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あさのあつこさんは、同作で1997年に野間児童文芸賞を受賞しています。
奇しくも、その年は『日本一醜い親への手紙』シリーズが初めて刊行された年です。
あれから20年、この本に描かれた子ども虐待の相談・通告の件数は、増え続けるばかりで、一度も減らせませんでした。
そこで、2017年に新たに公募を行い、『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』(Create Media編/dZERO刊)を作ったのです。
この国の政治家は、誰一人として、子ども虐待を減らす政策を議会に提出できていません。
子ども虐待の通告が全国最多を5年連続で続ける大阪の政治家600名以上に子ども虐待防止策を尋ねても、4月6日時点で回答できたのは、たった3人。
議会(立法)で子ども虐待を解決できないでいる現実!
この惨状を止めるためには、選挙で新人候補を当選させる必要があります。
再選を望む立候補者を当選させれば、また無策が続き、子どもたちが虐待され続けることは確実ですから。
では、予算と制度の範囲で仕事をするしかできない行政はどうでしょうか?
児童相談所や警察は、さんざん虐待された後での対処機関ですから、子ども虐待防止には何もできません。
ならば、最後の砦、司法(裁判)はどうでしょう?
●オンナコドモがいくら虐待されても、加害者は無罪?
とても絶望的なニュースが立て続けに入ってきました。
これが、2019年の日本の現実です。
12歳長女への強姦で無罪判決 静岡地裁
(毎日新聞 2019年3月28日)
当時12歳の長女に乱暴したなどとして、強姦と児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われた男性被告の判決公判で、静岡地裁は28日、強姦罪について「唯一の直接証拠である被害者の証言は信用できない」として、無罪を言い渡した。
判決によると、被告は2017年6月に自宅で当時12歳だった長女と無理やり性交したとして、昨年2月に起訴された。
公判で検察側は、長女が約2年間にわたり、週3回の頻度で性交を強要されたと主張したが、伊東顕裁判長は、被告方が家族7人暮らしの上、狭小だったと指摘。「家族がひとりも被害者の声に気付かなかったというのはあまりに不自然、不合理」と退けた。(共同)
娘に準強制性交で起訴の父に無罪 「抵抗不能」認定できず
(産経新聞 2019年4月4日)
平成29年に愛知県内で抵抗できない状態の実の娘=当時(19)=と性交したとして準強制性交罪に問われた男性被告に、名古屋地裁岡崎支部が「被害者が抵抗不能な状態だったと認定することはできない」として無罪判決(求刑懲役10年)を言い渡していたことが4日、分かった。判決は3月26日付。
公判で検察側は「中学2年のころから性的虐待を受け続け、専門学校の学費を負担させた負い目から心理的に抵抗できない状態にあった」と主張。弁護側は「同意があり、抵抗可能だった」と反論した。
鵜飼祐充(うかい・ひろみつ)裁判長は判決で、性的虐待があったとした上で「性交は意に反するもので、抵抗する意志や意欲を奪われた状態だった」と認定した。
一方で被害者の置かれた状況や2人の関係から抵抗不能な状態だったかどうか検討。
「以前に性交を拒んだ際受けた暴力は恐怖心を抱くようなものではなく、暴力を恐れ、拒めなかったとは認められない」と指摘した。
愛知県の事件では、裁判長自身が娘は性行為に同意していなかったと認定した上で、「父親は、拒んだら暴力を振るうなど父親の立場を利用して性的虐待を続けた。娘は抵抗する意思を奪われ、専門学校の学費の返済を求められていた負い目から精神的にも支配されていた」と指摘したうえで、強姦では無罪にしています。
また、2017年に監護者性交罪が成立する以前の犯行だった可能性もあります。
名古屋地検の築雅子・次席検事は、「上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントしています。
少女を守ろうとするのは、大人の女性しかいないのでしょうか?
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20190405/0004075.html
「父親に服従するような強い支配従属関係はなく、抵抗不能の状態だったとは認められない」と裁判長は言いましたが、親権は親が子どもを一方的に服従させるものです。
子どもには、親に抵抗する権利すら法的に保証されていません。
服従に「強い」「弱い」印象を乗っける裁判長は、法ではなく、自分の恣意性に基づく判決を出したにすぎないのです。
上記2件の判決は、不当なものにしか思えません。
親は弁護士を雇えますが、子どもには弁護士を雇える金がありません。
それを見込んで、金のある側につく弁護士は、自分の仕事が子どもに絶望をもたらし、自殺や親殺し、家出を動機づけるかもしれない判決を導くことに、1ミリも責任を感じないのでしょうか?
子どもが被害者の場合、このように泣き寝入りになるのは珍しくありません。
しかも、無罪になれば、加害者の父親は家に戻ってきます。
被害者の子どもが既に成人しているなら、家を飛び出すこともできるでしょう。
しかし、静岡での事件の被害女児は、まだ中学2年生です。
記事には、この子が児童相談所に保護されているかどうかも書かれていません。
保護されていれば、学校に行けなくなっているかもしれません。
保護されていなければ、報道によって学校でいじめに遭っているかもしれません。
それどころか、父親以外の家族から虐待されている恐れもあります。
この子が外部と連絡ができるなら、そして本人が望む暮らしができずに困っているなら、望みを叶えてあげたいと思います(conisshow@gmail.com)。
この子に関する情報をお寄せください。
なお、児童相談所に保護されても、家に帰すと危険な場合は、児童養護施設で暮らすことになりますが、公的な施設は満杯である場合もあり、15歳以上は民間の運営する自立援助ホームでの暮らしを勧められます。
しかし、その自立援助ホームで、こんな事件が起きてしまいました。
わいせつな行為 理事長を逮捕
(奈良テレビNEWS 2019年3月11日)
大淀町で女性の生活支援をしているNPO法人理事長の男が、入所者の女性にわいせつな行為をした疑いで、きょう逮捕されました。
準強制わいせつの疑いで逮捕されたのは、大淀町のNPO法人弁天塾の理事長・田中酵一容疑者(66)です。
警察の調べによりますと、田中容疑者は、去年(2018年)11月8日の午前6時30分頃から約30分間にわたって、埼玉県から施設に来ていた20歳代の女性に対して、下半身や胸を触るなどのわいせつな行為をした疑いです。
警察の調べに対して田中容疑者は「指1本触れていません 私がわいせつ行為をした事実は一切ありません」と容疑を否認しているということです。
ホームページによりますと、弁天塾は、生活に困っている15歳から20歳までの女性を対象に生活や就労を支援する活動をしているということです。
記事では、被害者が「入所者の女性」となっていますが、これは間違いです。
この被害者の女性から、僕は相談を受けました。
彼女の話によると、ボランティア・スタッフをネットで募集していたのに応じて弁天塾を訪れたところ、性被害を受けたので、警察に届けたのだそうです。
田中容疑者は、「膣の中まで指を入れてきた。そのあとは胸をもまれたり、電気マッサージをもってきて私の下腹部にあててきた」そうです。
彼女は警察で事件の再現をさせられ、被害の最中に「痛いのでもうやめてくださいと言いました」と伝えたのに、この事件は不起訴処分になりました。
なぜ電気マッサージが、自立援助ホームにあるのでしょうか?
なぜ抵抗する姿勢を見せたと証言したのに、不起訴になったのでしょうか?
証言も証拠もそろっているのに、不起訴。
彼女は納得できず、弁天塾で同様の被害に遭った女性たちを探しています。
自分だけではなく、生活に困っている15歳から20歳までの女性の入居者たちが、田中容疑者による性被害に遭うことを避けたいからです。
警察・検察も男社会ですから、オンナコドモは踏んだり蹴ったりです。
それでも、子どもを徹底的に守る法律さえ作れば、裁判で子どもの利益を最大に考える判決に変えることもできますし、自立援助ホームのような非営利事業の活動のリーダーにも高い倫理観を求めることもできます。
たとえば、全国の市や県の議会が「国に対して裁判官は男女同数とすることを求めていく」という決議をすれば、国会でも審議され、男ばかりの裁判官が男に偏った社会認識で判決を出してしまう愚かさを避けられるのです。
もし、上記の事件で裁判長が女性だったら、無罪判決を出したでしょうか?
自分が父親にレイプされる恐怖をリアルに想像できたなら、「無罪なんてとんでもない」と考えたはずです。
こうした変化を作り出すために、一般市民の私たちができることは、選挙で新人候補を当選させること。
再選を望む立候補者を当選させれば、今後も「無策」が続き、子どもたちが虐待され続けることは確実です。
裁判で子どもが不利益を被る現実も続きます。
再選希望の議員に投票することは、子ども虐待を放置・温存・拡大させることに、あなた自身が手を貸すこと。
自分の1票を無駄にしないでほしいです!
あなたにできることは、まだあります。
上記の事件の記事リンクをもとに、あなたもブログで意見を表明してください。
ブログを持ってないなら、twitterやfacebook、LINEなどで、今ごらんの記事を拡散してください。
(※拡散ボタンは記事の下にあります)
多くの人が不当判決に関心を持っていることがわかれば、テレビや新聞も取材を始めます。
雑誌やワイドショーなどが、不倫スキャンダルの芸能人を突撃取材するように、とんでもない判決を出した裁判官にマイクを突き付けるようになれば、裁判官は「子どもの利益になる判決をしないと自分の顔も名前もさらされて出世に響く」と初めて反省と改善を考えだします。
取材が増えれば、国会でも解決策の審議を始める議員も出てきます。
解決できる法律を議決できれば、行政も司法もそれまでの態度を改めざるを得ません。
司法によるこうした「セカンドレイプ」の問題は、今後も注視し、紹介していきます。
つらすぎる現実ですが、大人が目をそらしたら、誰か子どもの人権を守るの?
そう問いかけていきたいです。
政治(立法)・役所(行政)・裁判所(司法)が弱者を守れなくても、民間の知恵によって救える余地は決して小さくはないのですから。
虐待サバイバーなら、「親への手紙★公認朗読者」になってほしいです。
親から虐待されることがどれだけつらいことなのかを、1人でも多くの被害当事者が勇気を出して人前で話そうと動き出すとき、この国にようやく成果の出せる子ども虐待防止策を議論する空気を生み出せるのですから。
英語ができる方は、上記の事件記事のダイジェスト翻訳をBBCに送って取材するように求めたり、ユニセフ本部に子どもに不利な日本の判決事情を知らせください。
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