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学校では教えてくれない「選挙」の意味

 学校は、文科省が所轄する役所である。
 当然、その時代の与党が、自分たち与党にとって都合の良い教育方針を作り、与党が選んだ文科大臣の命じたとおりの内容を教える場所になる。

 これをふまえると、学校で教えられる「政治」は中立的には教えられない。
 しかも、「政治」の価値を考えさせるチャンスを奪われてしまうこともあれば、校則で「生徒の政治運動は禁止」と明記したり、社会運動すら許可制を敷く学校も珍しくない。

 日本では、校則は児童・生徒・保護者と教職員が話し合いで作る民主的なものではなく、教職員の話し合いの結果を一方的に児童・生徒・学生に命じるものになっている。
 こうした「非・民主的」な校則に基づいて運営される学校生活では、子どもたちは自分の意見が学校というコミュニティに反映されないのを当たり前に育つ。

 そうなると、日本人はあたかも社会にあるルールが自然現象であるかのような誤解を続け、選挙権を得ても自分の1票が自分の生活や人生を変えられることにピンとこない。
 自分の代理人である議員と交渉し、自分がほしい法案を提案することすら思い当たらないし、自分の税金で食わせてやってる議員に対して下手に出て「陳情」するような構えをとってしまう。

 そして、日本の主権者は自分なのに、「政治が悪い」とか「議員が悪い」と言い出す。
 主権者とは、「この社会のありようを左右する主な責任者」である。
 その自分の振る舞いや投票行動を省みず、選挙でも自分の1票を小さなものだと誤解してしまう。
 そこで、選挙の意味を改めて考えてみてほしい。
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 現政権での与党は、自民党・公明党だ。
 自民党は、「消費税を20%まで引き上げる」と明言している(※上の画像の記事)。

 消費税がなければ、手取り20万円の月収でなんとか暮らしてきた人は、バイトや副業などで毎月4万円になる収入源を新たに作らないと食えなくなる。
 あなたにとって、収入源をふやすことはカンタンにできること?

 それどころか、原発事故で領土を被ばくさせて地元市民が住めなくなっても、原発は稼働させる方針だ。
 外交は、コミュニケーション力ではなく、軍事力の拡大で乗り切ろうとしてる。

 そんな与党・自民党は、戦後ずっと長期政権を続け、「民主主義とは何か」を学校で教えてこなかった。

 それが長期政権を続けるための戦略だったかどうかより、はるかに大事なのは、国民の多くに21世紀の今なお「主権者としての自覚」がないことだ。
 その恐ろしさを理解するためにも、選挙の意味を考えてみてほしい。


●選挙は、社会変革の一つの手段にすぎない

 選挙とは何か?
 主権者が自分の望む社会を実現する政策を訴える代理人を指名できる唯一のチャンスだ。
 もちろん、100%自分と同じ人間などいないので、どうしても譲れない政策を1つ争点として設定する必要が出てくる。

 人それぞれ争点は異なるが、たとえば消費税率に限れば、今回の参院選では、自民党に投票すれば、「消費税20%まで引き上げる」社会を望んだことになり、れいわ新選組に投票すれば「消費税を廃止する」社会へ一歩近づくことになる。

 消費税20%の社会と、消費税0%の社会のどちらを選ぶかは、あなた次第だ。
 1万円の買い物をする際、税金2000円を余計に払うのと、払わずに済むのと、どちらがいいかを考える際、富裕層は自分だけのことを考えて「べつに2000円くらい良い」と考えるかもしれない。

 しかし、選挙とは「自分の望む社会」を選ぶことなので、消費税20%をよしとする富裕層は、社会ではなく自分のことしか考えてないことになる。
 社会には、消費税が20%になってしまうと商品を満足に買うことができず、飢え死にしてしまう人も増えるし、消費税を払えないために廃業せざるを得ない中小企業や自営業者が大勢いるのに。

 日本の企業の多くは中小企業なので、中小企業が弱くなれば、彼らに発注する大企業の力も衰える。
 長期政権が大企業への優遇措置をとってきた結果が、20年も続く日本のデフレだ。
 その長期政権を担ってきた自民党に投票してきた市民は、デフレを自分自身が支えてきた。

 そのように、自分とは境遇の違う市民をどこまで想像できるかどうかによって、その人の「社会観」の狭さや広さがわかる。

 重要なことなので何度も書くが、選挙とは「自分の望む社会」を選ぶこと。
 「自分の投票によって弱者がさらに苦しめられることにならないだろうか?」と考えることが、選挙の価値の一つだとわかる。

 逆に言えば、選挙で投票しないことは、社会の仕組み(法律や常識など)による自分の苦しみを放置し、自分よりもっと弱い人の苦しみを放置しても構わないってことだ。
 子どもや障がい者、高齢者など、この社会には弱者が山ほどいる。
 あなたは彼らを無視して、自分にとってだけ都合の良い社会を作りたいの?

 選挙には、もう一つ重要な価値がある。
 それは、どんな未来を作りたいのかってことだ。

 法律は、国民の言動を国家が縛るもの。
 憲法は、国家の動きを国民が縛るもの。
 それを理解してる市民なら、憲法より法律による不自由を優先的に考えるだろう。

 当たり前だが、どんな政策にも100点満点のものはないので、常にベターなものに改正したり、現実の変化に応じて抜本的な改革が求められる。
 ルールというものは、守る以上に、もっと生きやすくなるものに変えることが重要なのだ。

 一度決まってしまった法律は、改正や改革に何十年もかかってしまう。
 だからこそ、現時点だけでなく、新しい時代を生きる若い世代を守れる政策かどうかを見る必要がある。
 その場合、有権者ではない未成年の置かれている法的環境を見据える必要がある。

 前述したように、彼らは高校までの12年間、民主的な交渉を学校とできない条件下で育てられており、学校でいじめに遭っても、自分が親から虐待されていても、どこに相談すればいいかすら教えてもらっていない。
 就労や起業、子どもの権利など、自分が生き残るために必要最低限度の知識すら与えられず、親を相手取って裁判する権利も与えられていない。

 日本の子どもは親に隷属させられ、学校では偏差値と内申書によって一方的に評価・査定される「奴隷」として、徹底的に自己評価を下げられしまっている。
「将来の仕事に必要なスキルを身につけているか?」の国際比較(リセマムより)

 だから、不登校は生徒本人の個人の問題とされ、学校のあり方が問題視されない。
 教職員は交渉の余地を生徒や保護者に認めず、下っ端役人として文科省の方針にだけ黙って従う。
 その方が学校の権威を維持し、主権者としての自覚を目覚めさせたくない長期政権にとって都合がいいからだ。

 子ども時代に徹底的に自己評価を下げてしまえば、主権者としての尊厳も奪われてしまう。
 思い出してほしい。
 主権者であるあなたは、「この社会のありようを左右する主な責任者」だ。
 あなたの投票行動の結果が、いまの日本社会を作ってきたのだ。

 そのように自分と社会のつながりを考えることがないまま、主権者が学校や家庭で自己評価を徹底的に低められてしまうと、どうなるか?


◎「どうせ自分の1票では何も変わらない」とあきらめて、投票に行かなくなる
◎「安定している長期政権でいいや」と、政策も見ないまま与党に投票する
◎与党より生きやすい政策を提言してる政党や立候補者に投票しなくなる
◎消費税率が20%に引き上げられても、戦争になっても「運命」だと考える

 自己評価の低さは、自分の望みとは異なる投票行動を動機づけてしまう。
 本当は「消費税廃止」を望んでいても、「どうせ無理だろう」と考え、「消費税20%」を掲げる与党・自民党に1票を入れてしまうのだ。
 なんて恐ろしいことだろう!

 だが、歴史に学べば、長期政権は必ず腐敗する。
 戦後、70年以上の間、長期政権を担ってきた自民党は腐敗しきっている。

 世界中の経済学者が日本の消費税率アップを憂慮しても、安倍総理は耳を貸さない。

 安倍自身が、母親から「じいちゃん(岸信介・元総理)のできなかった憲法改正をあなたが成し遂げるのよ」と脅されながら育ってきたからだ。

 不安と恐怖を植え付けられて育った政治家には、ヒトラーがいる。

 アリス・ミラーの名著『魂の殺人』を読んだ方なら、不安と恐怖を子どもの頃に植え付けられた人が、強い権力や支配的な立場を欲しがるのはご存知のことだろう。
 
 参院選が終わった後、安倍・自民党が核武装や戦争、消費税20%を始めても、それは自民党に投票した主権者であるあなた自身の選択の結果だ。想定外ではない。

 しかし、選挙の結果がどうあれ、政治だけがこの社会を作るわけではないことを知っておきたい。

 そもそも民主主義の社会は、主権者自身が自分の見過ごせない社会的課題に対して自ら解決インフラを作る権利を行使することで実現される。

 
ほとんどのドライバーが制限速度40キロを守らなくても誰も困らないように、法律より現実を変えてしまえば、アホな法律が事実上無効になったり、もっと良い法律に変える動機を多くの人々が獲得することになる。

 政治ではなく、民間でどんどん社会的課題を解決してしまえば、政治家の出る幕は減り、政治家自身が保ちたい威厳もなくなり、主権者自身が自分の力で生きにくい社会を変えられることに目覚める日も近づく。


 すでに法律とは関係なく、誰に言われなくても、貧困児童に対して「子ども食堂」を作る人は増えまくっているし、ビジネスによって社会的課題を解決するソーシャルビジネスを教える大学も増えてきた。
 だから、そうした民間の社会変革に関心を持つことが重要になる。

 選挙で野党が負けようと、嘆いて終わり、ではつまらない。

 次の衆院選までに、まずは自分が主権者であることの尊厳を取り戻そう。
 そして、志のある小さな政党も、あなたの力で育ててあげよう。
 家庭や学校、職場など、あなたがふだん関わる「小さな場所」で、あなたのほしい社会を実現させてみてほしい。

 その小さなコミュニティが生きづらいなら、その外側へ飛び出して、社会の広さに気づけるチャンスを自分にあげよう。
 100年も経てば、国家なんて、なくなってるのかもしれないのだから。


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