Breaking News
recent

「東大前」事件◎子どもを支配したがる親の罪 #毒親育ち #子育て #受験 #東京大学 #佐藤ママ #東大前 #毒親 #教育 #不登校 #ワンオペ #子ども食堂 #親子 #就活 #こども家庭庁



(※このテキストの動画版は、コチラ

 5月7日、東京・文京区の「東大前」駅のプラットフォームで東京大学に通う20歳の男子学生が、43歳の男に傷つけられた。

 大学生が電車内に乗り込むと、男はさらに学生を傷つけ、逮捕された。
 大学生は、約10日間ほど入院が必要なケガをした。

 容疑者である43歳の男は、長野県の田舎の集落に一人で住み、犯行当日は電車で東京大学周辺をうろついていたと報道された。

 そして、犯行動機について、このように供述したそうだ。

過去に自分自身、教育熱心な親のせいで不登校になり、苦労した。東大進学を目指した教育熱心な世間の親に、教育熱心の度がすぎると、ぐれて罪を犯すと示したかった。生活にも困窮していた」毎日新聞より)

 43歳男がねらった学生は、偶然にも東大生だった。
 それについて、男はこう語った。

たまたま近くにいたので狙いました。
 世間に自分の考えを示すことができれば、相手が死んでも死ななくても、どちらでもよかった
NHKより)

 NHKによると、男から反省の言葉は出ていないそうだ。

 これと似たような事件は、3年前の2022年にも起きている。

 東京大学のキャンパス前の路上で、当時高校2年生の17歳の少年が受験生らを傷つけた事件だ。

 その時も凶器は刃物で、この少年は東大前駅の改札近くで爆竹のようなものも破裂させている。

 少年は逮捕された後、こう語った。

「医者になるため東大を目指したが、約1年前から成績が上がらず、自信をなくした。医者になれないなら自殺しよう、人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えた」朝日新聞より)

 43歳の男と、17歳の少年。
 どちらも、自分の命や人生を大事にできない点で共通している。

 自分を大事にできない以上、自分以外の誰かを大事に思う気持ちなど持てないだろう。

 また、東京大学に過剰な思い入れ(憧れと学歴コンプレクス)を持っていることも共通点だ。

 しかし、マンガ『ドラゴン桜』が主張していた「東大にさえ入ればとにかく幸せになれる」というのは、幻想(ファンタジー)だ。

 そこで、東京大学に関する不都合な現実を、あえて紹介しておきたい。

 東京大学は、国立大学法人に運営費として国庫から措置される「運営費交付金」で常に国内大学の中で1位で、2023年度の予算額は721億8265万円だった。

 あなたが払った税金で、優秀な若者が育って社会で活躍してくれた結果、あなたが生きやすくなるなら、1人あたり年間700円ほど払うのも文句ないだろう。

 しかし、東大から財務省に入り、増税の仕組みを作って出世したい官僚もいれば、フジテレビに入って部下の女性社員が接待要員にあてがわれても助けなかった東大卒もいる。


 つい最近も、東京大学大学院と共同で研究をしていた日本化粧品協会」が、東大の男性教授ら2人から高額な接待を複数回にわたり強要され、大学側に通報したところ研究を中断させられたと主張し、東大を相手取って裁判を起こす予定だ。

 さらに、東大、経産省、マイクロソフトを経て県知事となった大井川和彦の茨城県では、県議会で県議が「県庁職員の長期病休者のうち、精神性疾患が初めて100人を超えた」と指摘するほど、東大卒の知事によるパワハラが、週刊文春にすっぱ抜かれている。

 他にも、東大卒によるやらかしや不祥事を挙げれば、きりがない。

 だが、そういう不都合な現実をふまえずに、「とにかく東大に入れば幸せになれる」と考えるなら、それはカルト宗教としか言いようがない。

 ハッキリ言っておくが、東大に入れるほど受験勉強に時間と体力、情熱を消費してしまえば、愛と勇気を学べないまま、上司の言いなりとして平気で悪事を働くアイヒマンになりかねない。

 ここでいう愛とは、「自分より弱い人を守りたい」と感じられる思いやりのことだ。

 自分より学力偏差値が低い人、教育投資が受けられずに大学に行けない貧しい家の子ども、低い賃金の職場にしか雇われない人、女性など、身の回りにいる弱者の不幸を他人事にしないことだ。

 そして、ここでいう勇気とは、上司や仲間に悪事をそそのかされても、きっぱりと断れることだ。

 悪事を断れば、当然、勤務先で左遷させられたり、クビにされたりするかもしれないが、そういう不遇な結果を覚悟しても、悪事には手を貸さないのが勇気だ。

 しかし、この愛と勇気を学ぶチャンスは、受験合格の準備のために、簡単に親や塾に奪われてしまう。

 そのツケによって、東大の男子学生は東大女子を嫌がって、自分より偏差値の低い女子学生とつき合いたがるし、サークルに東大女子を入れたがらないという差別を放置している。

 だから、上野千鶴子さんは2019年の東大の入学式でこう言ったのだ。

これまであなたたちが過ごしてきた学校は、タテマエ平等の社会でした。社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながらその例のひとつです。
 世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。
 あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
 恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください

 もっとも、こういう声を「受験にとってじゃまだ」と考えて、子どもに聞かせない親もいる。

 息子3人娘1人の4人の子どもを全員、東大に合格させたという本を13点も書いて儲けている、佐藤ママこと佐藤亮子さんだ。

 佐藤ママは、「受験に恋愛は無駄です」とハッキリと公言している。
 しかも、ここまで言っているのだ。

恋愛より怖いのはスマホです。
 依存症になりやすく、睡眠時間も削られる。大学合格まではガラケーにして、家に帰ったら取り上げるくらいにしたほうがいい」

 スマホを使わせないことで東大進学後の不都合な現実に気づかないように情報統制するなんて、受験知識しか学べないのだから恐ろしい。

 しかも、SNSに触れないので、同世代の恋愛・セックス・人間関係にもうとくなるので、大学デビューでいろいろ困ることが容易に察せられる。

 4人の子どもはめでたく東大に合格したが、ここまで親にとっての都合の良い子たちが、これから自分の意思で愛や勇気を育てられるだろうか?

 子どもたちが本当に佐藤ママの育て方に感謝しているなら、子ども自身が受験合格マニュアル本を書いただろう。

 そして、本当に母親に愛があるなら、合格した子どもたちに「あなたが努力して勝ち取った合格だからあなたが先に本を書く資格があるはずよ」と伝えたはずだ。

 彼女の本は、「親がこうすれば子どもは猿回しのサルのように動いてくれる」という調教本だ。

 人権派の弁護士なら、ここで親権の濫用を疑って、この本を批判するだろうが、子どもの人権にくわしい弁護士でも、親権制度の改革に動かない。

 しかも、親にとって不都合な恋愛やスマホは排除され、東大に合格しないと幸せの出発点に立てないかのように教え込む育て方では、子どもは不満や文句を親に言い出せなくなる。

 ただでさえ親がいなければ、毎日の食事も寝場所もありつけない子どもにとって、親は権力者そのものなのに、そんな親に自分の進路を幼い頃から導かれたら、自分が嫌なことをされても拒否するのは難しい。

 そこで冒頭で紹介した、43歳男が東大生を襲った事件を考えてみよう。

 彼は子どもの頃、教育熱心な親に困り果て、不登校をすることで反抗し、やがて独り住まいを求めて数年前から長野の田舎に暮らしたが、生活苦に陥った。

 そして、自分の生い立ちの中に、親から勉強以外を応援されず、自己評価を低められてきたことに思い当たったのだ。

 彼が欲しかったのは、高学歴ではなく、いつ職場から追い出されても、一人で自分らしい仕事を作って食っていけるスキルだったのではないか?

 そういうことを、サラリーマンの親は子どもに教えることができない。
 だから、自分の知ってる範囲の狭い社会常識を子どもに強制したがる。

 それは愛ではなく、呪いだ。

 親が望む通り、親にとって都合よく育ってきた子どもほど、反抗できないまま、自分の被害に気づかずに大人になってしまう。

 実は、自分が親からされてきたことが虐待だったと気づくのは、必ずしもリアルタイムの子ども時代ではない。

 むしろ30代後半、あるいは40代や50代、60代で精神病になってから気づく人も、すごく多いのだ。

 これを知らずに、「大人になっても親のせいにするなんて」と批判する人は、単なる無知に居直ってるだけのバカなんだ。

 被害に気づいた大人の年齢になってからは、本格的な苦しみが続いてしまう。


 日本の法律と裁判所は、ここまで子ども時代の被害の深刻さを軽く見ているのだ。

 政治家も、除斥期間や時効の撤廃に動かない。
 子どもの切実なニーズを知っても、選挙で自分の票にならないからだ。

 そうした現実を知らないまま、「大人になっても親の悪口を言うなんて」と批判する人も、無自覚な虐待被害者かもしれない。

 「子どもを大事にする文化」が歴史的になく、今もない日本には、子どもの頃の虐待被害を自覚できた人と自覚してない人がいるだけで、ほとんどすべての子どもは人権を奪われながら育っているのだから。

 無自覚な人こそ、これからの人生で犯罪や自殺をすることが懸念される。

 佐藤ママのお子さんたちも、恋愛や夫婦関係、職場での人間関係を通じて、いつか精神病に苦しみ始めた時に、子どもの頃のストレスフルな気持ちに気づくかもしれない。

 そして、東大前で東大生を襲うような犯罪をやらかしてしまっても、僕は「当然そうなるよね」としか言いようがない。

 子育ての結果は、親が自己満足に評価できるものではない。ましてや教育評論家や世間が評価できるものでもない。

 親の子育てを評価できるのは、子どもだけなのだ。

 東大卒の子どもが大人になり、いつか何かをやらかしても、親はその責任を取れない。

 すべての親は、子どもが自分で自分のことに責任がとれるように、自分の意思と自尊心を育ててほしい。

 親が自分を支配したがってるから、親の顔を立てて従ってあげるという関係では、親は親として育たないし、子どもはいつまでも親の奴隷だ。

 佐藤ママは、僕の作った本『日本一醜い親への手紙』を読んだそうだ。

 本人はブログで紹介しているが、「反省」してると書いてはいるものの、おそらく多くの子どもたちがそのブログ記事を読んだら「何言ってんの、このおばさん」と失笑するだけだろう。

 彼女の4人にお子さんが、いつか何かをやらかさないように、僕は祈ることしかできない。

 人間、自分が親の操り人形だと気づくのは、「実は親に愛されていなかった」と気づくのと同じなので、なかなかふだんは認めたくないものだ。

 しかし、先送りした子ども時代のストレスは、日に日に心の中にたまっていき、ある日、突然に抱えきれずにドカンとなる。

 それが他人への攻撃になるか、自分の無力さや愚かさを責めるものになるか、誰にもわからない。

 せめて同じ痛みを持った仲間が、既にネット上にもいるし、近くにも大勢いると気づいてほしい。

 そこで、みなさんにお尋ねしたい。
 あなたは、自分を苦しめる親の毒をいつどのようなきっかけで気づいたかな?

 たとえば…

●子どもの頃に友達の家に遊びに行って、自分の家とは違う親の姿を見てから、自分の親はおかしいと気づいた
●大人になってから本を読んで、ようやく自分の苦しさの原因がわかった
●受験や進路を考えていた高校生の頃、親の希望とは違う人生を望んだ時に、応援してくれないことで気づいた
●小学生くらいの頃から親を当てにしちゃいけないと、子どもながらに直感的に気づいていた

 あなたの体験を、ぜひ動画のチャット欄やコメント欄に書いてほしい。



(※スマホで生配信を見る方は、動画をクリックし、上部に表示される動画タイトルをクリックすると、右側の下の方に概要欄が現れます。
 拡散用に大きな画像を使いたい方も、概要欄を。この記事の冒頭の画像を使ってもOK

★今一生のYouTubeチャンネル登録はコチラ


下の「シェア」「ツィート」をポチッと…



55分でサクッとわかる
子ども虐待の現状と、新しい防止策

conisshow

conisshow

Powered by Blogger.