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2026年、日本の子どもは親の言い分に従わなくてよくなる。
2024年の民法改正で、そんな革命的な法律改正が行われた。
具体的には、民法の第818条の文章が丸ごと変わったのだ。
改正前の文章は、こうだった。
「成年に達しない者は、父母の親権に服する」
つまり、未成年である子どもは、子育ての責任を果たす親に黙って従え、というわけだ。
しかし、2026年から施行される改正後の文章は、こう変わった。
この文章では、親に対する責任として親権を位置づけてはいるが、子どもに対しては何ら義務を負う内容になっていない。
つまり、子ども(未成年)は、親が親権を果たそうとしても、それを黙って受け入れる必要はなくなったのだ。
親権とは、そもそも子育ての法的責任だ。
しかし、多くの親が親権が何かを学ばないまま、子育てをしている。
親が自分の責任の範囲を学ばないままだと、無限責任を求められたように感じるため、多くの親が「子育ては大変だ」と悩み、少子化を加速させる一因にもなってしまうのだ。
そこで、親権制度で定められている子育ての責任とは何かを考えてみよう。
① 居所指定権
これは、子どもの居場所を親だけが決められるというもので、安心かつ安全な場所で子どもを育てる責任が親にあるってこと。
しかし、2026年からは、子どもが親に「この家にいろ」と命じられても、守らなければならない法律はなくなったので、家出しても虞犯少年と呼ばれる根拠はない。
警察が家出少年を取り締まる際は、青少年健全育成条例など自治体のローカルルールで深夜徘徊の行為を取り締まるしかなくなる。
子どもからすれば、親の知らない場所に自由に行けたり、泊まったりできるようになったが、泊めた相手が18歳以上の大人の場合、未成年略取(誘拐罪)で逮捕されるおそれは残る。
② 職業許可権
親権者である親は、子どもの職業を安心かつ安全なものにする責任がある。
非合法な仕事に就かせたり、危険な仕事に就かせたりしてはいけないわけだ。
現実に、子どもを水商売に売り飛ばしたり、露出の多いモデルの仕事をさせるなど、とても親とは言えないような鬼畜の所業をする親もいるからだ。
もっとも、そうした犯罪よりはるかに多いのは、親の欲目でとにかく大学に進学させたがったり、子どもが希望する進路に対して「おまえがそっちを希望するなら学費は出さない」などと金の力で子どもの進路を捻じ曲げる親だ。
しかし、2026年以降は、親がどんなに反対しようと、子どもは親の言い分を受け入れる法的義務がなくなるため、自分の進みたい進路や進学を自由に選ぶことができる。
ただし、子どもを支配したい親の性格は変わらないので、進学先の学費などは子どもが自力調達しなければならず、高校での進路をめぐる先生との相談会でも、「親の言う通りの進路にしてほしい」と説得される機会が減ることはないだろう。
③ 財産管理権
親権者には、子どもが得た金を適切に管理する責任がある。
ところが、この財産管理権が親にあるために、子どもがアルバイトして貯めた金をごっそり親に奪われてしまったり、使われてしまうことがある。
そのこと自体が親権の濫用なので、本当は虐待に相当するのだが、法律では経済的虐待が明記されていないので、虐待として認定されず、子どもは泣き寝入りせざるを得ない。
もっとも、18歳の誕生日を迎えたら成人なので、その瞬間から親は子どもから預かったお金から生活費や学費などを引いた額面を返さなきゃいけないという法律もある。
ただし、子どもから金を巻き上げる親は、そんな法律も知らないし、罰則もないので、絶対に子どもにお金を返さない。
ここでも子どもは泣き寝入りせざるを得ないが、これを防ぐには子どもが15歳になった時に会社などの法人化ができるので、会社の金としてプールしておけば、親は手を付けられなくなる。
逆に言えば、そのような手間をかけない限り、子どものお金はいくらでも親に奪われてしまうのだ。
もちろん、2026年からは親権者に従う必要はないので、親に金を求められてもつっぱねることはできる。
そこで無理やり金をとられてしまったら、警察に届けるか、民事裁判をおこすしかない。
その際に問題になるのが、契約に関することを未成年は単独ではできず、親権者にだけ子どもの契約を代行する権利があるという点だ。
スマホを契約したくても、マクドナルドでバイトしたくても、ネット接続をしたくても、親がハンコを押さない限り、どれも子ども単独ではできない。
そもそも、裁判を起こす権利は子どもにもあるが、弁護士を雇う金はないし、裁判中でも親と同居を余儀なくされるので、ストレスを考えるとあきらめてしまう子がほとんどだ。
つまり、日本の子どもは、親権者に従わなくてもよくなったのに、裁判を起こす権利があっても、実質的には行使できないわけだ。
だから、18歳まで親の横暴に耐え続けるか、未成年でも家出して経済的自立するか、一人でお亡くなりになるか、親の命を奪うか、あるいはわざと親に殴られて大けがを負って、親を傷害罪で逮捕できるように仕向けるしか、生存戦略がない。
そのように、子どもが法律で縛られまくっているのを是正するには、有権者の大人が政治家に働きかけて法律を改正していくしかない。
ただし、子どもは法律の改正を待っていられないほどストレスフルな生活を強いられているので、親子間でトラブルになり、刑事事件に発展することがあるわけだ。
だからこそ、法律改正と同時に、子ども自身が経済的自立ができるよう、小学生の頃から自分で自分の商品やサービスを作り出せるように、起業教育を民間で進めておく必要が出てくる。
自分で自分の仕事を作り出せれば、親の許可を得て雇われる必要はなくなるし、自分で稼ぎを管理できるからだ。
幸いなことに、今日ではインターネット上に、小中学生でも実際にやっている起業の事例が豊富に検索できるようになっているし、それを見た小中学生が同年代の仕事の作り方に刺激されて、自分でも起業する事例が増え続けている。
子どもの人権を守るための法律改正は、大人の無関心によって、今後数十年はかかるだろう。
しかし、現代の革命は、当事者どうしが連帯して政権を変えるのを待つ形では実現しない。
むしろ、何かに困っている個人が、自分と同じ苦しみを持つ人がどのような選択をしたのかをネット検索で気づく形で大きいムーブメントに育っていくのだ。
ネット検索が当たり前の子どもにとっては、不登校だって「他の子もやってること」だし、単位制や通信制の高校を選ぶことも、「ネットではいっぱい見つかること」なのだ。
同じように、ひきこもりやニートも現代では「自分だけじゃない」とわかることだし、転職や働かないこと、起業することも、選択肢の一つとしてふつうになってきた。
自分にとって不当なガマンを続ける生活から降りれば、自分が納得しやすい人生をつかめる時代なのだ。
もっとも、民法改正の意味を学ぶのは、親より子ども、若い世代の方が多いので、親権制度を学ばない愚かな親と、親に従う必要がなくなったことに気づいた子どもとの間で、これまで以上に対立が激化することが予測できる。
大事なのは、親子関係は18歳で終わり、それ以降は友人として付き合いたい人間かどうかが互いに問われる関係に変わると気づくことだ。
つき合いたくない人間なら、親だろうが、親族だろうが、連絡先さえ教えなくていいし、実家から遠い所へ引っ越してもいい。
そんな当たり前のことに気づかないと、いつまでも親からの洗脳が解けず、親を捨てることが悪いことであるかのような勘違いを続けて孤立してしまうだろう。
18歳で成人したら、いろんな友人と仲良くし、親以上に大事にし合える人間関係を増やせるし、育てられるのだと気づいてほしい。
そこで、あなたにお尋ねしたい。
あなたの親子間の関係は、あなたにとって快適だろうか?