によるオーバードーズで自殺してしまった。
 その詳細は、『「死ぬ自由」という名の救い』(河出書房新社)に書いた。
 kindle版が売れ続けているので、読んでみてほしい。

 友人がほしかったのは、薬物そのものじゃない。
 薬に手を出してしまうダメな自分でも受け入れてくれる友人や社会だった。

 葬儀場でお棺の中の友人の顔を覗き込んだ時、友人を責める言葉など吹っ飛んでしまった。
 家族は、わが子の地元の友人を誰一人呼ばなかった。
 後から友人の手記が見つかり、家族による想像以上の虐待の事実を知った。

 子ども虐待をなくす仕組みを作らない限り、薬物依存症の当事者はすべての不幸を自分だけのせいにされ、延々と自分だけを責め続けながら亡くなってしまうのだ。
(※依存症の背景に子ども虐待があることは、90年代から心理学ではずっと語られてきたこと)

 官僚は、自分の考える幸福の基準に沿う有識者を検討会に集めがちで、児童虐待防止法の有識者会議でも、麻薬取締法でも、苦しんでいる当事者を招かない。
 官僚自身の不勉強による劣等感が、大学教授のような専門家を特別な上位に見立ててしまうのだ。

 しかし、苦しみをイヤほど知っている当事者こそが、切実に欲しい解決ニーズを具体的に知っている。
 だからこそ、官僚に対して「有識者会議には専門家と同数の当事者を招け」と命じられる法律を作り出せる政治家を動かす必要がある。

 だから僕は、全国の一般市民に『子ども虐待防止策イベント』の地元開催を呼びかけている。
 今年の冬に開催するため、全国7か所で地元市民が動き出してる

 依存症に苦しみ、自殺する人が1人でも減るよう、一生に1回だけ一緒に動こう。
 それは、あなたにもできることなんだよ!

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