選考委員は、後藤正治、佐伯一麦、田中優子、船橋洋一、鷲田清一の各氏が担当する。
賞金は200万円で、発表は12月中旬という。
この告知記事を観た時、僕は『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』がこの賞をもらってもいいのでないか、と思った。
今年は、5歳で虐待で殺された女児が「親への手紙」を書き残していたことで子ども虐待の深刻さに注目が集まったが、この手紙本は親からの虐待をかろうじて生きのびてこれた方々の貴重な証言だ。
被虐待の経験者が勇気をふりしぼって書いた本が、この賞を受賞してもいいじゃないか。
これまでこの賞には、画像にあるように水村美苗さんの小説『母の遺産 新聞小説』(2012年度)や、吉田修一さんの『悪人』(2007年度)をはじめ、歴代の受賞者には司馬遼太郎、河合隼雄、鶴見俊輔、大江健三郎、多田富雄、山口昌男、丸谷才一、安岡章太郎などレジェンド作家の各氏が並んでいる。
そんなところに、『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』を並べたいと思ったのは、大佛次郎が少年向け小説で人気を博し、大衆小説や童話も書いた作家だから、だけではない。
選考基準を見たからだ。
この賞の選考基準は、
「日本語の散文として質の高いもの」
「人間精神への鋭い洞察を含むもの」
「歴史および現代文明の批評として意義の高いもの」の3点。
今年は、5歳で虐待で殺された女児が「親への手紙」を書き残していたことで子ども虐待の深刻さに注目が集まったが、この手紙本は親からの虐待をかろうじて生きのびてこれた方々の貴重な証言だ。
被虐待の経験者が勇気をふりしぼって書いた本が、この賞を受賞してもいいじゃないか。
これまでこの賞には、画像にあるように水村美苗さんの小説『母の遺産 新聞小説』(2012年度)や、吉田修一さんの『悪人』(2007年度)をはじめ、歴代の受賞者には司馬遼太郎、河合隼雄、鶴見俊輔、大江健三郎、多田富雄、山口昌男、丸谷才一、安岡章太郎などレジェンド作家の各氏が並んでいる。
そんなところに、『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』を並べたいと思ったのは、大佛次郎が少年向け小説で人気を博し、大衆小説や童話も書いた作家だから、だけではない。
選考基準を見たからだ。
この賞の選考基準は、
「日本語の散文として質の高いもの」
「人間精神への鋭い洞察を含むもの」
「歴史および現代文明の批評として意義の高いもの」の3点。
この基準を満たす作品を、読者のあなたがはがきに書いて、9月末までの〆切までに朝日新聞社へ推薦すれば、選考委員の目に止まる。
推薦方法は、はがき1枚に1件、著者・作品・出版社と、推薦者の住所・氏名・年齢・電話番号を記し、以下の住所へ郵送するだけ。
〒104-8011 東京都中央区築地5-3-2
朝日新聞 東京本社 文化くらし報道部 大佛次郎賞事務局
では、なぜ上記の基準の3つを『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』(以下、手紙本)が満たしているのかについて、わかりやすく説明したい。
★受賞したら執筆者に1万円を配当、全国で無料講演会
まず、「日本語の散文として質の高いもの」という基準から検証しよう。
手紙本には、ライター・編集者の僕(今一生)による「はじめに」「あとがき」と、父親から性的虐待を告白したLGBTアクティビストで文筆家の東小雪さん、日本にAC(アダルトチルドレン)の概念を普及させた臨床心理士の信田さよ子さん(※右の画像)による解説が収録されている。
もっとも、メインの内容は、中学生から50代までの100名が「親への手紙」として自身の被虐待の体験を書いたものだ。
彼らはインターネット上の公募から選ばれたが、全員素人だ。
素人といっても、彼らの文章はCreate Media(=今一生)によって編集され、収録された。
この編集作業の際、「曖昧な記述を中心に大幅カットはするが、文章の追加や装飾は一切しない」という方針をとった。
送られてきた文章はいずれも長文で、採用した原文の20分の1しか本書に反映していないものもあるほど、100通分を1冊に収めるために限りなく洗練させる形で残した。
それゆえに事実を争うことはほとんどなく、記憶違いもないように、わからない記述があれば、そのつど執筆者にメールや電話で慎重に事実を確認した。
そもそも本人による一次情報のため、2次情報となる取材記事とは異なり、当事者の経験や思いを丸出しにでき、「散文として質が高い」ノンフィクションになりえたと思う。
次に、「人間精神への鋭い洞察を含むもの」だが、同じように親から虐待されたからといって、100人の執筆者がいれば、さまざまな違いが出る。
自分を虐待した親に対する温度差や距離感も人それぞれ違うし、親に対する依存から殺意まで複雑な思いが、実体験から具体的に告白されている。
それゆえにこの本には、これまで精神科医やカウンセラー、児童福祉の専門家や研究者、児童福祉の従事者や関連NPO、子ども福祉政策担当の政治家などが、統計や臨床によって傾向を分析したありようとは次元が異なるリアリティがある。
そうした「権威」が一方的に語ってきた虐待と、実際に被害を受けた当事者の語るリアルな虐待との間に、「溝」を発見する読者もいるはずだ。
そのためか、この本の読者から、自身の被虐待の経験をFacebookやブログなどで告白する人が現れたり、虐待された当事者どうしで自分の経験を話し、聞き合うお茶会が全国各地で試みられたり、虐待防止講演会として編著者を招く市民が続出するなど、虐待を他人事とせず、次世代の子どもが親に虐待されない仕組みを作ろうというムーブメントが起きつつある。
これは、手紙本が「人間精神への鋭い洞察を含むもの」として読者にしっかりと受け止められた証拠だろう。
一つの本が読者を動かし、新たなアクションへと動機づけている事実は、歴代の大佛次郎賞の受賞者の功績に比肩するだけの価値がある。
そして、最後に「歴史および現代文明の批評として意義の高いもの」という基準だが、これこそまさに手紙本の真髄を言い表している。
子どもが親を告発するというこの本は、パラダイムシフト(価値観の激変)に成功している。
従来の日本の家族観や親子関係が、体力的にも精神的にも経済的にも社会的にも一番弱い子どもの目から見れば、とんでもなく恐ろしいものだという気づきを読者に与えるからだ。
信田さよ子さんは、それを「ACは危険思想である」と表現している。
もちろん、この言い回しは、旧来の家族観を盲信する既得権者にとって、その価値を揺るがせる危険があるという意味であり、被虐待の当事者たちへのエールだ。
AC(アダルトチルドレン)とは「アルコール依存症の親に育てられた子ども」を意味するが、今日では「自分の生きづらさが親から虐待されたことにあると気づいた人」と解釈されている。
旧来の家族観の持ち主なら、「どんな親でも親なんだから従うのが子どもだ」と考えるだろう。
しかし、この本に自身の被虐待の経験を書いた100名は、その隷属が苦しいのだ。
もし日本の子どもに人権が保証されているなら、「しつけ」と称して虐待する親の横暴に対して、対抗手段があるはずだ。
でも、日本の法律にそんなものはなく、虐待を自覚するのも30代後半になってからが大半で、リアルタイムの10代以下の頃には被虐待の当事者である自覚さえままならない。
当然、どんなにひどい虐待を受けていても児相に保護されることはまれだ。
そこで、この本のように虐待された当事者が声を上げれば、「どんな親も子どもを愛しているはずだ」という常識は根っこから崩壊してしまう。
子どもに人権を認めれば、そうした被虐待の事実はいくらでも表沙汰になる。
だから、既得権益の大人たちにとって、「ACは危険思想」なのだ。
父親からレイプされた執筆者へ、あなたは「それでも親を敬え」と言うだろうか?
子どもからカネを無心し続ける母親を告白した人に、「母を介護しろ」と?
食事を床に置き、「口で吸え」と言う親に、「子どもを大事に」なんて言葉が響くか?
「子どもだから」と言葉を封殺され、「自分が弱いから悪いんだ」と自責するばかりの被虐待の当事者自身が、とてもつらい記憶を思い出し、勇気をふりしぼって書き上げた「親への手紙」こそ、「歴史および現代文明の批評として意義の高いもの」だと認めてもらう必要がある。
彼らは幼い頃から親からの執拗な虐待に耐え抜き、殺されそうな恐怖と不安にかろうじて負けず、自殺未遂をくりかえしても、自分自身の言葉を獲得してきたのだから。
「日本にはそもそも、子どもを大事にする文化や歴史がなかったのではないか?」
そう思わせるだけの力が、この手紙本にはある。
100人分の被虐待の体験記という点だけで、世界でも他に類を見ない。
素人100人の書いた本が受賞できたら、これこそ画期的な判断として称賛されるだろうし、大佛次郎賞の社会的価値もますます上がるだろう。
全国の児童相談所への虐待相談件数は、調査が始まった1990年度では年間1000件程度だったが、26年後の2016年には12万件を越えている。
たった26年間で120倍以上も増えている虐待を、生身の体で体験した100人の告発集が『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』なのだ。
この本以上に「歴史および現代文明の批評として意義の高いもの」などあるだろうか?
産経新聞より |
この賞のライバルとなる有名作家さんたちの本の読者数は、とんでもなく多い。
手紙本が受賞するのは、不利といえば、不利だろう。
でも、親から虐待された全国の当事者たち(+彼らを応援したい読者)がたった1枚(62円)のはがきを出して、手紙本を推薦してくれれば、そうした逆風をはねのけ、受賞できるかもしれない。
あなたがこの本を推薦するはがきを出してくれた結果、大佛次郎賞を受賞できたら、編著者の僕は100人の執筆者の代わりに授賞式に出て、賞金200万円を得ることになる。
そこで、受賞した暁には、賞金を使って以下の2点を実行すると約束したい。
◎100万円を手紙本の執筆者から希望者に1人1万円ずつ配当
(※2017年末に全員に1万円を払ったが、児童養護施設への寄付を申し出た人も)
◎全国5ヶ所で子ども虐待の防止策を訴える無料講演会を開催
(※2019年以内に実施。会場の手配から広報、集客まですべて今一生が主導)
虐待のつらい記憶と戦いながら「親への手紙」を書いてくれた執筆者たちに敬意を感じてくれたなら、はがきに次の内容を書いて、以下の住所へ郵送してほしい。
それは、たった62円で始められる革命だ。
この本がもっと目立てば、子どもの人権を法的に保証できる社会への一歩となり、親から虐待される子どもを減らせるのだから。
●著者 編著Create Media 著者 今一生・信田さよ子・東小雪・公募執筆者100人
●作品 日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?
●出版社 dZERO(ディーゼロ)
●推薦者(あなた)の住所・氏名・年齢・電話番号
〒104-8011 東京都中央区築地5-3-2
朝日新聞 東京本社 文化くらし報道部 大佛次郎賞事務局
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