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この1週間は、簗和生(やな・かずお)という名前をニュース報道でたくさん聞くことになった。
この国の農林水産大臣だ。
簗大臣が話題を集めたのは、今年2月の衆院選で自身を支援しなかった首長の自治体の道路予算を「大幅にカットした」と発言したからだ。
政治家が自分を応援しない市町村に対して、国からの金をつけないと利益誘導をすれば、権力のある人間が当選しやすくなる。
これでは公平な選挙にはならないので、当然、簗議員の発言はテレビのニュースでも国会でも問題にされることになった。
ところが、簗議員を農林水産大臣に任命した高市総理は、発言自体に関して「不適切だと考えたので厳しく注意した」と説明したものの、大臣をクビにすることはしなかった。
これでは、野党はもちろん、一般国民は納得できない。
権力で国の予算を地方へ引っ張って来れる権力のあるヤツが選挙で勝てるということになれば、戦後80年間、ほとんど長期政権を続けている自民党を選挙で勝ちやすくする不平等な論理を残してしまうからだ。
そこで、マスコミは簗議員に他にも後ろ暗いところがあるかもしれないと、探りを入れることになる。
すると、あっさり見つかった。
簗議員は、公職選挙法違反をやっていた可能性が濃厚なのだ。
そこで、選挙コンサルタントの大濱崎卓真さんによるYahoo!エキスパートの記事を読んでみよう。
この記事によると、簗議員は買収のおそれがあり、誰かが告訴・告発すれば、警察の調査が進められ、裁判で買収の判決が出れば、当選自体も無効になるため、大臣も自動的にクビになる。
もっとも、裁判になれば、判決までに半年以上はかかるので、来年まで簗議員は大臣でいられるわけだ。
しかし、裁判でクビになるような人を、総理が大臣として仕事を続けさせていたとなれば、任命責任がますます問われることになり、そうなると高市総理も「早めにクビを切っておけばよかった」と後悔することにもなるかもしれない。
ただし、問題は、日本人自身が民主主義や選挙におけるズルに甘く、明らかに違法なことを国会議員がしたとしても、ひどく怒ることもなく、結果的に許してしまうところだろう。
これは、公職選挙法だけでなく、他の分野の法律も含めて、法律そのものに対して自分事である感覚が薄いという傾向が、日本人に根強くあるからだろう。
そもそも日本は、イギリスやフランスのように王様の命を奪って、主権者を国民とする民主主義を実現させた国ではない。
81年前に戦争に負けたことで憲法を作り直し、その憲法の下で法律も作り直し、戦争や家父長制を法律から追い出して、国民の意思を選挙における多数決で決めることにした。
ところが、戦後の教育において、子どもたちは自分たちが法律や予算を考える主権者であるマインドを学校で育てられただろうか?
育てられたのなら、議会で内容が議論される法律も、自分が払った税金の使い道である予算も、興味がわいてくるはずだ。
しかし、2026年の現在においてもなお、日本人の多くは、政治に関心を持つこと自体がどこか特別な人たちの趣味のように感じてはいないか?
そうした主権者マインドが国民の間で薄いことから、「日本は民主主義国家ではない」と指摘する学者もいる。
確かに主権者マインドのない国民が多数派なら、その国は民主主義国家とは、言えないかもしれない。
それでも、多数派工作をして法律や予算を決めるという手続きとしての民主主義は、国会の中で粛々と進められてきた。
だから、国民が不幸になる結果を導かなければ、とりあえずOKという甘い認識で、これまでなんとなく国民は政府を、おおむね許してきたのだと思う(もちろん一部の例外はあるが)。
今回の簗大臣の件でも、高市総理は国民の許しに期待して、あるいは見越して、ことを荒立てないようにしたいのだろう。
国民の側も、政府や自民党が所得を増やしたり、物価高を止めたりすることなどムリだとあきらめているように思う。
というより、ハナから高市総理に何かを期待しろというのが無理な話なんだろう。
高市総理自身が、アメリカでの経歴詐称のまま総理にまでなり上がった人なので、国民の所得を増やしたり、有効な物価高対策を打つなどの能力を、もはや多くの国民が期待できない。
ハッキリ言ってしまえば、ウソで塗り固めたデタラメ内閣なのだ。
もっとも、アメリカを見ても、中国を見ても、イランを見ても、ロシアを見ても、国民にとって満足度の高い国が世界にあるかと、お寒い限りだろう。
どこの国だって、その政治のありようは、国民の意思を表現してしまっている。
理想郷など、現実にはどこにもないのだ。
それをふまえたうえで、主権者の僕らが無理なくできる政治運動のあり方を考えてみたい。
それは、多数派工作の面で効果的であるかどうかは、とりあえず関係ない。
むしろ大事なのは、政治次第で言いたいことも自由に言えなくなってしまうことだ。
自由にモノが言える今のうちに、SNSでも、ふだんの会話でも、政治の話をカジュアルにすることが、これ以上の政治の劣化を防ぐ習慣になる。
簗議員の選挙法違反を追いつめないテレビのニュース番組があったら、その番組サイトから「もっと掘り下げて取材してほしい」とメールで注文をつけるのもいい(とくにNHK)。
野党の国会議員のサイトからメールを送り、「簗大臣の買収疑惑をもっと国会で取り上げてください」と伝えてもいい。
そのように政治的な意見をメディアや議員に伝えていく人が増えれば、メディアも政治に時間と予算を割いて報道するようになるし、野党の議員も主権者のニーズを組んだ国会答弁ができるようになる。
さて、ここでみなさんに尋ねてみたい。
あなたは、政治マターについて、新聞社やテレビ局などのマスメディアに対して要望を伝えたことがあるだろうか?
ないのであれば、なぜしないのか、その理由を教えてほしい。
また、政府・自民党の不祥事について、野党議員に対して国会でもっと掘り下げるように要望したことがあるだろうか?
要望したことがない場合、なぜ要望を野党議員に伝えないのか、理由を教えてほしい。
