今年(2021年)も『子ども虐待防止策イベント』を全国各地で開催する。
そこで、このイベントをあなたが自分の地元で開催する価値について、考えてみてほしい。
このイベントを開催する目的は、「子ども虐待を防止する」というぼんやりしたものではない。
あくまでも、虐待防止の成果をまったく出せない従来の政策ではなく、新しい防止策を議論し、それを議会の場へ届け、実現させることにある。
そのための手段として、このイベントでは以下の3点を内容に盛り込む。
① 3人の虐待サバイバー当事者が自分の被害体験を人前で語る(ネットで公開)
② 子ども虐待に関する公式統計と法制度に基づき、課題を解説する
③ サバイバー・政治家・市民の3者が「新しい防止策」を議論する
2018年に東大で初の『子ども虐待防止策イベント』を開催して以来、2019年には全国5か所、2020年には全国7か所の地元市民がボランティアで開催を実現させてきた。
その成果の一つを紹介しよう。
昨年、東京で行われたイベントに足を運んだ参議院議員・山田太郎氏は、虐待サバイバー当事者自身が語る被害体験に心を揺り動かされ、その場で「登壇した3名の当事者を自民党の勉強会に招く」と約束し、今年2月にzoomによるヒアリングを行い、3月には実際に勉強会にサバイバーを招く予定だ。
先日から話題になっている「子ども家庭庁」の関連でお声がけいただき、山田太郎議員への提言を行いました。
— 風間 暁 a.k.a karma (@k6rm6) February 5, 2021
昨年末に登壇した虐待防止策イベントでの訴え(動画参照)をその場でキャッチし、実際にこうして連携を実現させてくださったこと、非常にありがたく思っています。大きな第一歩でした。 https://t.co/NqzlwQnuuL pic.twitter.com/UOLtnwq0BH
研究論文を読んで知識を得るのと、目の前でサバイバーが涙しながら語る苦しみを自分の耳で聞くのとでは、大違いだったのだ。
子ども虐待の防止策の制度設計に参画した有識者(大学教授や市民活動家、専門家など)は、虐待防止法の策定に参加してもなお、子ども虐待の防止に失敗し続け、30年間でたったの一度も虐待の相談件数を減らせなかった。
26回も学術集会を重ねてきた日本子ども虐待防止学会も、同様だ。
彼らに決定的に足りなかったのは、子どもの頃に虐待されても必死に生き抜いてきたサバイバー当事者に対するリスペクト(敬意)である。
サバイバーだからこそ、現行法を守っていては生き残れない現実を、自分の尊厳や権利が施設や学校で踏みにじられてしまう悔しさを、知っている。
法秩序の外でしか生きられないほどの困難を抱えてきた当事者の痛みについて、有識者たちはあまりにも関心が足りなかったと言わざるを得ない。
『子ども虐待防止策イベント』の開催を手がけてきた一般市民は、サバイバー当事者の声を最優先で大事にし、有識者や学者が30年間もできなかった「防止策の制度設計にサバイバーを参加させる」という偉業を2年ほどで成し遂げた。
これは、児童福祉の歴史にとって画期的なことだ。
なお、東京のイベントの議論の最後には、都議会の与党・都民ファーストの会の議員が議員の勉強会にサバイバーを招くと約束し、実際に今年3月4日にサバイバー2名と今一生を招く勉強会の開催を予定している。
群馬県でも、イベントの運営チームが太田市長に新しい虐待防止策を提案する動きが始まっている。
福岡では2019年に開催したチーム「ふくおかac」の代表が法人化を実現し、静岡県のチームは地元の活動団体と連携し、子ども虐待の解決に動く団体を設立するという。
今年の開催を宣言しているエリアもちらほら出ているが、運営上の課題もある。
そこで、以下の課題について、以下のリンク記事を読み進めてほしい。
(※②~④は、記事を発表次第、リンクします)
① このイベントを開催する価値
⑤ イベント・ディレクターの募集